続・修身教授録

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続・修身教授録
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出版社
致知出版社

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出版日
2022年08月25日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

学校でどのような師と巡り合うかによって、その後の人生が大きく変わる。学生時代を振り返ると、先生の言葉や人柄、エピソードが深く心に刻み込まれているのではないだろうか。授業で教わった勉強の内容よりも、むしろ、先生が授業の合間に話した余談や、個人的な想いの話などのほうが、記憶に残っていたりするものだ。

本書は、森信三氏による、教員をめざす学生向けの「修身」の講義をまとめたものである。森氏は天王寺師範学校(現・大阪教育大学)の講師であり、「国民教育の師父」として今も尊敬されている人物だ。講義といっても知識を体系的に教えるものではない。人生や勉学に関する著者の考えを、様々な事例を出しながら語ったものだ。学術的な表現を使わずに、自らの実感や実体験に基づいた話は非常に理解しやすく興味を引く。教科書的な知識を学ぶ授業よりも、よほど強く生徒たちの心に残ったことだろう。

約80年前になされた講義ではあるが、人間としての修養や志を成し遂げるための心得、学問の本義など、その本質は時を経てもほぼ変わらない。古代のギリシアや中国の哲学者・思想家の言葉が現代の私たちにも響くように、人間にとって大切なことは、古今東西共通した部分がある。

著者の授業を聴講しているような気持ちで本書を読み進めてみてほしい。大いに励まされ、新たな視座を得られることだろう。

ライター画像
大賀祐樹

著者

森信三(もり のぶぞう)
明治29年愛知県生まれ。大正12年京都大学哲学科に入学し、主任教授・西田幾多郎の教えを受ける。卒業後、同大学大学院に籍を置きつつ、天王寺師範学校の専攻科講師となる。昭和14年、旧満州の建国大学に赴任。敗戦により新京脱出。同21年6月無事生還。同28年、神戸大学教育学部教授に就任。同35年、神戸大学退官。同40年神戸海星女子学院大学教授に就任。同50年「実践人の家」建設。平成4年11月逝去。「国民教育の師父」と謳われ、現在も多くの人々に感化を与え続けている。著書は『修身教授録』『修身教授録一日一言』『幻の講話』『真理は現実のただ中にあり』『人生二度なし』『森信三 教師のための一日一語』『家庭教育の心得21』『女性のための「修身教授録」』『森信三一日一語』『人生論としての読書論』『10代のための人間学』『父親のための人間学』『森信三訓言集』『理想の小学教師像』『若き友への人生論』(いずれも致知出版社)など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    人間の偉さは志によって決まる。志を強く持ち続ければ、自分が死んだ後でも、その志が何らかの形で実現されるものだ。志を立てるためには、偉人の伝記などを読み、昔の人から学ぶとよい。
  • 要点
    2
    望みが実現しなくても、必ず別の形で償いが与えられるものだ。それに気づき、不幸を踏み台にして新たな世界を切り開くことが人生の妙味である。
  • 要点
    3
    「地位」や「学歴」で自分を縛ってはいけない。努力を続け、生涯の師と呼べる人に学び、道を見出すことで、真の学問を始められる。

要約

志を立てる

生き続ける志

人間の偉さは、どのような志を立て、それをどれだけ実現するかによって決まる。人間の志とは、その人が真に望めば、必ずいつか何らかの形で実現するものだ。

例えば、楠公の精神は、没後600年にして明治維新という形で実現した。また、吉田松陰先生の志も、先生の書物を読んで深く心を動かされた者の中に生きている。真実に生きた人の精神は、生前には十分に遂げられなかったとしても、死後、多くの人の心に火をつけて燃え拡がるものなのだ。

今生きている人はあと数十年もしたら必ず死ぬ。それを乗り越えるためには、肉体が朽ち果てた後もその精神において生き得るような、真実心を持って生きなければならない。偉人と呼ばれた人はみな、偉大な真実心に生きた人々である。将来どのような人間になりたいかだけではなく、どうしたら死後も生き得る人間になるかも重要だ。

真の学問を始めるために
photogl/gettyimages

二度とない人生を、真に生き抜こうとするためには、古人に学ばなければならない。偉人として知られているような人々はみな、真に命がけで生き抜いた人々だ。

偉人に学ぶためには、まずはその人の伝記を読むとよい。偉人が自分と同じ歳でどのようなことを自覚し、何を成し遂げたのかを知れば、じっとしていられなくなるだろう。書物を通して古人の精神にぶつかっていくことこそ、真の意味で古人に学ぶことである。

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要約公開日 2022.11.11
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