自己信頼[新訳]

未 読
自己信頼[新訳]
ジャンル
著者
ラルフ・ウォルドー・エマソン 伊東奈美子(訳)
出版社
定価
1,320円(税込)
出版日
2009年02月05日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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自己信頼[新訳]
著者
ラルフ・ウォルドー・エマソン 伊東奈美子(訳)
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出版社
定価
1,320円(税込)
出版日
2009年02月05日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
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おすすめポイント

自分を信じる。これほどに単純明快な一文なのに、あまりにも難しいものだと感じないだろうか。忘れ物もするし、うっかり電車を乗り過ごすこともある。つねに「完璧」であることなんて無理だし、周りには自分より才能があって、素敵な言葉を紡ぎ出す人もいる。インスタグラムを眺めれば、キラキラとした他人の人生ばかりが目に入って、落ち込んでしまう。

そんな世界に生きていて、そんな自分を生きていて、自分を信じるより何かを信じるほうが「もっともらしい」と思うのも、それこそ至極もっともらしい。

しかし、それこそ、180年ほど読み継がれてきたこの本が警鐘を鳴らす態度である。自身がもつ「よさ」からますます遠ざかり、幸せからも輝かしい未来からもさらに離れてしまう、負のスパイラルに陥る。「世間の基準」に合わせる、委ねることは楽だし、人とぶつかり合うこともない。マジョリティであることは心地よい。でも、それが「自分の本質」に逆らうものだとしたら? 気づいたときには引き返せない地点まで流されてしまっている。だからこそ、自分の内側を見つめ、それを信じる、自分に恥じない人生を生きることを、著者のエマソンは強く訴えているのだ。

『自己信頼』が書かれた時代は、アメリカ北部で反奴隷制運動が高まっていた頃であり、強まる教会勢力への反発も著者にはあった。社会は誤ることもある。流されているだけでは自分の倫理、道徳も崩壊してしまう。その危機は、不安定ないまの社会においていっそう、強まっているかもしれない。いまこそ、自分を信じるときだ。

ライター画像
石田翼

著者

ラルフ・ウォルドー・エマソン(Ralph Waldo Emerson)
アメリカの思想家、詩人。ボストン生まれ。18歳でハーバード大学卒業後、21歳まで教鞭を執る。その後、牧師となるが、教会制度をめぐって教会と衝突し辞職。1834年からニューハンプシャー州のコンコードに住み執筆や講演活動を展開、「コンコードの哲人」と呼ばれた。常に自分の内面に目を向け、自由と真理に生きることを求め、黒人奴隷制度に対しては反対の立場を貫いた。プラトン、カント、東洋の哲学などを吸収した独自の思想は、『ウォールデン(森の生活)』を著したH・D・ソローやニーチェ、日本では宮沢賢治や北村透谷、福沢諭吉など古今東西の思想家や詩人、文学者に影響を与えた。彼の残した多くの名言は、今も世界の成功哲学および自己啓発書で度々引用されている。
「自己信頼」が収められた論文集『エッセイ 第一集(Essays, First Series)』は1841年に刊行。その他の著作に『自然(Nature)』『エッセイ 第二集(Essays, Second Series)』『代表的人間像(Representative Men)』『英国の国民性(English Traits)』『いかに生くべきか(Conduct of Life)』などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    自分を信じよう。偉人たちがそうしてきたように、同時代の人たちとふれあい、ものごとの縁を受け入れよう。
  • 要点
    2
    一個の人間でありたければ、社会に迎合せず、善の本質を見きわめよう。自分の精神の高潔さほど、神聖なものはない。
  • 要点
    3
    その人自身を語るのは、その人の意志よりも人格である。一瞬の息づかいにも自分の美徳や不徳は現れる。
  • 要点
    4
    自己信頼は新しい力の素になる。自己信頼を高めれば、あらゆる仕事、人間関係、教育、生活様式、交際、財産などに革命が起きるはずだ。

要約

自分を信じる

自分のなかにある光

天才とは、「自分の考えを信じること、自分にとっての真実は、すべての人にとっての真実だと信じること」である。

確信していることを声に出して語れば、それは普遍的な意味を持つようになる。モーゼもプラトンも、書物や伝統を脇において、世間の考えではなく自分の意見を語ったことが最大の功績だ。

目もくらむような賢人たちの輝きではなく、自分の内側でほのかに輝いている光を観察するべきである。自分の考えを、自分が考えたという理由で無視してはいけない。天才の仕事のうちにも、あなたが却下した考えがある。

自分の内側に自然と湧きあがってくる印象に従おう。そうすれば、自分が考えてきたのとまったく同じことを、他の言葉巧みな誰かから先に聞くようなことにはならない。

自分にしかわからない力
BrianAJackson/gettyimages

ねたみは無知からくる。良くても悪くても自分自身は受け入れなくてはならないし、自分に与えられた土地を耕さなければ、自身を育てる一粒のトウモロコシも自分のものにはならない。

私たちに宿っている力は、それを本人が実際に使ってみるまでどのようなものかわからない。

ある種の顔や性格、事実から強い印象を受ける一方で、まったく何も感じないものもある。それは、自分の中にその印象がおさまるべき場所があるかどうかに関わる。

自分を信じよう。偉人たちがそうしてきたように、同時代の人たちとふれあい、ものごとの縁を受け入れよう。

大人になって失うもの

子どもや赤ん坊、動物は、自分の感情を疑い、損得だけを考え、目的とかけはなれた力や手段を選ぶことはしない。かれらには完全な精神と、何者にもとらわれていない目が備わっているのだ。少年期、思春期、壮年期であっても、自分の足で立とうとするならその主張は無視されることはない。

少年の機嫌をとるべきは大人である。大人は自意識で自分を牢獄に閉じこめている。言動がひとたび讃えられれば、多くの共感や敵意を向けられ、何をするにも周りを気にするようになる。

いかなる誓いも立てず、偏見も汚れも恐れない無垢なる目で何事も見られる人は、いつの時代でも恐るべき存在である。自分なりの考えを、傾聴に値する意見として人びとに聞かせることができる。

その声も、世間の中にいると聞こえなくなってしまう。社会でもっとも求められる美徳は順応であり、自己信頼は嫌悪される。ものごとの本質や創造性より、名目や習慣が愛される。

一個の人間でありたければ、社会に迎合せず、善の本質を見きわめよう。自分の精神の高潔さほど、神聖なものはない。

自分を生きるということ

人生は生きるためにある

善良さには気骨が必要だ。世間の考えに従うのであれば、徳は例外に近いものとなる。善行は自分の勇気や慈悲心を見せるためのものであり、そうした行いをしない日常に対する贖罪と釈明なのだ。

しかし、「人生は生きるためにあるのであって、見せ物にするためではない」。つつましくとも誠実で平穏な人生のほうがよい。私がしなければいけないのは、他人の本分に属することよりも私自身に関わることだ。これは、重要なものと些末なものを分ける指標にもなる。

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