稲盛和夫一日一言

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出版社
致知出版社

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出版日
2021年10月15日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

本書は、京セラの創業者で名誉会長の稲盛和夫氏による最新刊である。一代で1兆円企業を築き上げた功績に加え、KDDIの立ち上げと日本航空再生という偉業に裏打ちされた教訓の数々が、1日1項目ずつ読み切れる構成で366日分紹介されている。

企業経営やリーダーシップなどの経営哲学にとどまらず、夢や魂、人生といった遠大なテーマについて、深く、幅広く考察されている。稲盛氏がよく引き合いに出す中国古典のエピソードや、「ど真剣」「物心両面の幸福追求」といった考え方のほか、何十年も先の未来の世代を見据えた企業の姿を説くなど、普遍的な価値に基づいた考え方が随所に見受けられる。

稲盛氏は、若い頃から夢や目標に向け、将来像と具体的な展開、社会的な意義を考え抜いてきた。自身の考えを会社の幹部らに行き渡らせるため、「くたくたになるほど、相手に自分のエネルギーが送り込まれる」ように説明を尽くすという。本書は稲盛氏がそうした思いを込め、全身全霊で執筆した「エネルギー転移の書」とされる。

要約に際しては、経営哲学など著者が重ねて強調していた箇所を中心に再構成した。経営者をはじめとしたリーダーの方々はもちろん、幅広い層のビジネスパーソンにお読みいただきたい一冊だ。仕事に対する心構えや人生の意義など、生きるうえでのさまざまな悩みを解決するヒントがきっと見つかるだろう。

著者

稲盛和夫(いなもり・かずお)
昭和7年鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。34年京都セラミック(現・京セラ)を設立。社長、会長を経て、平成9年より名誉会長。昭和59年には第二電電(現・KDDI)を設立、会長に就任、平成13年より最高顧問。22年には日本航空会長に就任し、27年より名誉顧問。昭和59年に稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった方々を顕彰している。著書に『人生と経営』『「成功」と「失敗」の法則』『成功の要諦』、五木寛之氏との共著に『致知新書 何のために生きるのか』(いずれも致知出版社)など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    事業の目的は、人間としても最も崇高な願望に基づくべきだ。現在のわれわれの行為が未来にもたらす結果を心にとめ、日々善きことを行いたい。
  • 要点
    2
    経営者の人格が高まるにつれ、企業は成長、発展する。企業の発展には、経営者が人間としての器を絶えず向上させていく努力が求められる。
  • 要点
    3
    感謝の心、素直な心を持とう。今ここにいることをありがたいと思えれば、心が豊かで充実している証だ。そして素直であればこそ、人は成長し、進歩する。
  • 要点
    4
    意欲や情熱を持ち、常にすべてのことに「ど真剣」に向き合って生きる。その積み重ねが人間の価値となり、人生のドラマを実り多いものにする。

要約

経営の要諦

人生・仕事の方程式

「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」という方程式は、平均的な人間が、偉大なことをなす方法はないかという問いに対し、著者が経験に基づいて導き出した答えだ。

能力と熱意は0から100点まである。自らの能力にかまけて努力を怠った人より、能力が乏しくとも誰より情熱を燃やして努力した人のほうが、結果を残せるものだ。

そして、能力と熱意に考え方を掛け合わせる。考え方は人間としての生きる姿勢であり、マイナス100からプラス100まである。世を恨み、厭世的な生き方をすればマイナスであり、能力が高くとも、結果はマイナスとなる。素晴らしい考え方や哲学を持つか持たないかによって、人生は大きく変わる。

福沢諭吉が説いた経営者のあるべき姿も、この方程式に当てはまる。すなわち、哲学者が持つような優れた思想と、元禄武士のような素晴らしい心根を併せ持ち、さらに商いなどの才能と頑健さを備えていなければ、立派な経営者にはなれない。

会社経営

会社は城の石垣のようなものだ。石垣には大小さまざまな石がある。同様に大きな売上の事業もあれば、小さな事業もある。大きな石だけでは風雪に耐えられない。小さい石が詰まっているからこそ、石垣ががっちり組まれる。

同様に、大小さまざまな事業を組み上げる。それが経営だ。

企業の成長と責任
CHUNYIP WONG/gettyimages

企業が伸びていくのは、トップの人間としての器量が伸びていくことだ。また、従業員も成長していかなければ、企業規模は拡大していかない。

マーケットに限界がある以上、会社を成長させるために、新規事業を起こす必要がある。経営の多角化は中小企業が中堅企業へと脱皮する登竜門だ。まず得意技を持ち、徹底的に磨くことが成功の秘訣である。

事業の目的は、人間としても最も崇高な願望に基づくものでなければならない。自由な経済社会は金儲けのために何をしてもいいということとでは決してない。

大企業は経済社会の健全な発展のため、厳しい自己管理のルールを確立し、自ら律すべきだ。経営者は、企業や企業群が巨大化していけば、必ず社会に破壊的な影響を及ぼす可能性を認識しなくてはならない。

われわれが行っていること、思っていることが何年先か何十年先か、やがて必ず「結果」をつくっていく。それを心にとめ、日々善きことを行いたい。

【必読ポイント!】 リーダーの資質

リーダーシップ

リーダーシップを発揮するには「自分はいつも公明正大だ」と言えるだけの迫力が求められる。公明正大さが経営者に難局に立ち向かう勇気と自信を与える。人の上に立つ者は、才覚よりも人格が問われる。

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要約公開日 2021.10.27
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