本書の要点

  • 越境学習とはホームとアウェイを行き来することによる学びである。アウェイ感があれば趣味のサークルのようなコミュニティなどへの参加も越境学習となる。

  • 越境学習者は、アウェイで違和感を感じ、葛藤を通して学びを得ていく。越境学習経験がホームへ持ち帰られ、活用されることは、企業の変革につながる。

  • 越境学習者は越境中だけでなく越境後に、越境中よりも大きな葛藤に遭遇する。2つの葛藤の中でもがくことが、成長へとつながる。

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越境学習とはなにか

ホームとアウェイを行き来することによる学び

一般に越境学習とは社会人が会社以外の場所に身を置くことによる学びと定義されているが、本書ではホームとアウェイを行き来することによる学びを越境学習と定義する。越境とは物理的な場所の移動のみならず、個人の心理に基づくホームとアウェイの間にある境界を越えることもこれに含まれる。身近な例では、居住するマンションの理事会、地域のお祭りの実行委員会、趣味のサークルなどへの参加も、アウェイ感を抱くことがあれば、越境学習だ。転勤や人事異動は、第1のホームから第2のホームへの移動であり、これは越境学習とは呼ばない。

現在では企業主導で働く人向けに越境学習を提供するサービスがある。大きく分けると、企業の人材育成を目的としたサービスと、個人の自己啓発を目的にしたサービスがある。人材育成を目的としたものでは、新興国、ベンチャー企業、地方NPOなどをアウェイと設定している。個人の自己啓発を目的したものでは、仕事で培った技能や知識を生かして無償で社会貢献をするプロボノや副業・兼業などがアウェイとされる。

越境学習がもたらすもの

Aleutie/gettyimages

アウェイの典型的な特徴は、「上下関係のなさ×異質性×抽象性」だ。アウェイでは、直接の上司がいるわけではなく、基本的には主体的に動くことが求められる。普段なじみのない、異質な人たちとの協働となるため、コミュニケーションを通して人間関係を構築する必要がある。さらに、ミッションやゴールが抽象的であることが多く、ゼロベースで目的や落としどころを決めていなかければならない。

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要約公開日 2022.07.03
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