越境学習入門

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出版社
日本能率協会マネジメントセンター

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定価
1,980円(税込)
出版日
2022年03月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

今、越境学習が、企業の人材育成に関わる人の間で注目を集めている。文字通り「境界を越えて学ぶ」ことを意味する越境学習は、人材育成の文脈では会社を離れて留学をする、大企業勤務の人がベンチャー企業やNPO法人で働く、仕事を続けながらボランティアや副業をするといったことを指す。居心地のよい慣れた場所であるホームを離れ、居心地の悪い慣れない場所のアウェイで試行錯誤を繰り返すなかでの学び。「越境学習」という言葉を聞いたことがなくとも、こうした学びは進学や就職・転職、部活や地域コミュニティへの参加などで、誰もが経験したことがあるはずだ。

本書は越境学習の研究者と専門家が、越境学習を通じて組織にイノベーションや変革をもたらす「冒険人材」を育成する方法論を解説した一冊である。越境学習の概要・効果・学問的な成り立ち、越境学習が注目される理由、越境学習のプロセス、越境学習を組織に導入する方法が網羅されている。

本書は、越境学習が人にもたらす力を「冒険する力」と定義し、多くの人に「冒険者になろう」と呼びかける。日本企業にはイノベーションが足りないと言われ続けているが、本当に足りないのは「冒険」なのではないかと本書はいう。本書を読むと、越境学習が行き詰まりの突破口となり、渇望されているイノベーションの創出につながる可能性を感じることができる。企業の変革やイノベーションを必要としている方、人材開発関連の業務に従事している方には必読の一冊である。

ライター画像
木下隆志

著者

石山恒貴(いしやま のぶたか)
法政大学大学院政策創造研究科教授。一橋大学社会学部卒業、産業能率大学大学院経営情報学研究科修士課程修了、法政大学大学院政策創造研究科博士後期課程修了、博士(政策学)。一橋大学卒業後、NEC、GE、米系ライフサイエンス会社を経て、現職。
著書:『日本企業のタレントマネジメント』(中央経済社)、『地域とゆるくつながろう——サードプレイスと関係人口の時代」』(編著、静岡新聞社)、『越境的学習のメカニズム』(福村出版)、『時間と場所を選ばないパラレルキャリアを始めよう!』(ダイヤモンド社)など。
主な受賞:2021年経営行動科学学会優秀研究賞(JAASアワード)、2018年人材育成学会論文賞など。

伊達洋駆(だて ようく)
ビジネスリサーチラボ代表取締役。採用学研究所所長、一般社団法人日本採用力検定協会理事。神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了、修士(経営学)。 2009年にLLPビジネスリサーチラボ、2011年に株式会社ビジネスリサーチラボを創業。以降、組織・人事領域を中心に、民間企業を対象にした調査・コンサルティング事業を展開。研究知と実践知の両方を活用した「アカデミックリサーチ」をコンセプトに、ピープルアナリティクスやエンゲージメントサーベイのサービスを提供している。
著書:『オンライン採用』(日本能率協会マネジメントセンター)、『採用力検定公式テキスト』(共著、日本能率協会マネジメントセンター)、『組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス』(共著、ソシム)、『「最高の人材」が入社する採用の絶対ルール』(共著、ナツメ社)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    越境学習とはホームとアウェイを行き来することによる学びである。アウェイ感があれば趣味のサークルのようなコミュニティなどへの参加も越境学習となる。
  • 要点
    2
    越境学習者は、アウェイで違和感を感じ、葛藤を通して学びを得ていく。越境学習経験がホームへ持ち帰られ、活用されることは、企業の変革につながる。
  • 要点
    3
    越境学習者は越境中だけでなく越境後に、越境中よりも大きな葛藤に遭遇する。2つの葛藤の中でもがくことが、成長へとつながる。

要約

越境学習とはなにか

ホームとアウェイを行き来することによる学び

一般に越境学習とは社会人が会社以外の場所に身を置くことによる学びと定義されているが、本書ではホームとアウェイを行き来することによる学びを越境学習と定義する。越境とは物理的な場所の移動のみならず、個人の心理に基づくホームとアウェイの間にある境界を越えることもこれに含まれる。身近な例では、居住するマンションの理事会、地域のお祭りの実行委員会、趣味のサークルなどへの参加も、アウェイ感を抱くことがあれば、越境学習だ。転勤や人事異動は、第1のホームから第2のホームへの移動であり、これは越境学習とは呼ばない。

現在では企業主導で働く人向けに越境学習を提供するサービスがある。大きく分けると、企業の人材育成を目的としたサービスと、個人の自己啓発を目的にしたサービスがある。人材育成を目的としたものでは、新興国、ベンチャー企業、地方NPOなどをアウェイと設定している。個人の自己啓発を目的したものでは、仕事で培った技能や知識を生かして無償で社会貢献をするプロボノや副業・兼業などがアウェイとされる。

越境学習がもたらすもの
Aleutie/gettyimages

アウェイの典型的な特徴は、「上下関係のなさ×異質性×抽象性」だ。アウェイでは、直接の上司がいるわけではなく、基本的には主体的に動くことが求められる。普段なじみのない、異質な人たちとの協働となるため、コミュニケーションを通して人間関係を構築する必要がある。さらに、ミッションやゴールが抽象的であることが多く、ゼロベースで目的や落としどころを決めていなかければならない。

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要約公開日 2022.07.03
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