頭のよさとは何か

未 読
頭のよさとは何か
ジャンル
著者
中野信子 和田秀樹
出版社
プレジデント社 出版社ページへ
定価
1,650円(税込)
出版日
2022年03月31日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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頭のよさとは何か
頭のよさとは何か
著者
中野信子 和田秀樹
未 読
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定価
1,650円(税込)
出版日
2022年03月31日
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4.0
革新性
4.0
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おすすめポイント

単刀直入なタイトルに驚いた。しかしこのタイトルは、本書の内容にぴったり合致している。人によって考え方や意見が違ったり、一般に言われていることと真実が異なったりするとき、私たちは「~とは何か」という問いかけをする。本書の内容を的確に表現した、まさに「頭のよさ」を感じるタイトルである。

本書の著者は、脳科学者の中野信子氏と精神科医の和田秀樹氏だ。“頭がいい”とはどういうことか、どうすれば言語能力を上げられるのか、頭をよくするためには何をしたらいいか、年齢を重ねても幸せに生きるには――。お互いにこうした興味深い問いを投げかけながら、「頭のよさ」について語り合っている。

話題は、大学受験から政府・自治体の新型コロナウイルス対応、セクハラ問題までと幅広い。ときには専門的知見で日本社会の現状を鋭く分析し、ときには爽快感のある毒舌で私たちを楽しませてくれる。もちろん、読んでいて楽しいだけでなく、頭をよくするためのヒントも満載だ。

不確実性の時代と呼ばれる現代にあって、「知」とは何か、「頭のよさ」とは何かを考え、どのように生きていくべきかに思いをめぐらす。そして、考えたことを実践に移し、習慣化する。こうした振る舞いこそ、今を生きる私たちに求められるものだと思う。知的好奇心を満たしたい人や、いつまでも魅力的であり続けたい人におすすめしたい一冊である。

ライター画像
たばたま

著者

中野信子(なかの のぶこ)
脳科学者・医学博士・認知科学者。1975年東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。脳科学や心理学をテーマに、人間社会に生じる事象を科学の視点をとおして明快に解説し、多くの支持を得ている。現在、東日本国際大学教授、京都芸術大学客員教授。

和田秀樹(わだ ひでき)
1960年大阪市生まれ。1985年東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科、老人科、神経内科にて研修、国立水戸病院神経内科および救命救急センターレジデント、東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、高齢者専門の総合病院・浴風会病院の精神科医師を経て、現在、国際医療福祉大学赤坂心理学科教授、川崎幸病院顧問、一橋大学・東京医科歯科大学非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック院長。

本書の要点

  • 要点
    1
    脳の老化は、前頭葉機能から起こる。前頭葉機能を鍛え、危機対応能力やクリエイティビティを衰えさせないようにしたいものだ。
  • 要点
    2
    日本は、情報弱者が損をする仕組みになっている。損をしないためには、「知ること」と「意欲」が大切だ。
  • 要点
    3
    考えたり発想したりする習慣をつければ、何歳になっても頭はよくなる。
  • 要点
    4
    愚かな知識人より、飢えた知恵者を目指し、社会を変えていこう。

要約

本物の「頭のよさ」を考える

「老化」はクリエイティビティから始まる

和田氏は、精神科医として多くの高齢者を診てきた経験から、「老化」は意欲や新しいことへの対応能力、クリエイティビティなどといった能力から始まるという。記憶障害や知能障害が起こるよりも先に、脳の前頭葉機能が衰えてしまうのだ。

日本では、企業活動や政府・自治体の新型コロナ対応などにも見られるように、前例踏襲型の思考が一般的だ。そんな環境で暮らしていると、前頭葉がどんどん衰えていき、「面白くない老人」になってしまう。前頭葉機能、つまり新規のことに対応する能力を鍛えることで、脳の老化を食い止め、危機対応能力やクリエイティビティを衰えさせないようにしなければならない。さもないと、日本社会はAI時代に対応できないだろう。

「本当の知性」を強化する
MF3d/gettyimages

中野氏は「右脳理論」「左脳理論」という考え方に否定的だ。左右の機能分化はあるものの、左脳が論理で右脳が芸術という理論にはエビデンスが乏しく、信用できないと考えている。

和田氏もその見解に賛成だ。注目すべきは右脳/左脳ではなく、前頭葉機能と知能との関係であり、「EQ」であると考えている。「EQ」(Emotional Intelligence Quotient)は、心の知能指数と訳され、感情を上手に管理、コントロールする能力を指す。

アイオワ大学のアントニオ・ダマシオ神経学部長が治療したエリオットという30代の患者は、弁護士として成功したものの、脳腫瘍におかされ、摘出手術を受けた。術後のエリオットは、仕事を途中で投げ出したり、どうでもいいことに妙にこだわったりするなど、性格がまるっきり変わってしまったのだという。その原因は、手術によって前頭葉が損傷したことにあると考えられている。

こうした話を受けて中野氏は、「頭のよさ」には、知能面と感情面があると指摘する。さらには、目先の問題を解決するための「やり方」暗記能力より、問題点を洗いだして、それを解決する方法を導きだす能力こそが本当の知性だと主張する。これから来る不確実性の時代に生き残っていくためには、この「本当の知性」を強化しなければならない。

「ど根性勉強」は学歴の高いバカしか生まない

「バカな物知り」が生まれる理由

「人に言われた通りのことができるのが頭がいいとか、ものを知っていることが頭がいいとする風潮は危険」と和田氏は指摘する。もちろん、ものを知っているのは悪いことではないが、それよりも知識の使い方のほうが重要なのだ。それなのに世間には「ものを知ることというのは、正しい答えをひとつ見つけることだ」と勘違いしている人が多いため、“バカな物知り”が増えるのだと和田氏は嘆く。

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