メタバース進化論

仮想現実の荒野に芽吹く「解放」と「創造」の新世界
未読
メタバース進化論
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仮想現実の荒野に芽吹く「解放」と「創造」の新世界
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メタバース進化論
出版社
技術評論社

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定価
1,980円(税込)
出版日
2022年03月19日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

2021年10月28日、Facebook社CEOマーク・ザッカーバーグが社名を「Meta」に変更すると発表したのは記憶に新しい。同社のブランドイメージ刷新や若者のFacebook離れへの対策というのは一側面の事実だ。一方、ネット世界の行きつく到達点の1つとも言われるメタバースを、世界中に知らしめた出来事であるのは間違いない。そのザッカーバーグの発表を、著者「バーチャル美少女ねむ」氏はリアルタイムで友人たちと見ていたという。メタバース世界の中で――。

メタバース世界はMetaが新たに作る概念でもなければ、新たな世界でもない。既に存在する世界であり、多くの「住民」がいる。著者はメタバース世界に生きる原住民の1人だ。その新世界では現実とは全く異なる新しい常識や文化が生まれているという。

著者は実情把握のために「ソーシャルVR国勢調査2021」というアンケート調査を実施、メタバース住人の生活実態を可視化した。調査結果は本書の中で克明に記されている。著者はメタバースを「私たちが生きる、デジタル世界の新宇宙」と言い、いち早く適応した原住民を「ホモ・メタバース」と呼んでいる。

要約者は本格的なVRゴーグルを使ったこともなく、メタバースの世界に全く触れたことがない。しかし本書を読み、単なるバズワードとして捉えていたメタバースを理解できた。

自分自身でデザインできる新しい世界。その世界へと人類は突き進んでいくのか、それともあくまで一部の人だけの世界に留まるのか。いろいろと考えさせられる1冊だ。

著者

バーチャル美少女ねむ(ばーちゃるびしょうじょねむ)
メタバース原住民にしてメタバース文化エバンジェリスト。「バーチャルでなりたい自分になる」をテーマに2017年から美少女アイドルとして活動している自称・世界最古の個人系VTuber。VTuberを始める方法をいち早く公開し、その後のブームに貢献。2020年にはNHKのテレビ番組に出演し、お茶の間に「バ美肉(バーチャル美少女受肉)」の衝撃を届けた。ボイスチェンジャーの利用を公言しているにも関わらずオリジナル曲『ココロコスプレ』で歌手デビュー。作家としても活動し、自筆小説『仮想美少女シンギュラリティ』はAmazon売れ筋ランキング「小説・文芸」部門1位を達成。フランス日刊紙「リベラシオン」・朝日新聞・日本経済新聞など掲載歴多数。VRの未来を届けるHTC公式の初代「VIVEアンバサダー」にも任命されている。

本書の要点

  • 要点
    1
    メタバースは進化途上で定義も未統一だ。著者は「空間性」「自己同一性」「大規模同時接続性」「創造性」「経済性」「アクセス性」「没入性」の7つを満たす仮想世界をメタバースと定義した。
  • 要点
    2
    ソーシャルVRは7要件を最小限に満たしているメタバース世界だ。最も利用されているサービスはVRChatで、ソーシャルVRのユーザーは世界で数十万人と推測される。
  • 要点
    3
    現実世界ではアイデンティティを変えることは容易でないが、メタバースでは自在にデザインできる。なりたい自分で生きることができるのだ。

要約

メタバース概論

超世界メタバースの始まり

「メタバース(Metaverse)」は、「超(Meta-)」と「世界(Universe)」を組み合わせた造語で、「現実を超えた世界」といったニュアンスだ。米国のSF小説『スノウ・クラッシュ』(1992)の仮想世界として登場した。仮想世界だが、実際にそこにいるような体験ができ、土地の売買などの経済活動も成り立つ。そんな作中の世界は現在のメタバースの概念とも似ており、影響を受けているVR開発業界の人は多い。

メタバースは2007年、米国リンデンラボ社の仮想空間セカンドライフでも注目された。セカンドライフはアバターで世界中のユーザーとコミュニケーションができ、ゲーム内の通貨を現実のお金に換金できた点が画期的だった。大金を稼ぐユーザーも登場し、約100万人のユーザーがいた。

このセカンドライフを前提とし、日本バーチャルリアリティ学会が2011年に定義した4要件が、メタバースの初期の概念だ。すなわち、①三次元のシミュレーション空間(環境)を持つ(「空間性」)、②自己投射性のためのオブジェクト(アバター)が存在する(「自己同一性」)、③複数のアバターが、同一の三次元空間を共有することができる(「同時接続性」)、④空間内に、オブジェクト(アイテム)を創造することができる(「創造性」)、これら4つである。

新たな生活空間
DKosig/gettyimages

セカンドライフの時代と比べ、今はネット環境もPCスペックも進化している。2016年には一般ユーザー向けVRゴーグルが販売され、サービスも開始された。

しかし、メタバースの統一した定義は今も存在しない。なぜならメタバースは進化過程にある概念だからだ。

そこで著者は、日本バーチャルリアリティ学会の4要件(同時接続性は「大規模同時接続性」に変更)に「経済性」「アクセス性」「没入性」の3つを加え、7要件を満たすオンライン仮想空間が、メタバースであると定義した。

メタバースは単なるゲームではなく、現実を超え、人生を送れる新たな生活空間となる。現時点で完全なメタバースは存在しないが、必要最小限のメタバースはソーシャルVRとして既に存在する。

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要約公開日 2022.05.21
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