大往生

未 読
大往生
ジャンル
著者
永六輔
出版社
定価
880円(税込)
出版日
1994年03月22日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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著者
永六輔
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880円(税込)
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1994年03月22日
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おすすめポイント

「老い」、「病」、「死」。この3つをテーマにした書籍や作品は数多く見られる。生きていれば避けては通れないことであり、誰にとっても他人事ではない。

これらのテーマに対して、さまざまなアプローチがある。医学・科学的な解釈、法的な手続きなど実務的なハウツー、宗教、マインドセット、または芸術的視点など、その方法は多岐に渡る。その中でも、本書は巷に生きる人々の言葉を足掛かりにしている点が興味深い。

著者は放送作家や作詞家などとして活躍した永六輔氏であり、この本は245万部を超えるベストセラーだ。「人が言葉を語る」ことにかかわる仕事のプロフェッショナルである永氏の視点は鋭い。作家でも芸能人でもない、いわゆる「普通の」人々が語る言葉には、きれいごとだけでも、悲劇だけでもない実感がこもっており、味わい深い。そういう人の言葉こそ重要なのだと永氏は語る。そうした「普通の」人々の放つ言葉には、普段自分が思いも寄らないような発想があり、考えさせられる。「老いることはよくない」、「病気になるのは悲劇だ」、「死は悲しい」、そんなイメージがただの固定観念であることを本書は教えてくれる。

「老い」、「病」、「死」をテーマとするものには重厚なものが多いが、本書は巷の人々の飾らない言葉と、永氏の軽妙な語り口によって、次から次へと読み進めることができる。くすりと笑えるところも多く、息抜きにぴったりだ。

ライター画像
千葉佳奈美

著者

永六輔(えい ろくすけ)
1933-2016年。東京浅草に生まれる。本名、永孝雄。早稲田大学文学部在学中より、ラジオ番組や始まったばかりのテレビ番組の構成にかかわる。放送作家、作詞家、司会者、語り手、歌手、ラジオパーソナリティなどとして、多方面に活躍。
著書-『二度目の大往生』『職人』『芸人』『商人』『夫と妻』『親と子』『嫁と姑』『伝言』(以上、岩波新書)

本書の要点

  • 要点
    1
    人間はみな必ず死ぬ。高齢社会と言われるようになって「老い」、「病い」、「死」をテーマにした書籍やテレビ番組などが多く見られるようになったが、本書はこうしたテーマについて、巷に生きる人たちの言葉を軸に考えていく。そうした言葉にひそむ実感こそ重要なのである。
  • 要点
    2
    「老い」と違い、「病い」は不運である。「老い」はただ受け入れればいいが、「病い」は闘って勝たなければならない。負けは「死」を意味するため、「病い」と闘うには覚悟がいる。

要約

【必読ポイント!】 「老い」について

巷に生きる人の言葉の重み

医者も僧も哲学者も、人間はみな必ず死ぬ。高齢社会と言われるようになって「老い」、「病い」、「死」をテーマにした書籍やテレビ番組などが多く見られるようになった。本書ではこうしたテーマについて、著名人ではなく、巷に生きる人たちの言葉を軸に考えていく。

まず、長寿でトップ(1994年当時、データ等については以下同様)の沖縄県那覇市にある泉崎病院の医師、看護師、患者による川柳をいくつか紹介したい。

「百薬を飲み過ぎ万病で入院中」

「わからないことは老化と医者は言い」

「人生は紙おむつから紙おむつ」

こうした句にひそむ実感こそ重要である。「説教や理屈でなく、病院を舞台にして笑いながら本質をついている点を学びたい」と著者は書く。

「私は未亡人になってからのことを考えているの」
DGLimages/gettyimages

次に、著者が旅暮らしで集めた人々の言葉から、「老い」について考える。

「日本の高齢者問題なんですから、日本語でやっていただきたい」

行政の使う言葉には横文字が多すぎる。たとえば「アメニティ・タウンのニーズによるデイサービスを考える会」という名前の集会には、福祉関係の若い役人しか集まらなかったそうだ。「国際的」とは、やたらに横文字を使うことではない。

「旦那は定年後のことをいろいろ考えているんだけど、私は未亡人になってからのことを考えているの」

平均寿命から考えると、女性のほうが長寿である。老人ホームでは85%が女性であり、未亡人の世界なのだ。特に、夫を見送り、死後の整理をするのも妻の役目と考えられていた世代では、妻のほうが若い。ただ、最近はむしろ夫のほうが若い夫婦も増えている。

「歳をとったら女房の悪口を言っちゃいけません。ひたすら感謝する、これは愛情じゃありません、生きる智恵です」

これは下町の、道楽ばかりしていた頭の言葉だ。この夫婦は喧嘩ばかりしていることで有名だったが、老いてからはその仲の良さで評判になった。夫婦喧嘩は離婚の原因にも、日常の活力にもなる。「最後に笑えればそれが幸福」なのだ。

「他人に親を押しつけて、孝行面をするな」

「これからは老人が増えるから、どうこうしなければいけないって……。老人が増えることが、いけねェことのように言う奴がいるでしょう。あァいう奴は、手前が歳をとらないと思っているのかねェ」

厚生省の福祉担当者が大学を出たばかりの若者なら、老人問題を理屈ではわかっていても、身体で理解できていない。この中に身体で考えることのできる定年後の老人が1人でもいれば、福祉行政は変わるはずだ。

「老人を預けに来た家族が週休2日制でさ、その老人を世話している俺たちが、なんで休みがとれないんだよ! 他人に親を押しつけやがって、面会に来て孝行面をするんじゃねェよ」

これは、老人ホームで働く介護職の若者が吐きすてるように言った言葉だ。預ける家族にも事情があるだろうが、介護をする側の不満がたまっている。双方が笑顔でいられる施設はいつできるのだろう。

「老人ホームはお洒落な二枚目のお爺さんを探しています」

「老人ホームはお洒落な二枚目のお爺さんを探しています。素敵なお爺さんがいるだけで、お婆さんたちが、みんないいお婆さんになりますから」

これは九州の老人ホームで聞いた話だ。戦前に上海でピアノを弾いていたという粋な老人が入所した。いつも赤の細身の蝶ネクタイをし、どのお婆さんにもレディとして向き合う。彼が園内を散歩するようになると、みな少女のように愛くるしくなった。

「90歳で元気なバアさんに、牛乳を飲むと長寿になるから、がまんして飲みなさいって医者が言うんだってさ。……バアさんは、この年になって今さら嫌いなものはいやだって言ってるんだよ」

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