ベリングキャット

デジタルハンター、国家の噓を暴く
未読
日本語
ベリングキャット
ベリングキャット
デジタルハンター、国家の噓を暴く
未読
日本語
ベリングキャット
出版社
定価
2,090円(税込)
出版日
2022年03月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

SNSの利用に伴う危険性が取りざたされて久しい。何気なくアップした書き込みや写真をもとに、利用者の居場所が特定され得る。趣味や思想、人間関係さえ把握されてしまう。

こうした情報が悪用されれば、ストーカー行為などの犯罪に巻き込まれかねない。ただ、そうした情報を善用することも当然可能だ。

「ベリングキャット」は、インターネット上から入手できるオープンソースを悪用するのではなく、上手に活用して世界中の戦争行為やテロ行為の真実を暴こうとする組織である。その影響力はすさまじく、ロシアの暗殺未遂首謀者の身元を割り出し、民間航空機撃墜事件の黒幕を暴くなど、大手メディアをしのぐスクープを連発している。

本書を一読すれば、オープンソースの調査だけで判明する様々な情報の多さに驚くはずだ。工作員や特殊部隊のような情報網に頼らずとも、ネット上に公開されている情報、写真や動画をもとに、真犯人の人物像、住所、電話番号まで割り出すことができる。ベリングキャットは、地道な調査活動を通じてその方法論を確立し、世界中に広めようと取り組んでいる。

いま、私たちの身の回りには、情報があふれている。権力者たちがフェイクニュースで人々を翻弄し、強行突破する行為も頻繁に目にするようになった。

ロシアによるウクライナ侵略をめぐっては、西側諸国とロシアの間で、全く異なる情報が広がっている。正しく情報を分析し、真実を知るためにはどうすればよいのか。ベリングキャットは、一つの答えを示している。

ライター画像
香川大輔

著者

エリオット・ヒギンズ(Eliot Higgins)
オープンソース調査集団として何度も表彰された「ベリングキャット」の創設者。カリフォルニア大学バークレー校の「ヒューマン・ライツ・センター」の研究員で、国際刑事裁判所の技術顧問委員会のメンバーでもある。2019年、『プロスペクト』誌によって世界最高の思想家50人のひとりに選ばれた。

本書の要点

  • 要点
    1
    オープンソースを分析するブログから始まったベリングキャットは、2011年のアラブの春や2014年のマレーシア航空機撃墜事件の調査をきっかけに注目されるようになった。
  • 要点
    2
    ベリングキャットのプラットフォームのモットーは、「特定し、検証し、拡散する」ことだ。
  • 要点
    3
    ベリングキャットは、真実を次々と暴き出し、元スパイ暗殺未遂では実行犯をあぶりだした。また、虚偽の情報が拡散されるのを防ぐ役割も果たす。

要約

【必読ポイント!】 ベリングキャットの誕生

デジタル時代の報道

2011年の「アラブの春」は、デジタル時代の報道における情報が真実かどうかを検証する機運を高めた。

当時の著者は、むさぼるようにインターネットで最新情報をあさっていた。ニュース記事に収まらない、外国特派員のツイートやレポート、ユーチューブの動画、フェイスブックの投稿などを見つけ出しては、ネット記事のコメント欄に次々と投稿した。

曖昧な情報であふれるインターネットの世界で、著者が提供する信憑性の高い情報は、想像以上に重宝がられた。反政府側が支配したと主張する兵士の自撮り画像を、グーグル・マップを使った「ジオロケーション法」で分析、グーグル・アースも駆使して場所を特定し、公開したこともあった。

歴史はもはや勝者のみが記すものではない。敗者もやじ馬も、近所の住民も、みんなスマートフォンを持っているのだから。

ブログからベリングキャットへ
Christopher Freeman/gettyimages

2011年、リビアのカダフィの死後、アラブの春を追っていたニュース中毒者たちが注目したのがシリアだ。アサド政権が市民の逮捕や殺害を続けていた。危険を冒してシリア入りするジャーナリストは皆無に等しかったが、インターネットには大量の情報があふれていた。

著者は、ブログ「ブラウン・モーゼス」を開設し、フリーランスの通信員とも協力しながら、情報を拡散していた。目を覆いたくなるような虐殺のライブ動画と向き合い、事実の究明に力を尽くした。

情報を発信し続ける中で心がけていたのは、冷静で分析的な態度を保つことだ。どちらかに肩入れすることなく、情報を発信して記録を残す作業に努めた。

動画を片っ端から当たっていく中で注目するようになったのが、武器である。武器を扱った経験はなかったが、ネットで検索して自ら解説するようになった。

こうして反政府軍が創意工夫で武器を自作していることや、政府軍がロシア製のクラスター爆弾を配備している証拠を発見した。化学攻撃を政府軍がおこなった証拠も掴んだ。

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