自分の仕事をつくる

未 読
自分の仕事をつくる
ジャンル
著者
西村佳哲
出版社
定価
836円(税込)
出版日
2009年02月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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自分の仕事をつくる
著者
西村佳哲
未 読
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定価
836円(税込)
出版日
2009年02月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

人生における仕事の占める割合は高い。仕事にやりがいを求めるか、報酬や福利厚生などの労働条件を重視するかは、個々の価値観に委ねられている。私たちが職業選択で悩むのは、そのどちらも欲するからに他ならないが、仕事が条件だけで語れないものであることも、ひとつの真実である。

本書『自分の仕事をつくる』は、単行本発行から20年近く経った今も読み継がれる名著である。働き方研究家の著者が、一流の仕事人たちを訪ね歩いた見聞録であり、そこから得た思索をまとめた一冊である。彼らの多くはデザインやモノづくりに携わる人たちで、中には今は亡きプロダクトデザイン界の巨匠・柳宗理氏も含まれる。著者は「いいモノをつくっている人は、働き方から違うはずだ」と仮説を立て、実際に彼らの仕事場を訪ね、仕事への姿勢や進め方、大切にしていることなどを丁寧に聞き出した。そこから見えてきたのは、どんな仕事でも「自分の仕事」として遂行する、彼らの真摯な「働き方」である。

取材当時は90年代中頃から終盤、コンピュータがようやく一般化し始めた頃で、今よりずっと時間の流れは緩やかであったはずだ。しかし、本書の内容に古さは感じられない。むしろ今の私たちと同じようなことで悩んでいたのだという、共感すら覚える。テクノロジーが進化して時代は変わっても、「働き方」に対する人間の悩みはそうそう変わらないのかもしれない。

「自分の仕事」とはなにか。そう自問したことのある人は、本書を手に取っていただきたい。何かしらの深い示唆が得られるはずだ。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

西村佳哲(にしむら よしあき)
1964年生まれ。プランニング・ディレクター。建築設計分野の仕事を経て、デザインレーベル「リビングワールド」代表。つくる/教える/書く、の三種類の仕事を手がける。「つくる」は、クライアントワークとメーカーポジションでのモノづくりの両方を、コミュニケーションの観点から。「教える」は、美術大学などで、デザインプランニングやワークショップを担当。自称「働き方研究家」。著書に『自分の仕事をつくる』『自分をいかして生きる』『かかわり方のまなび方』(ちくま文庫)、『自分の仕事を考える3日間Ⅰ』『みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』『一緒に冒険をする』(弘文堂)、『ひとの居場所をつくる』(筑摩書房)、『いま、地方で生きるということ』(ミシマ社)、『なんのための仕事?』(河出書房新社)など。
http://www.livingworld.net/

本書の要点

  • 要点
    1
    一流の仕事人たちは、どんな仕事も他人事にせず、必ず「自分の仕事」として行っている。
  • 要点
    2
    モノづくりとは、じっくり時間をかけて形づくっていく中で、いつの間にかできているものである。その形は最初にイメージしたものとは違っていることがほとんどだ。
  • 要点
    3
    自分が感じた違和感や疑問を放置せず、自分らしさを模索しつづけると、いつしか自分らしい仕事が形づくられる。
  • 要点
    4
    仕事を「自分の仕事」にするポイントは、自分が仕事に合わせるのではなく、自分に仕事を合わせる力にある。

要約

働き方がちがうから、結果もちがう

最初に考えたものが、最後まで続くことはあり得ない:工業デザイナー・柳宗理
AntonioSolano/gettyimages

私たちは毎日、誰かがデザインしたものに囲まれて暮らしている。別の言い方をすれば、いろんな人の“仕事ぶり”に24時間・365日接して生きているということだ。「こんなもんでいいでしょ?」とつくられたものは、「こんなもんで…」という感覚を伝え、それを手にする人の存在をないがしろにしている。多くの人が自分を疎外して働いた結果、手にした人をも疎外する社会ができているのならば、同じ構造で逆の成果を生み出すことも可能なはずだ。

著者はある日、柳宗理氏によるコーヒーカップを手に入れた。ボーンチャイナの白い食器は「とても丁寧に作られている。大事に使わなければならない」と思わせるものを内包していたという。

著者は四谷駅近くにある柳宗理氏の設計室を訪れた。柳氏はものをつくる際、最初から図面やスケッチを作るのではなく「いろんな模型を作ってみて、これでいいかなとか悪いかなとかやる」と語る。どんなものでもまずは作ってみて、検討する。柳氏の作品で有名な「バタフライスツール」も、はじめは椅子をつくろうとも思わず、塩化ビニールの板を曲げたりしているうちにできてきたのだという。

手をつかって、具体的に形にしてゆく中で、はじめてイメージが固まっていく。できたものは、最初に考えたものとはまったく違うものになっているが、それこそが「本式」なのだと柳氏は結ぶ。

“その人”の光る部分を引き出す:アートディレクター・宮田識

キリンビバレッジ「世界のキッチンから」、モスバーガー、ラコステなど、数々の広告デザインやブランディングを手がけてきたドラフトを率いる宮田識氏。宮田氏は日本を代表するアートディレクターであると同時に、デザインの「現場」のデザイニングに長けた独創的なマネージャーでもある。スタッフであるデザイナーたちの力を十二分に発揮させることは、彼の大きな役割の一つだ。

宮田氏は「その人が持っている“ちょっと光っている部分”に気づいて、焦点の合った仕事を与えると、人は必ず成長する」と語る。そんな時、彼らは平気な顔をしていくらでも働いて、勝手に成長していく。

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