不安に負けない気持ちの整理術 ハンディ版 (特装版)

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出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン

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出版日
2022年03月25日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

長引く新型コロナウイルスの影響や不安定な世界情勢。いまや、一切、何の不安も抱えていない人などどこにもいないだろう。しかし、そんな現代でも、不安に押しつぶされそうになっている人と、そうでない人がいる。両者の違いはなんなのだろうか。

精神科医である著者の和田秀樹氏は、それは、不安を受け入れている人と、そうでない人の違いだとしている。たとえば、家から一歩外に出るだけで、交通事故に遭うリスクが発生する。このリスクをゼロにすることは不可能だ。あらゆるリスクを一切なくすことが不可能である以上、私たちはある程度リスクを受け入れて生きなければならない。和田氏はすべてをむやみに不安がるのではなく、「本当に不安に思うべきことは何か」を見極めることが重要だと主張している。

また、和田氏は、森田療法という精神療法の考え方を引用し、不安を感じるのは「生の欲望」があるからだと説いている。たしかに、不安を感じるのは「失敗したくない」、あるいは、「よりよい結果を残したい」という欲望があるからだろう。「不安」を悪いものだと決めつけて押さえつけようとするのではなく、成長へのモチベーションやエネルギーに変えていこうとする点が斬新だ。

不安に押しつぶされそうになる自分を抑え込み、否定するのではなく、不安を受け入れて、それをエネルギーに変えていくというアプローチは、理屈よりも感情的な問題である「不安」への対処として現実的だ。今まさに不安と戦っている人には、すぐに手に取っていただきたい。不安を感じることそのものは、悪いことではないのだ。

ライター画像
千葉佳奈美

著者

和田秀樹(わだ ひでき)
1960年大阪市生まれ。1985年東京大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院精神神経科、老人科、神経内科にて研修、国立水戸病院神経内科および救命救急センターレジデント、東京大学医学部付属病院精神神経科助手、アメリカ、カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、高齢者専門の総合病院である浴風会病院の精神科を経て、現在、国際医療福祉大学心理学科教授、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック(アンチエイジングとエグゼクティブカウンセリングに特化したクリニック)院長。
1987年『受験は要領』がベストセラーになって以来、大学受験の世界のオーソリティとしても知られる。
著書に『感情的にならない気持ちの整理術 ハンディ版』『医学部の大罪』(以上、ディスカヴァー)、『「あれこれ考えて動けない」をやめる9つの習慣』(大和書房)、『感情的にならない本』(新講社ワイド新書)、『受験は要領』(PHP文庫)など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    他の感情に比べ、「不安」が人生にもたらすダメージは大きい。本当に不安に思うべきことは何かを冷静に見極め、適切な行動を見つけることが重要だ。
  • 要点
    2
    不安は、なくしたいと考えるほど増幅する。不安感情をコントロールするよりも、まずは本来の目標が何かを考える。そして、その目標を達成するための方法を探し、行動するべきだ。
  • 要点
    3
    人が不安を感じるのは、よりよい結果を求める「生の欲望」があるからだ。不安は成長や努力のエネルギーにも変えられる。

要約

【必読ポイント!】 不安に負けない気持ちを持つために

不安をコントロールするより行動すること
Maria Korneeva/gettyimages

「不安」はやっかいな感情だ。振り込め詐欺にだまされてしまうのも、ブラック企業で理不尽な働き方に苦しんでしまうのも、「不安」という感情が関係している。他の感情に比べ、「不安」が人生にもたらすダメージは大きい。

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、大きな社会混乱が生じた。コロナ不安から病院での受診を控える動きがあり、持病の悪化や重大な疾病が見逃される事態が発生している。コロナへの不安だけが強くなった結果、その他のリスクが軽視されてしまっている状態だ。

まずは冷静になり、本当に不安に思うべきことは何かを見極め、適切な行動を見つけることが肝心だ。精神科医である森田正馬は、この発想を精神療法の分野で提唱し、森田療法を創設した。森田療法では、なくしたいと考えるほど不安は増幅すると考える。したがって、不安感情をコントロールするのではなく、不安感情に対する態度や行動に注目し、それを治すというアプローチを取る。そのために本来の目標が何かを考えていく。

たとえば、顔が赤くなることに悩んでいる人は、顔が赤くなることそのものではなく、顔が赤くなることによって人に嫌われてしまうことに悩んでいるかもしれない。ならば、顔が赤くなるのを治す方法ではなく、人に好かれる方法を考えるべきだ。このように、本来の目標がわかれば、その目標を達成するための方法を探し、行動することができる。

不安と正しく向き合う方法

不安は「生の欲望」

世の中のほとんどすべての人が何らかの不安を抱えている。しかし、むやみに不安な気持ちを恐れる必要はない。不安は、正しく向き合えば仕事や勉強の動機づけにもなる。

森田療法では、人が不安になるのは「生の欲望」があるからだと考える。たとえば、人に嫌われるのが不安な人は「人に好かれたい」という生の欲望を持っている。「人に好かれたい」と思わない人は対人関係に不安など持たないのだ。「人に嫌われるのが怖い」と思うのは、「人に好かれたい」という欲望が強いからこそだ。ならば、生の欲望を活かす生き方を目指すべきだろう。

成功している経営者の多くも日々不安を抱えている。しかし、その不安を自覚した上でエネルギーに変え、日々大きな決断を下しているのだ。

不安に思うときは、なぜ不安なのかを考えてみよう。人間は不安だからこそ、努力できるのだ。

悲観的に考えすぎない

「地下鉄に乗っているときに大地震が起きて閉じ込められたらどうしよう」

「繁華街で通り魔に遭遇するかもしれない」

このような事態を考え、日常的にあれこれ悲観的に考えてしまう人がいる。

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要約公開日 2022.05.23
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