こころの葛藤はすべて私の味方だ。

「本当の自分」を見つけて癒すフロイトの教え
未読
こころの葛藤はすべて私の味方だ。
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「本当の自分」を見つけて癒すフロイトの教え
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こころの葛藤はすべて私の味方だ。
出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2022年08月02日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

私たちは生きている限り、不安や憂うつ、孤独からのがれることはできない。趣味に没頭したり、誰かと一緒に楽しいときを過ごしたりしても、ネガティブな感情を忘れられるのはほんの一瞬だけだ。ふと我にかえった瞬間、待ちかまえていたように、モヤモヤが顔を出す。どうすれば自分の感情とうまくつき合えるのだろう――。

悩める私たちを救ってくれるのは、人気精神科医である著者、チョン・ドオン氏だ。本書はフロイトが創始した精神分析学にもとづいて書かれており、韓国で15万部を超えるベストセラーとなっている。

本書では、私たちの心の仕組みをやさしく解説したあと、不安や憂うつ、孤独などといったつらい気持ちとのつき合い方が指南される。注目してほしいのは、本書ならではのユニークで、やさしさあふれる表現だ。「自分の心の温度を感じよう」「誰の心にも警護チームがいる」「新たなスタート地点に立っただけ――挫折」など、目次を見ただけで心をぎゅっとつかまれる人は多いだろう。チャーミングな表現が散りばめられているおかげで、やや専門的な話題のパートであっても抵抗なく読み進められるはずだ。

心がくたくたに疲れてしまっていると気づいたら、本書を手に取ってみよう。ぱっと開いたページに目を通すだけでもいい。精神科医に自分の心のうちを聞いてもらったあとのような、ほんのり温かく、すっきりした気持ちになれるはずだ。

著者

チョン・ドオン
精神科専門医、精神分析家。ソウル大学名誉教授。ジークムント・フロイトが創設した国際精神分析学会(International Psychoanalytical Association:IPA)や米国精神分析学会(American Psychoanalytic Association)の正会員で、精神分析家を養成・教育する指導分析家。ソウル大学医学部卒業後、ソウル大学病院勤務を経て、米サンディエゴ精神分析研究所に留学。世界的な分析家に師事し、韓国初の精神分析家となる。ソウル大学医学部やソウル大学病院の教授を30年以上にわたって務め、臨床と指導の第一線で活躍。精神科、神経科、睡眠医学の専門医として各種メディアで韓国の名医に選ばれる。国際精神分析学会が認定した韓国精神分析研究学会創立会長および国際精神分析学会委員職などを歴任。韓国では本書のほかに、『あなたが隠しているもの 人生を変える無意識の力』、『フロイトのレシピ』(コ・ジェソンとの共著)などの著書がある。本書は著者初の日本語翻訳本。

本書の要点

  • 要点
    1
    不安でたまらないときは、行動を起こそう。毎日30分、ノートに心配ごとを書き出す時間をとり、心配ごとの正体を突き止めるのもいい。
  • 要点
    2
    心の傷を癒す方法の一つは「今を生きること」だ。心の動きを正しい、間違っていると判断せず、流れる水のようにそのまま受け入れて経験する。吐く息と吸う息に意識を向けたり、自分の足の感覚や歩き方などに意識を集中させたり、料理やお酒をゆっくり味わいながら楽しんだりするのも効果的だ。
  • 要点
    3
    自分に嘘をついてまで、人のために何かをしてあげる必要はない。「いい人」であろうとするのはもうやめよう。

要約

不確実なことに耐えられない――不安

私たちの心を揺り動かし、行動させるもの

不安は人生のパートナーだ。いつもそばにいて、時にそっと、時に激しく、私たちの心を揺り動かす。

不安があると落ち着かない気分になるため、たいていの人は不安をなくすために行動する。でも、無理に追い払おうとしないでほしい。不安はあなたに行動を起こさせる大きな原動力となるからだ。テスト前に勉強するのは、不安が「早くしないと大変なことになるよ」と急かすからだろう。「勉強しないと大変なことになりそうだ」という不安を覚えるからこそ、あなたは冷たい水で顔を洗い、机に向かう。

心配していることのほとんどは起こらない
recep-bg/gettyimages

心配し、行動するからこそ、私たちは何事もなく生きていける。でも、心配するのがクセになっていないだろうか?

あなたもそろそろ気づいてほしい。心配していることのほとんどは起こらないのだ。でも逆説的には、それが人生の悲劇となる。

心配性の人々は「何事も起こらなかったのは、不安に震えながら心配して準備を整えていたおかげだ」と思い込んでしまう。心配していることが起こらないように、とんでもない金額でお守りを買い、「うまくいったのはお守りのおかげだ」と信じる人もいるだろう。

暇つぶしに見てもらうタロットカード、新聞に載っている今日の運勢、雑誌の後半に出てくる星占い――。私たちは、よくよく見ればありきたりな、たいして意味のない言葉に救いを求めようとする生き物だ。その理由は、心配している間は不安がやわらぐからに他ならない。

心配性を克服するには?

不安でたまらなくなったら、行動を起こそう。待っている連絡がこないとき、何があったんだろうと想像して不安を募らせるぐらいなら、自分から連絡すべきだ。

不安にとらわれがちなら、毎日30分、ノートに心配ごとを書き出す時間をとるといい。その横に解決策を書いて見比べてみると、心配ごとの正体が見えてくるはずだ。

書き出した心配ごとのうち、簡単に解決できることは、すぐに処理して忘れてしまえばいい。一方、今すぐ自分の力で解決できないことは頭の中から消してしまおう。いずれにせよ、心配事の多くは、毎日書き出しているうちにうんざりして、忘れることができるだろう。

新たなスタート地点に立っただけ――挫折

いくら探しても出口が見つからない

人生の中心には「挫折」が置かれている。私たちは常になんらかの期待を抱いて生き、期待通りの結果が得られることもあれば、挫折を経験することもある。

人生にはジャンプ台もあるが、障害物も少なくない。目標に向かって歩いている途中で障害物につまずいて転び、ひざから血が流れることもある。このとき味わう気分が挫折感だ。目標への思いが強ければ強いほど、挫折感は深まる。

強い挫折感にさいなまれたときは、障害物が大きいのではなく、叶えたい気持ちがとても切実だったからだと考えてみてほしい。

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要約公開日 2022.11.08
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