説明の一流、二流、三流

未読
説明の一流、二流、三流
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説明の一流、二流、三流
著者
出版社
明日香出版社

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出版日
2021年07月21日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

ビジネスシーンで、自分の説明が相手にうまく伝わらなかった経験をお持ちの方は多いのではないだろうか。要約者自身、会議や商談で自分の意図や肝心なポイントがうまく伝わらず、苦労した経験が何度もある。あのとき、どうすればよかったのだろう――その答えは本書の中にあった。

本書では、45の項目に分けて、三流、二流、一流の説明はどんなものなのかを教えてくれる。各項目が端的に「わかりやすい説明」で記載されているので、非常に理解しやすい。本書にまとめられているノウハウは、著者自身の周囲にいた一流のビジネスパーソンから学び、ブラッシュアップしたものだという。

たとえば、「結論から話す」はわかりやすい説明のコツとしてしばしば挙げられるものだが、一流は前提、背景、根拠から話しはじめたり、結論を言わなかったりすることもある。そのときの状況によって、相手が求めるものを把握してから、適切な構成で話しているのだ。たしかに、結論を求められているときもあれば、前提、背景、根拠から伝えたほうがいいときもあるし、「ただ話を聞いてほしいだけ」というケースもあるだろう。

著者自身、駆け出しのビジネスパーソンのときは、説明下手で営業成績最下位だったという経験を持つ。そこから一念発起し、現在は伝わる話し方を教える立場になった。そんな著者のノウハウは明快で、リモートの打ち合わせやテキストでのやり取りでも使える。ぜひ手に取っていただければと思う。

著者

桐生稔(きりゅう みのる)
株式会社モチベーション&コミュニケーション代表取締役
日本能力開発推進協会メンタル心理カウンセラー
日本能力開発推進協会上級心理カウンセラー
一般社団法人日本声診断協会音声心理士

1978年生まれ。新潟県十日町市出身。2002年、全国1200支店運営する大手人材派遣会社に入社。営業成績がドベで新卒3カ月で左遷される。そこから一念発起し、売上達成率No1を実現する。その後、音楽スクールに転職し、事業部長を務める。
2017年、社会人の伝わる話し方を向上すべく、株式会社モチベーション&コミュニケーションを設立。現在全国40都道府県で年間2000回伝わる話し方セミナー、研修を開催。具体的で分かりやすいメソッドが評判を呼び、日経新聞、プレジデント、東洋経済ONLINE、YAHOO!ニュースに掲載される。
「説明下手を克服する!30秒で伝えるピンポイントトーク」「3秒で頭の中を整理する!論理的会話術」など、数々のヒットセミナーを生み出している。

〈書籍〉
・『10秒でズバっと伝わる話し方』(扶桑社)
・『雑談の一流、二流、三流』(明日香出版社)
・『30秒で伝える全技術』(KADOKAWA)

本書の要点

  • 要点
    1
    何かを説明する際、三流は思いついたまま話し、二流はモレなくダブりなく話し、一流は大胆に削って最も重要なポイントのみを話す。
  • 要点
    2
    相手に協力を求めるとき、一流は「目的(何のためにそれをするのか?)」と「個人への関係性(それを実現すると相手に何が起こるか?)」を伝える。この2つが重なってこそ、行動を促せる。
  • 要点
    3
    リモート会議では、対面の場に比べて圧倒的に相手の情報が不足している。そのため一流は、冒頭で軽くジャブを打って反応を見て、その後の展開を決めている。

要約

【必読ポイント!】すごく伝わる説明

一番伝えたいことにフォーカスする

話を整理するとき、三流は思いついたまま話し、二流はモレなくダブりなく話し、一流は大胆に削って真芯にフォーカスして話す。

ロジカルシンキングで使われるMECE(ミーシー)は、「モレなく、ダブりなく」という意味だ。たとえば全国47都道府県を調査するとして、45都道府県だけ調べるとモレが生じていることになる。年代別調査で、10代、20代、30代、40代、若年層という括りで分けると、若年層が他の世代とダブっている。モレやダブりがあると信ぴょう性に欠くため、情報を整理する際、MECEになっていることは重要だ。

だが説明においては、「モレなく、ダブりなく」は必ずしも必要ではない。自分の特徴をモレなくダブりなく伝えようとするあまり、面接の自己紹介に15分かかったとしたら、合格することはできないだろう。レストランでおすすめのワインを聞いたとき、店員さんが棚にあるワインを隅から隅まで説明しようとしたら、「そこまで求めてないんだけど」と思うのではないだろうか。それなのに、すべてを説明しようとするビジネスパーソンは多いものだ。

わかりやすく伝えるにあたって、モレなくダブりなく整理することは必要だ。しかし本当に大事なのは、整理したあとに大胆に削り、「真芯」、つまり一番伝えたいことや相手が知りたいことにフォーカスを当てることである。「もし、説明時間が10秒しかなかったとしたら……」「あえて1行で説明するとしたら……」と考えて、伝える内容を精査しよう。

「対比」でイメージさせる
fizkes/gettyimages

イメージを持っていない相手に説明する場合、三流はあいまいに説明し、二流は詳しく長く説明し、一流は「対比」で説明する。

相手がイメージを持っていない対象について説明するのはかなり難しい。あなたは、仮想通貨をまったく知らない人に、その概要をうまく説明できるだろうか。そんなとき一流は、法定通貨と対比して仮想通貨の特徴を説明する。同様に「食物繊維が20グラムとれるサプリ」と言われてもピンとこない相手には、「サツマイモ1本で5グラムの食物繊維がとれます。このサプリは1回で20グラムとれます」といった具合に、サツマイモと対比すればいい。

商品について説明したいなら、ビフォー・アフターの対比も効果的だ。「これまでのアプリケーションは10万人にアプローチするのが限界でした。しかし、今回開発したアプリケーションは100万人にアプローチできます」と、前後で対比すれば、そのすごさが伝わりやすくなる。

人間は、具体的にイメージできないと行動できないものだ。対比を使えば、相手をうまく動かすことができる。

図解を使って視覚に訴える

手順を説明するとき、三流は口頭で説明し、二流は分厚い資料で説明し、一流は図解で説明する。

著者は20代の頃、会社のオペレーションをまとめるために3カ月かけて手順書を作ったことがある。出来上がったのは、500ページにわたって文字がつめこまれた超力作だ。だがその手順書は、誰にも読んでもらえなかった。著者自身、マニュアルや手順書は一切読まないタイプなのに、なぜかこのような形式にしてしまった。

手順を説明するときに使うべきは、文字ではなく「図解」だ。図解なら、細かい文字よりも圧倒的に理解しやすく、視覚に訴えて情報処理を助けることができる。

図解で説明するポイントは、「図から書くこと」である。手順、流れ、ステップといった大枠から始め、そこに文字を入れること。人物像を描くときと同じで、輪郭から描いた後に細かいところを埋めていけばいい。

説明の組み立て方

相手の頭の中を想像する
monzenmachi/gettyimages

説明の準備をするとき、三流はプロセスから考えはじめ、二流は結論から考えはじめ、一流は相手の頭の中から考えはじめる。

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要約公開日 2021.09.26
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