Invent & Wander

ジェフ・ベゾス Collected Writings
未読
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ジェフ・ベゾス Collected Writings
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出版社
ダイヤモンド社

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定価
1,980円(税込)
出版日
2021年12月08日
評点
総合
4.3
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

要約者がアマゾンのことを知ったのは、もう20年以上も前のことになる。自前の巨大な物流センターを持つ会社がアメリカで話題になっていると聞いた。当時は、生産設備や倉庫をアウトソースする“持たない経営”が持てはやされていたから、意外の感に打たれたのを覚えている。言わば“逆バリ”に思えたのだ。

当時の日本は、ROE(自己資本利益率)など数字がひとり歩きするような株主資本主義の最盛期だった。しかし、本書の「株主への手紙」を通読し、そうした一過性のビジネスのブームがいかに浅はかなものか、あらためて痛感した。

本書の前半は、このように1997年から2019年までの株主への手紙である。そして後半が、「人生と仕事」と題してインタビューや講演の原稿を集めたものだ。ここでは自身の出生から未来への展望まで、どことなく謎めいているベゾスの人物像に触れられ、実に興味深い。プリンストン大学の卒業生に宛てた「賢いよりも優しいほうが難しい」というメッセージには感慨深いものがある。

何よりも圧倒されるのは、宇宙を目指す目的について語る章だ。そこには、未来の人類に向けて、宇宙を開拓するためのインフラを用意するという壮大な使命感があったのだ。アマゾンのビジネスモデルについてはすでに多くが語られている。しかし、それを生み出した思考の本質とはどのようなものだろうか。初めて見聞する内容が満載だ。それを知りたいと思うなら必読の書である。

ライター画像
しいたに

著者

Amazon創業者、元CEO。宇宙飛行のコスト削減と安全性向上に取り組む宇宙開発企業、ブルーオリジン創業者。ワシントン・ポスト社オーナー。2018年、ホームレスの家族を支援する非営利団体の支援や、低所得地域の優良な幼稚園のネットワーク構築に注力するベゾス・デイワン基金を設立。1986年、プリンストン大学を電気工学とコンピューターサイエンスでサマ・カム・ラウディ(最優秀)、ファイ・ベータ・カッパ(全米優等学生友愛会)メンバーとして卒業、1999年、タイム誌「パーソン・オブ・ザ・イヤー」選出。

本書の要点

  • 要点
    1
    後悔のほとんどは、やらなかったことによって起こるものだ。著者は、80歳になったとき、あれやこれや後悔したくないと思い、インターネットの世界に飛び込んだ。
  • 要点
    2
    リーダー層は、常に2、3年先を考えていなければならない。そして、一日に3つでも良い決定ができたらそれで十分だ。その3つの判断の質をいかに高められるかが問題だ。
  • 要点
    3
    宇宙を目指す目的は、地球を守るためである。来るべき世代のために宇宙にアクセスをするインフラを用意することが、著者が果たそうとしている役割なのだ。

要約

アマゾンの勝ち方

長期的な成長を優先する

アマゾンの基本理念として、「デイワン(はじまりの日)」がある。アマゾンは常に創業したばかりであり、決して「デイツー(二日目)」になってはならないのだ。なぜなら二日目には組織は立ち止まり、時代に乗り遅れ、やがて会社が傾いていくからだ。

デイワンに留まるためにはどうしたらいいのか。その答えは、お客様にこだわること、既存のプロセスを疑うこと、外部のトレンドを取り入れること、そして素早く意思決定を行うことだ。

そのうち、意思決定のスピードを上げることに関し、意思決定には2種類あるという認識が役に立つ。ひとつは、いったん決めたら後戻りができない意思決定だ。このような決定はゆっくりと慎重に下さねばならない。

だが、ほとんどの決定はそのようにする必要はない。たいていの決定は後戻りできる類のものだ。あらかじめ「後戻りできるかできないか」と問うことで、組織としての意思決定のスピードを底上げできる。

最もお客様中心の企業
Daronk Hordumrong/gettyimages

アマゾンの目標は、世界で最もお客様中心の企業になることだ。恐れるべき相手はライバル企業ではなく、お客様である。

アマゾンをいまの姿にしてくれたのもお客様であり、大きな義務を負っている相手もお客様だ。たとえ、いまお客様がアマゾンを支持してくれていたとしても、ほかの誰かがよりよいサービスを提供した瞬間に、そっぽを向かれることも、著者は理解している。

だから、あらゆる機会を捉えて常に改善し、実験し、イノベーションを起こす努力を怠ってはならない。

著者は、しばしば「今後10年で何が変わると思うか?」という類の質問を受ける。これに対し、著者は「今後10年間で変わらないものは何か?」という問いがさらに重要だと考えている。

それは何か? 「豊富な品揃え」「低価格」「迅速な配達」――こういったお客様のニーズこそ、どんなに時代が変わっても変わらないものである。

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