現代思想入門

未 読
現代思想入門
ジャンル
著者
千葉雅也
出版社
定価
990円(税込)
出版日
2022年03月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
3.5
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現代思想入門
著者
千葉雅也
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990円(税込)
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2022年03月20日
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おすすめポイント

現代では「きちんとする」方向に改革が進んでいる。そんな著者の言葉に「それはいいことではないか」という気持ちが生まれる。しかし、それによって生活が窮屈になっていないか、ビクビクした生き方になっていないかと問われると、思い当たる節がある。「きちんとする」ためのルールは単純化を生み、ときには例外や複雑性を無視し、多様性を排することにつながってしまう。秩序のために、わたしたちは日々何かを切り捨てているのだ。

本書がテーマとする現代思想は、ルールや秩序を強化する動きへ警戒心を持ち、「差異」に注目する思想だ。哲学書の読解には前提知識が必要となるため、初心者がいきなり原典にあたっても理解できないことが多い。本書はそうした哲学書に一歩近づくための、「入門のための入門」だ。慣れない用語や考え方に戸惑う読者もいるかもしれない。それでも、繰り返し読むうちに理解の層に色が重なっていくのを感じられることだろう。読み終える頃には現代思想が少し身近なものになっているはずだ。

排除される余計なものを「クリエイティブ」と捉えて肯定した現代思想は、人生の多様性を守るために重要な視点だと著者は指摘する。秩序はたしかに必要だが、本当に管理を強化していくことで安心して暮らせるようになるのか。そもそも秩序を守りたいという気持ちはどこから来るのか。「きちんとしている方がいいに決まっている」と言いたくなった方にほど、本書を読んでみていただきたい。

ライター画像
菅谷真帆子

著者

千葉雅也(ちば まさや)
一九七八年、栃木県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は哲学・表象文化論。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。著書に『動きすぎてはいけない』(河出文庫、第四回紀伊國屋じんぶん大賞、第五回表象文化論学会賞)、『ツイッター哲学』(河出文庫)、『勉強の哲学』(文春文庫)、『思弁的実在論と現代について』(青土社)、『意味がない無意味』(河出書房新社)、『デッドライン』(新潮社、第四一回野間文芸新人賞)、『ライティングの哲学』(共著、星海社新書)、『オーバーヒート』(新潮社、「オーバーヒート」第一六五回芥川賞候補、「マジックミラー」第四五回川端康成文学賞)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    現代思想を代表するデリダ、ドゥルーズ、フーコーに共通するのは、「二項対立の脱構築」だ。これは、物事を善と悪などの二項対立で捉えて良し悪しを判断することを、「いったん留保する」ことだ。
  • 要点
    2
    デリダは、二項対立の脱構築という考え方を打ち出し、「概念の脱構築」を行った。
  • 要点
    3
    「存在の脱構築」を行ったドゥルーズは、全体性から逃れる動きを「逃走線」と呼び、既成の秩序の外に広がる関係性がクリエイティブだと見なした。
  • 要点
    4
    フーコーは、人間が持つ過剰さゆえの多様性を整理しすぎず泳がせておく社会の余裕を求め、「社会の脱構築」を行った。

要約

【必読ポイント!】 今なぜ現代思想か

複雑なものを単純化せず理解する

本書における現代思想とは、1960年代から90年代を中心に、主にフランスで展開された「ポスト構造主義」の哲学を指す。本書の目標は、ジャック・デリダ、ジル・ドゥルーズ、ミシェル・フーコーの3人を通して、現代思想のイメージをつかむことだ。

秩序化・クリーン化の方向に進む現代は、ルールに収まらないケースやルールの境界線が問題になるようなケースが無視されることがある。物事を「きちんとする」ことは、個別具体的なものから目をそらし、生活を窮屈にすることにつながってはいないだろうか。

現代思想を学ぶと、複雑なことを単純化せずに、高い解像度で捉えることができるようになる。人間は歴史的に社会を秩序化し、ノイズを排してきたが、20世紀の思想は排除される余計なものをクリエイティブなものとして肯定したことに特徴がある。秩序からズレるもの、「差異」に注目する現代思想は、人生の多様性を守るために役立つだろう。

二項対立で捉えて良し悪しを言うのを「留保する」
cagkansayin/gettyimages

現代思想を代表するデリダ、ドゥルーズ、フーコーは、共通して「二項対立の脱構築」というテーマを持っていたと見なすことができる。物事を「二項対立」によって捉えて良し悪しを言うことを、「いったん留保する」のが脱構築ということだ。私たちは何かを決めるとき、二項対立を当てはめ、「良い」方を選ぼうとする。しかし、実際にはどちらがプラスとも決められない曖昧な対立が多いものだ。脱構築の思考が注目するのは、二項対立のプラスとマイナスの間の、線引きの揺らぎだ。本書では、デリダは「概念の脱構築」、ドゥルーズは「存在の脱構築」、フーコーは「社会の脱構築」という分担で説明する。

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