方法序説

未 読
方法序説
ジャンル
著者
ルネ・デカルト 山田弘明(訳)
出版社
定価
990円(税込)
出版日
2010年08月10日
評点
総合
4.5
明瞭性
4.0
革新性
5.0
応用性
4.5
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著者
ルネ・デカルト 山田弘明(訳)
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990円(税込)
出版日
2010年08月10日
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おすすめポイント

本書は、カントやヘーゲルに連なる近代哲学の出発点であり、「コギト・エルゴ・スム(私は考える、ゆえに私はある)」という言葉でも有名な、哲学史に革命的な転換をもたらした書物である。しかし『方法序説』とはその名のとおり、屈折光学、気象学、幾何学に関する研究をまとめた本に付された「まえがき」に過ぎない。デカルト自身の位置づけとしては、哲学そのものというよりも、自然に関する哲学的な真理の探究=「自然哲学」(現代でいうところの自然科学)をどのように研究したのか、その「方法」を著したものである。

近代合理論の哲学としてよく知られており、本書でも実際に演繹法を駆使した真理の探究の方法が披露されている。一方で、改めて読んでみて興味深く感じるのは、実際にたくさんの人と会って人間を観察し、感じたことや会話から得られたこと、旅をして世の中を見聞きし、自分で実際に経験したことを思考の基礎として重要視している点である。

41歳のデカルトが、若い頃からどのような経験をして、どのように考えたか、これからどのように哲学を探究していきたいかを著した、決意表明の書物でもある。革新的な「方法」を見出したことで開けた広大な地平を前にしたデカルトの、瑞々しい希望で満たされている。いわゆる「方法的懐疑」が示された本書を通して、哲学の知識だけでなく、あらゆる常識を疑い、自分の頭で考えてみるという思考法を身につけることもできるだろう。

ライター画像
大賀祐樹

著者

ルネ・デカルト(René Descartes)
1596‐1650年。フランス、トゥレーヌ州の法服貴族の家に生まれる。イエズス会系のラフレーシ学院でスコラ哲学や数学を、ポアティエ大学で法学と医学を学ぶ。欧州を転々としながら、科学者たちの知己を得、数学や光学の研究に携わる。1628年以降、オランダに移住。『省察』『哲学原理』などの著作を遺し、近代哲学の基礎を築いた。招聘先のストックホルムにて死去。

本書の要点

  • 要点
    1
    哲学が長い間、一つの真理にも到達できずにいるのは、基礎が不確かだからだ。確かな真理にいたる方法を探るためにも、学校や書物からだけでなく、人びととの交際や経験からも学ばなければならない。
  • 要点
    2
    真理の探究のためにはほんの少しでも疑わしいものは除外しなければならない。となると、あらゆるものが疑わしくなるが、「私は考える、ゆえに私はある」ということは疑いえない。これが哲学の第一原理だ。
  • 要点
    3
    「私」とは、身体や存在する空間がなくても、考えるものとして存在しており、その本質は考えることである。

要約

方法の探究

理性はすべての人に公平に与えられている

良識はこの世で最も公平に配分されたものであり、真と偽を区別するこの能力を、誰もが生まれつき平等に備えている。人びとの意見が多種多様になるのは、ある人が他の人よりも理性的であるからではなく、さまざまな道から物事を考えているからだ。著者であるデカルトは、自分の精神が他の人よりも優れていると思ったことは一度もなく、むしろ、他の人と同じくらいの思考力や想像力、記憶力を持ちたいと望むほどだったという。動物から人間を区別している、理性、分別という力は、全ての人間の内に完全な形で備わっているのだ。

デカルトは、幸運にも若い頃から、知識を高め、多くの成果を得られる道に出会い、一つの方法を作り上げた。しかし、自分自身に関することや、われわれに対して好意的な友人の判断は間違いやすいものである。

だから、デカルトは本書を通して、自分の理性をよく導くための方法を教えるのではなく、自分が人生においてどのような道をたどってきたのか、その物語を描き出そうとした。読者はそこからみならいたい例や、従うべきではないことを学び取れるだろう。

書を捨て、旅に出よ
fcscafeine/gettyimages

デカルトは、幼い頃から書物での勉学で育ち、それによってすべてのことについての明晰な認識を習得したいと強く望んでいた。しかし、学業の全過程を終えて学者として認められる頃になると、多くの疑いに悩まされ、むしろ、自分の無知を思い知らされることになった。ヨーロッパで最も有名な学校の一つで学び、そこで教わることのできる全ての学問だけでは飽き足らず、珍奇な学問に関する書物でさえ手当り次第にすべてを読破した。それでも、あらゆるものに対する確かな認識に至れるような学問はこの世には存在しないと思うようになった。

もちろん、学校で取り組む学問は、尊重すべきものである。言語学習は昔の書物を理解するために欠かせないし、良書を読むことは、その著者、過去の最も教養ある人たちと会話するようなものだ。迷信的で怪しげな学問にいたるまですべての学問を吟味したことで、その正しい価値を知り、だまされないように用心できるようになったのは良い経験だった。

昔の書物を読み、ほかの時代の人たちと会話をすることは、旅をすることと同じである。異なる人たちの生き方を心得ておけば、自分たちの生き方をより健全に判断できるようになるだろう。しかし、そうしてあまり長く過去の時代に関心を向けすぎると、今の時代に疎くなってしまう。

哲学は数世紀のあいだ、最もすぐれた人たちによって議論されてきた。しかし、学者によって異なる意見が主張されるせいで一つの真理にも到達できずにいる。それらはほとんど全てが本当らしく見えるだけの疑わしいものにすぎない。他の学問は哲学から原理を借りて構築されるが、このような弱い基礎のうえには堅固なものを建てることはできないだろう。

それゆえデカルトは学校を卒業すると、書物による学問をやめた。世間という大きな書物に見出されるものだけを学ぶため、青年時代の残りを旅に費やすことにしたのだ。宮廷や軍隊に入り、さまざまな性格、身分の人と交際して、経験を積み、運命によるめぐりあわせに身を任せて、そこから何かを得られないかを考え続けた。これによって、学者が書斎で何も生み出さない思弁を続けるより多くの真理を得られると思われた。実際に、人びとの間には哲学者たちの間にあるのと同じような意見の多様性があることに気づき、先例と習慣によってのみ納得したようなことは、あまり信じてはいけないということを学んだ。

そうしてデカルトは、全精神を傾けて、書物などではなく自分自身を通して真理を追究しようと決心した。

自分をつくり直す
ArtistGNDphotography/gettyimages

23歳の冬、兵士として冬営地にひき留められたデカルトは、一人で炉部屋に籠もって思索にふけり、次のような考えにいたった。

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