GAFA next stage  ガーファ ネクストステージ

四騎士+Xの次なる支配戦略
未読
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四騎士+Xの次なる支配戦略
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出版社
東洋経済新報社

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出版日
2021年12月16日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

ときどき、小さい不満を我慢している自分に気づくことがある。SNSや動画サイトの使い勝手が悪かったり、テック企業がプライベートな情報を利用しているというニュースを見て不安を感じたりするときだ。そうした不満を少しのため息だけで忘れようとしてしまう。かつておそるおそる始めたはずのGAFAのサービスを、使わない選択肢はもはやないとさえ思われる。

「GAFA」という言葉を定着させた著者は、こうした状況に警鐘を鳴らす。新型コロナウイルス禍でGAFAやその他の「ディスラプター」たちの支配は加速しているという。著者は皮肉まじりのユーモアをちりばめて現状やその背景を、豊富な具体例とともに解説してくれる。多くはアメリカでの事例を前提としているが、GAFAが世界的企業である以上、グローバルに共通する話でもある。

以前、ツイッターがサブスクリプションの導入を検討しているというニュースが日本でも話題になった。これは「勇敢でハンサムなニューヨーク大学スターン経営大学院のマーケティング教授」、すなわち著者が何カ月もロビー活動をして得られた結果だそうだ。詳しい内容は本書に譲るが、今後こうした調査報道のような「追究型」の事例が増えてきてもおかしくはない。

現状にノーを突きつけるだけでは終わらない著者の言動。どこか達観した雰囲気の世の中にうんざりした人たちを「このままではいけない」と勇気づけてくれる一冊だ。

著者

スコット・ギャロウェイ(Scott Galloway)
ニューヨーク大学スターン経営大学院教授。MBAコースでブランド戦略とデジタルマーケティングを教える。連続起業家(シリアル・アントレプレナー)としてL2、Red Envelope、Prophetなど9の会社を起業。ニューヨーク・タイムズ、ゲートウェイ・コンピュータなどの役員も歴任。2012年、クレイトン・クリステンセン(『イノベーションのジレンマ』著者)、リンダ・グラットン(『ライフ・シフト』著者)らとともに「世界最高のビジネススクール教授50人」に選出。
著書『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(渡会圭子訳、東洋経済新報社)は15万部のベストセラーとなり、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2019 総合第1位」「ビジネス書大賞2019 読者賞」の2冠を達成、日本にGAFAという言葉を定着させた。

本書の要点

  • 要点
    1
    パンデミックはGAFAや少数の企業の支配力が強まるのを助長している。ブランド時代からプロダクト時代への移行も背景に、彼らは多くの業界に入り込もうとしている。
  • 要点
    2
    さまざまな業界でディスラプターが勃興している。大学はパンデミックによりオンライン学習というテクノロジーの導入を規模の拡大につなげられる。だが規模はGAFAたち最大の獲物でもある。
  • 要点
    3
    資本主義には大きな利点がある半面、それ自体に倫理基準がない。最優先すべきは巨大テックの権力抑制と個人の権利拡大である。

要約

【必読ポイント!】 パンデミックとGAFA+X

新型コロナウイルスの影響

著者は新型コロナ禍がGAFA+Xなどの大企業に有利に働くと確信している。パンデミック発生後、主要な株価指数(NYダウ、S&P500、ナスダック総合)は一時的に急落した後、急速に上昇した。この現象は上場銘柄の幅広い状況を反映しているわけではない。GAFAに代表されるビッグテックや少数の企業が莫大な利益をあげたためだ。

新型コロナは多くの業界で分散化を加速させている。アマゾンによって店舗の軒先は自宅の玄関先まで拡大し、ネットフリックスは映画館をリビングに持ち込んだ。リモート診療が進む医療やオンライン販売が普及した飲食業界でも同様の現象が見られる。

またテレワークへの移行により仕事の分散化も進んでいる。富裕層は家庭内オフィスなどロックダウン中も稼げる手段を持ち合わせている。一方、労働者階級の大半は倉庫や店といった職場に縛られ、家で仕事ができる人も快適な環境を用意できる例は少ない。富裕層と労働者階級との職場環境の差は歴然だ。

時代はブランドからプロダクトへ
Yavor Naydenov/gettyimages

かつて市場平均を上回る利益をあげられるかどうかは、圧倒的なブランド・アイデンティティの確立にかかっていた。インターネットが登場する以前は、テレビやラジオの広告を使い、平凡な製品を漠然としたイメージで売り込むだけでよかったのだ。

ブランドで売る時代は終焉した。これまで人種差別など米国の「罪」が明るみになったとき、ブランド企業は人目を引く映像や黒で塗りつぶした画面を作成して発信してきた。

いま、その行為は共感を得られなくなっている。アクティビストや消費者は、インターネット検索やソーシャル・メディアを駆使し、企業のブランドメッセージと現実の経営を比較し始めた。企業は「真剣なふりをする」ことが難しくなっているのだ。

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要約公開日 2022.05.27
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