ビジネススクール 意思決定入門

未読
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ビジネススクール 意思決定入門
出版社
定価
1,870円(税込)
出版日
2022年08月22日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

リーダーにとって一番大事な仕事は「物事を決めること」、すなわち意思決定だ。

リーダーの意思決定が企業や組織、ときには国家の命運をも左右する。しかし、それに必要なスキルは何かと聞かれて、あなたは答えられるだろうか。

経営において質の高い意思決定をしようと思えば、財務会計やマーケティング、人事・組織論といった経営に関する知識はもちろん、業界やライバルの状況、顧客や従業員の考え方など、あらゆる方面に思いを目配せできなくてはならない。「経営は総合格闘技だ」と著者も書く。

ただし、なんでも自分流で決めればよいわけではない。意思決定には、絶対に押さえておかなければならないポイントがいくつかあるからだ。計算上、明らかに損となる取引は避けるべきだし、大きなリスクを負うときは、何らかの保険をかけておく必要がある。本書では、そのような場面で役立つ手法についてもわかりやすく説明している。

また、自分が決断する場面だけでなく、「経営者などの意思決定者にいかに質の高い意思決定をしてもらうか」も重要なトピックとなっている。情報収集や分析などを通して企画立案することの多いビジネスパーソンにとっては、こちらの方が大きな課題だろう。本書には相手に納得してもらうためのテクニックがいくつも掲載されている。

もちろん、紹介されているのは小手先のテクニックばかりではない。意思決定についての全体像をつかみたい人には、ぜひ手にとってほしい一冊だ。

ライター画像
ヨコヤマノボル

著者

内田和成(うちだ かずなり)
東京大学工学部卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。日本航空を経て、ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から2004年12月までBCG日本代表。2006年には「世界の有力コンサルタント25人」(米コンサルティング・マガジン)に選出された。2006年から2022年3月まで早稲田大学教授。ビジネススクールで意思決定論、競争戦略論、リーダーシップ論を教えるほか、エグゼクティブ・プログラムでの講義や企業のリーダーシップ・トレーニングも行なう。『仮説思考』『論点思考』『右脳思考』(東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』『ゲーム・チェンジャーの競争戦略』『リーダーの戦い方』(日本経済新聞出版)など著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    ビジネスでは、限られた情報しか得られていない段階で、いかに質の高い意思決定をするかが勝負だ。事前に何でもわかっていたら、経営者はいらない。
  • 要点
    2
    意思決定では「数字」だけでなく、感情などの「人間の非合理性」も考慮しなければならない。
  • 要点
    3
    意思決定者に決断してもらう際、提案を相手に信じてもらい、「腹落ち」させることが肝心である。そうすれば、うまくいく可能性も高まる。

要約

質の高い意思決定をする方法

「数字で割り切る」だけが正解か

質の高い意思決定をするには、どうすればいいのか。情報を集めることは大切だが、事前に何でもわかっていたら、経営者はいらない。

ビジネスは限られた情報しか得られていない段階で、いかに質の高い意思決定をするかの勝負だ。

しかし意思決定というのは決める人の考え方によって、いろいろな尺度や基準がある。「数字で割り切る」のがいつも正しいとは限らない。あまり理屈を通そうとすれば、人の気持ちがくみ取れなくなる。

ひとつのケーススタディを、東京ディズニーリゾート(TDR)の経営者になったつもりで考えてみよう。

東日本大震災の際、TDRの施設に大きな被害はなく、すぐに営業できる状態だった。しかし各地では電力の逼迫や原発事故、液状化現象など大きな被害が生じていた。

あなたならいつ、どのような形で営業再開を決断するだろうか。考慮すべき要因は、さまざまなステークホルダーへの対応、大事にすべき顧客セグメント、いつまで閉園可能かの資金繰り、従業員のパフォーマンスの維持、顧客の安全など多岐にわたる。これらについて、企業の論理と社会の論理、短期的収益と長期的収益のバランスを考える必要がある。

現実のTDRは、震災の約1カ月後に一部再開を決めた。

利益の最大化を目指す
sommart/gettyimages

ビジネスにおける意思決定で絶対に欠くことができないのは「利益をどのくらい上げることができるのか」という視点だ。

限りある資金で最大のリターンを得るには「経済的分析」が役に立つ。複数の投資先候補があるとき、まず優先すべきは利益率の高さだ。しかし、投資してなお手元にお金が残っていると、それは利益を生まない「死に金」になってしまう。そのような場合は、利益率が低くなっても死に金を減らせる投資案を検討し、利益の総額が最大になる配分を考えるべきだ。

資金を調達して投資する場合は「資本コスト」を考慮に入れる必要がある。資本コストとは借入の金利や、出資に対する配当のように、お金の調達にかかる費用のことだ。これは企業の信用力で変化するので、たとえば見通しが不透明なスタートアップの場合、投資家へのリターンを上げなくてはならず、資本コストは高くなる。自由に使えるお金は銀行に預けておくより、借金返済や自社株の買い戻しなどに回して、資本コストを下げることも大切である。

ただし、単純に利益率だけを見て決断すればいいというものでもない。儲かっていても将来性の薄い事業は売却して、夢のある事業に投資するという意見もあるだろう。自社にとってベストな資産配分をきちんと考えることが大事だ

不確実性のマネジメント

ライバルの出方を想像する

意思決定するときは、自分の期待どおりに物事が進むと考えてはいけない。競争相手の出方をきちんと念頭におきつつ、最善の選択を探る方法のひとつとしてゲーム理論がある。「互いに相手より利得を増やそうとする競争の結果を予想する手法」だ。

このうち、ビジネスの意思決定によく応用されるのが「ゲームマトリックス」である。自社とライバルの2者において、それぞれの打ち手によって現状の利益がどう変わるかを比較するためのものだ。

たとえば2つの小売店のうち、駐車場を拡張すれば利益が上がり、現状維持すれば利益が下がるとする。このとき、相手がどう考えようと駐車場を大きくするほうが有利になる。

しかしここで、両者が駐車場を大型化すると、両方ともいまの利益率より下がってしまうとしたらどうだろうか。

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