手塚治虫マンガを哲学する
強く生きるための言葉

未 読
手塚治虫マンガを哲学する
ジャンル
著者
小川仁志
出版社
リベラル社 出版社ページへ
定価
1,540円(税込)
出版日
2022年04月20日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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強く生きるための言葉
著者
小川仁志
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定価
1,540円(税込)
出版日
2022年04月20日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
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おすすめポイント

正義とは何か。強さとは、人間とは、苦、死とは――。

一つひとつが大変に重い、いずれも容易に答えが出ない問いだ。

本書には、そうした問いが50用意されている。『ブラック・ジャック』や『鉄腕アトム』といった手塚治虫の代表作を中心に10作が取り上げられ、登場人物のセリフをもとに、「正義」や「命」は何かといった真実に迫っている。1作品につき5テーマ設けられ、より卑近な「肩書きとは」「バンソウコウとは」といった問答もある。

「肩書きとは何か」と尋ねられ、あなたはどう答えるだろうか。「私は賞とか肩書きとかが大っきらいでねえ」と言い放つブラック・ジャックなら、どうだろう。

強さ、戦争、国家、人間、命、死――。一生かかっても答えにたどり着けなさそうな深遠な問いの数々。しかし、手塚治虫の生み出した作品を読むと、不思議とその答えに近づけた気になる。1970~80年代に連載された『ブッダ』では「死ぬということは、人の肉体という殻から、生命がただとびだしていくだけだ」と説かれている。

作中のキャラクターには、手塚治虫の思考や信念が当然反映されている。手塚治虫は最晩年、母校の生徒を前に「僕たちが死んだ後、何か別の世界があるんじゃないか。人間っていうものは長い生命のつながりの中で、ほんのわずかだけが人間で、その前と後にもっと長い、別の命の塊みたいなものがあるんじゃないかな」と話していた。また別の場所では、肩書について「私はね、肩書きっていうのが非常に嫌いなんです」とも語っている。作中の人物と重なる部分がありはしないか。やまない戦争や終息が見えないパンデミックのニュースが連日報じられ、ややもすると厭世的な考えが頭をもたげそうになる現代。偉大なマンガの名言の数々は、時代を超越する真実への手がかりを提供してくれるはずだ。

ライター画像
南龍太

著者

小川仁志(おがわ ひとし)
1970年、京都府生まれ。哲学者・山口大学国際総合科学部教授。京都大学法学部卒、名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。博士(人間文化)。商社マン(伊藤忠商事)、公務員(名古屋市役所)、フリーターを経た異色の経歴。徳山工業高等専門学校准教授、米プリンストン大学客員研究員等を経て現職。大学で課題解決のための新しい教育に取り組む傍ら、「哲学カフェ」を主宰するなど、市民のための哲学を実践している。また、テレビをはじめ各種メディアにて哲学の普及にも努めている。NHK・Eテレ「世界の哲学者に人生相談」や「ロッチと子羊」では指南役を務める。専門は公共哲学。著書も多く、『ジブリアニメで哲学する』(PHP文庫)や『7日間で成果に変わる アウトプット読書術』(リベラル社)、『不条理を乗り越える』(平凡社新書)をはじめ、これまでに100冊以上を 出版している。YouTube「小川仁志の哲学チャンネル」でも発信中。

本書の要点

  • 要点
    1
    戦争は世界の終末と言うにふさわしい。地球全体を滅ぼしかねない兵器を手にした今、人類絶滅もありうる。
  • 要点
    2
    人間はいきがいを見つけられるからよい。いきがいは自分自身の中にあり、火の鳥を見つけるよりたやすい。
  • 要点
    3
    死は肉体という殻から生命がただとびだしていくだけだ、とブッダは説く。

要約

『ブラック・ジャック』の名言から

医者とは 「医者だって神じゃない。 人も殺すし、悪口もいわれるさ」

著者には『ブラック・ジャック』を読んで医者を志した知人が多くいる。

ブラック・ジャックは、モグリの闇医者でありながら、医者の鑑のように敬愛されている。その理由は、救命困難な患者さえ救う天才的な腕前以上に、悩んでいる姿にこそある。

作中にも出てくる「医は仁術なり」とは古い格言だ。医者の任務は命を救う博愛の営みという意味だ。死ぬかもしれない人の命を助けることができる。それは神様が人間を助けるようなものだ。しかし、医者自身が神であるかのようにおごってはいけない。

ブラック・ジャックは、救えると思った命が救えず、自分は神ではなく、人も殺すとつぶやいた。命の恩人を救えなかったとき、「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんて、おこがましいとは思わんかね……」という言葉が脳裏にこだました。

医学は不可能と知りながら、生き死にを自由にしようと足掻く営みだ。ブラック・ジャックは医学の力を諦めず、「それでも私は人をなおすんだ」と叫ぶ。救えない命を前に、医者は開き直るでも、諦めるでもなく、悩み続けなければならない。

ブラック・ジャックは誰より優しく、悩んでいる医者だ。患者に向き合う真摯な、しかし哀し気なまなざしが全てを物語っている。

肩書きとは 「あいにく私は 賞とか肩書きとかが 大っきらいでねえ」
Obradovic/gettyimages

ブラック・ジャックは名医として通っていながら、有名な大学病院の外科部長や教授ではない。むしろ、無免許の彼に肩書きはない。医者かと尋ねられるといつも、「まあそんなようなものだ」と曖昧に答えるばかりだった。

医師免許をもらう機会に何度か巡り合うものの、自らそれを放棄し、あえて無免許医として生きている。それには二つの理由があると思われる。

一つは権威への反発だ。賞も肩書きも、いわば権威の象徴だ。手術痕でつぎはぎだらけの外見で、不遇の人生を送ってきた彼は、見せかけの権威主義的なものを嘲笑的に見ている。

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