ユーモアとは何か
ユーモアに対する思い込み
人が笑う回数は23歳頃から急速に減り始める。その頃、多くの人は社会に出て働き始めるからだ。
では、なぜ職場ではユーモアを発揮しにくいのだろうか。その背景には4つの思い込みがあるようだ。
1つ目は「ビジネスは真面目であるべき」という思い込み。職場にユーモアの入り込む余地はないと思われているのだろう。だが調査によると、多くのリーダーはユーモアのセンスがある社員を好むし、自虐的なユーモアを持つリーダーは従業員から高く評価されることがわかっている。
2つ目は「何か言ってもうけないだろう」という思い込み。「すべってしまうかもしれない」という恐怖心があるのだろう。だが、うけることよりも、そのジョークが適切とみなされたかどうかのほうが重要だ。
3つ目は「ユーモアは面白くなければならない」という思い込み。必ずしも面白い発言である必要はない。自分にはユーモアのセンスがあると伝えることを目的としよう。
4つ目は「ユーモアは生まれつきの才能」という思い込み。ユーモアは、トレーニングと実践によって鍛えられる、後天的なスキルだ。
ユーモアの4つのタイプ

人の面白さは千差万別だ。著者は、ユーモアのタイプを4つに分類した。
1つ目のタイプは「スタンダップ」。天性のエンターテイナーで、人前に出ると生き生きするタイプだ。毒舌や自虐ネタに富み、笑いのためなら少々の犠牲も厭わない。
2つ目は「スイートハート」。よく練られた控えめな笑いをさりげなく散りばめる。人の感情を逆なでする危険を冒さず、笑いでまわりを元気にするのが特徴だ。
3つ目の「マグネット」は、いつも明るいムードメーカーだ。おバカなジョークを飛ばしながら自分で笑い、ほかの人のジョークにも大笑いする。即興コメディーや披露宴の乾杯の挨拶が得意だ。
4つ目のタイプは、鋭く皮肉っぽいユーモアを好む「スナイパー」。一発ジョークをぴしゃりと決めるのが好きだ。語り口は小声でそっけなく、気の利いたジョークをじっくりと練る。
この4タイプは固定的なものではない。もっとも重要なのは、その場の空気に合わせてふさわしい態度や話し方を採用することである。
ユーモアがもたらすもの
マルタの医師、エドワード・デボノは「ユーモアは人間の脳の活動のなかでも、とりわけ重要だ」と述べている。笑うことは、脳に大きな影響を与えるのだ。
人が笑うと、4つのホルモンが分泌され、ポジティブな変化があることが分かっている。
(1)ドーパミン(ハッピーな気分になる)
(2)オキシトシン(人への信頼が深まる)
(3)コルチゾール減少(ストレスが緩和する)
(4)エンドルフィン(高揚感が湧く)
これらが影響するのは、ユーモアで笑わせた相手だけではない。ユーモアを言った自分の脳にも変化が起きるのだ。
また、行動科学の観点から見ると、仕事上でのユーモアには4つの効果がある。
(1)パワー(知性が優れている人という印象を与える)
(2)つながり(知り合ったばかりでも打ち解けやすくなる)
(3)創造力(型破りな提案ができる)
(4)レジリエンス(挫折から立ち直りやすくなる)
ユーモアの方法論
ユーモアの2つの原則

ユーモアを使いこなしたい人のために、ユーモアの原則を2つ紹介する。




















