心配事の9割は起こらない

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心配事の9割は起こらない
出版社
出版日
2013年08月27日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「余計な不安や悩みを抱えないように、他人の価値観に振り回されないように、無駄なものをそぎ落として、限りなくシンプルに生きる。それが、この本で私がいいたいことです」――本書はこのメッセージからはじまる。

著者は曹洞宗徳雄山建功寺の住職を務め、禅の思想と伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行なう禅のスペシャリスト、枡野俊明氏だ。枡野氏は禅僧として多くの人の悩みに耳を傾ける中で、そのほとんどが「妄想」や「思い込み」、「勘違い」や「取り越し苦労」にすぎないことに気づいたという。

著者によると、「禅の教え」は、不安や悩みは「取り越し苦労」だったと気づかせ、心を軽くするきっかけを与えてくれる。禅というと難しいイメージがあるかもしれないが、実は日々の暮らしと結びついている、とも著者は語っている。

本書は、それぞれの項目に一つまたは複数の「禅語」が紹介され、その意味と本質を丁寧に解説してくれる。いずれも平易な言葉でつづられているため、禅についてほとんど知識のない方でも、抵抗なくスラスラと読み進めることができるだろう。一つひとつのテーマも「持ち物を減らす」「置かれた場所で輝く」「『また会いたい』と思わせる」など、親しみのもてるものばかりだ。まさに禅は日々の暮らしと結びついていることがわかる。

変化の激しい現代において、心配事は絶えず生まれ、私たちの心を揺さぶるものだ。そんなときにこそ、普遍的な「禅」の世界を覗き、穏やかに生きるためのヒントを受け取ってはいかがだろうか。

著者

枡野俊明(ますの しゅんみょう)
1953年、神奈川県生まれ。曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学環境デザイン学科教授。玉川大学農学部卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行ない、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。また、2006年「ニューズウィーク」誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選出される。近年は執筆や講演活動も積極的に行なう。
主な著書に、『リーダーの禅語』(三笠書房)、『禅、シンプル生活のすすめ』『禅「心の大そうじ」』(以上、三笠書房《知的生きかた文庫》)などベストセラー・ロングセラーが多数ある。

本書の要点

  • 要点
    1
    比較することをやめたら、妄想の9割は消えてなくなるはずだ。
  • 要点
    2
    本気で取り組める仕事は、どこかからもたらされるわけではない。いまの仕事に本気になった結果、立っている場所が輝き始めるのだ。
  • 要点
    3
    どんな仕事も「おかげさま」で成り立っている。かげで支えてくれた人に感謝することで、周囲からの協力が得られ、さらに大きな仕事につながることも覚えておきたい。

要約

【必読ポイント!】さっさと減らそう、手放そう、忘れよう

“妄想”しない

「莫妄想(まくもうぞう)」という、「妄想することなかれ」という意味の禅語がある。禅では、心を縛るものや心に棲みついて離れないものは、すべて「妄想」と呼ぶ。

とはいえ人間である限り、あらゆる妄想から逃れることはできない。大切なのは、妄想をできるだけ減らしていくことだ。

妄想を減らすためには、妄想の正体を見きわめる必要がある。『孫子』に「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」という言葉がある通り、敵を知らなければ、相手にどう向き合ったらいいのかわからないままだ。

妄想の根源にあるのは、ものごとを対立的にとらえる考え方だ。「生死」「勝負」「美醜」などと対立的に考え、そのどちらかを尊いものと思うと、そのことにばかりとらわれてしまう。比べようとするから、不安や悩み、心配事が増えるのだ。

比較することをやめたら、妄想の9割は消えてなくなるだろう。何かと比べることなく、絶対の自分を信じて生きていこう。

持ち物を減らす
Lyndon Stratford/gettyimages

一度手に入れた物を手放せず、部屋が物で溢れ返っている――。その原因は「手放せない」「捨てられない」だ。

禅には、お寺や神社でお賽銭を投げることを表す「喜捨(きしゃ)」という言葉がある。なぜ大切なお金を喜んで捨てられるのだろうか。それは「ひとつ捨てることは、執着からひとつ離れること」だとされているからだ。執着は心を曇らせる要因だから、捨てることは喜ぶべき行為だと考えられている。

喜捨の精神で気持ちを吹っ切り、思い切って物を捨ててみよう。ポイントは「捨て方」だ。友人に譲る、ボランティア団体に寄付するなど、なにかの役に立つ捨て方であれば「もったいない精神」とも折り合いがつく。

捨てる物と残す物の選別には、禅語にある「把手共行(はしゅきょうこう)」の考え方を取り入れよう。「心から信じることのできる人と手を取り合って人生を歩んでいきなさい」という意味だが、これは物にも当てはまる。この考え方で、あなたの人生に寄り添ってくれる大切な物を見きわめよう。

「色眼鏡」を外す

「どうも、あの上司とはソリが合わない」「隣の奥さん、私のことを避けているみたい……」このような先入観に縛られていないだろうか。いったんマイナスの思いにとらわれてしまうと、なかなか払拭できないどころか、負の感情がますます濃くなってしまうものだ。

禅では「色眼鏡をかけない」という教えによって、先入観で人を判断することを強く戒めている。相手の一面のみをもって人間性を決めつけてしまえば、その人の本質を見誤ってしまうかもしれない。まずは自分から色眼鏡を外そう。

そのうえで、「一切衆生(いっさいしゅうじょう)、悉(ことごと)く仏性有(ぶっしょうあ)り」という禅語を胸に刻もう。「あらゆるものには、仏性という美しい心が備わっている」という意味だ。色眼鏡を外せば、相手の中にある仏性が見えてくるだろう。

「いま」できることだけに集中する

余計なことを調べない

幅広い情報が簡単に手に入る現代においては、「有り余る情報が判断力を弱める」という憂慮すべき問題がある。多すぎる情報は「迷い」のもとだ。

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要約公開日 2022.05.10
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