起床時間と健康を考える上で最も大切なのは、毎日同じ時間に起きることだ。毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きることが身体のリズムをつくり、私たちを健康に導いてくれる。
夜ふかしや徹夜をしたり、休日に昼近くまで寝たりするのは、健康によくない。これは「体内時計」のはたらきに関係している。寝る時間や起床時間が普段より2時間以上前後すると、体内時計がズレてしまう。結果として、昼に出るホルモンが夜に出て、夜に出るホルモンが昼に出ることになる。これが睡眠不足の原因になり、体調不良につながってしまうのだ。
一度体内時計がズレてしまうと、補正には何日もかかる。毎週末昼まで寝ているような人は、体力を回復しているようでいて、実は体内時計をズラしてしまっていることになる。その結果、月曜日の朝に起きるのがつらくなるし、そこから数日、週の半分はパフォーマンスが低い状態で仕事をすることになっているはずだ。
毎日ほぼ同じ時間に寝て、同じ時間に起きる。これを守り、体内時計を整えることが大切である。
人間の体内時計は、日本人の平均で24時間10分ほど。プラスマイナスで10分以上の個人差があることがわかっている。
この体内時計が24時間に近い人は、朝に順応しやすい朝型だ。それに対して、24時間より長くなる人ほど、朝に順応しづらい夜型の傾向になる。
体内時計は太陽の光によってリセットされるので、遺伝子的には夜型の人であっても、朝から活発に活動することは可能だ。夜型の人が朝型に切り替えたい場合は、「朝散歩」をしよう。起きてから1時間以内に散歩をして太陽の光を浴びれば、体内時計がリセットされる。体内時計がリセットされてから15時間〜16時間後には眠気が来るので、そのタイミングで眠ればよい。朝型への切り替えは、無理に早寝するのではなく、早起きからはじめるのがポイントだ。
昼休みは、外食ランチをして過ごすのがおすすめだ。同じ場所にずっといると、脳は疲れてしまう。場所を変えて、海馬の「場所細胞」を活性化させよう。
またランチに出かけると、少なくとも5分くらいは歩くことになる。その結果、記憶力や集中力を高めるドーパミンが分泌される。
外食が難しいなら、近くの公園などで弁当を食べるのもいいだろう。緑や青空などの自然と接することで、リラックス効果とストレス発散効果が得られる。フィンランドの研究では、1カ月に5時間以上、自然の中で過ごすだけで、ストレスが大幅に軽減され、脳を活性化し、記憶力、創造力、集中力、計画性が向上し、うつ病の予防効果がみられた。昼休みにときどき20~30分、公園で過ごすだけでもいい。とにかく席から離れ、リフレッシュしよう。
午後の仕事は「疲れ」との戦いになる。適切に休憩を取って疲れを癒やし、集中力を回復していくことが、午後の仕事のパフォーマンスを高めるためには不可欠だ。
休憩時間には、スマホでメッセージをチェックしたりゲームをしたりしている人も多いだろう。しかしこうした過ごし方だと、まったく休憩にならない。「楽しい」と感じるなら、それは脳が興奮してしまっている証拠だ。脳を休めるために休憩しているはずが、逆に疲れさせてしまっていることになる。
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