Chatter(チャッター)

「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法
未読
Chatter(チャッター)
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「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法
未読
Chatter(チャッター)
出版社
東洋経済新報社

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出版日
2022年12月01日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「今日のプレゼン、失敗したらどうしよう」「同僚から白い目で見られるかも」「信用を失い、仕事を任せてもらえなくなるかも…」

こんなふうに、一度始まった悪い方向への想像が止められないという人は多いのではないだろうか。起きてもいないことや、実現する可能性が低いことまで心配になり、不安におしつぶされそうになる。本書はそんな人のための不安のコントロール術を指南するものだ。

タイトルにもなっている「Chatter(チャッター)」は「おしゃべり」という意味の言葉だが、本書では頭の中にあふれてくる自分自身の言葉のことを指す。私たちは言語を使って思考しており、頭の中は絶えず「チャッター」であふれている。「チャッター」は私たちの思考そのものであり、情報の保存や考察、未来のシミュレーションや創造力の礎なのだという。しかし、時に「チャッター」は暴走する。ネガティブな思考が止まらなくなり、私たちの生活に深刻な影響を及ぼす。こうした「チャッター」を適切にコントロールし、ストレスや不安感を緩和しようというのが本書のねらいだ。

本書で紹介されるテクニックはどれも簡単で、すぐに実践できるものばかりだ。どれも科学的に検証されており、理にかなっているので、説得力がある。

考えたくないのに悪いことばかり考えてしまう人や、夜も眠れない不安におしつぶされそうになっている人は、速やかに本書を手に取るべきだ。あなたの不安は、必ず取り除ける。

ライター画像
千葉佳奈美

著者

イーサン・クロス(Ethan Kross)
意識する心のコントロールに関する世界的な第一人者。ミシガン大学とロス・スクール・オブ・ビジネスの受賞歴のある教授であり、感情と自制研究所の所長。ホワイトハウスの政策議論にも参加し、『CBSイブニングニュース』や『グッド・モーニング・アメリカ』、NPR『モーニング・エディション』などの番組で、研究に関するインタビューを受けている。その先駆的な研究は『ニューヨーク・タイムズ』『ニューヨーカー』『ウォール・ストリート・ジャーナル』『USAトゥデイ』『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』などで取り上げられている。ペンシルヴェニア大学で修士号を、コロンビア大学で博士号を取得。本書が初の著書。

本書の要点

  • 要点
    1
    私たちは頭の中で自分自身に話しかけ、その声に耳を傾けている。こうした「内なる声」を「チャッター」と呼ぶ。
  • 要点
    2
    ネガティブなチャッターが増大すると、不安な思考が頭の中で繰り返されてパフォーマンスが低下する。
  • 要点
    3
    チャッターのコントロールには、自分自身の問題から距離をおき、自分自身を客観的に捉え、問題を一般化することが重要だ。
  • 要点
    4
    ネガティブな感情を他人に共有しても心身にメリットはない。むしろ立ち直りを遅らせ、有害ですらある。

要約

内なる声「チャッター」とは何か

循環するネガティブな思考と感情

内省とは、「自分自身の思考や感情へ積極的に注意を向けること」である。内省のおかげで、私たちは想像や反省、問題解決や未来の創造ができる。この能力こそが、人間とほかの種を分つ進化的前進の一つであることは間違いない。

しかし近年、苦痛を感じているときの内省は有害無益であるという研究結果が多数報告されている。それは、仕事のパフォーマンスや判断能力を低下させ、人間関係に悪影響を及ぼし、そして精神疾患や体調悪化のリスクも高めるのだという。油断ならない何かを生み出している思考、その正体がチャッター(頭の中のしゃべり声)だ。

チャッターを構成するのは「循環するネガティブな思考と感情」である。これらは内省を呪いに変えてしまう。仕事での失敗や恋人との諍いがあったとき、私たちはそれについて考え、頭の中は否定的な感情でいっぱいになる。そして再びそのことを考え、これを無限に繰り返す。内省によって「内なる批判者」に出くわしてしまう。

私たちは、目覚めている時間の3分の1から2分の1もの間、「今」を生きていないことが研究からわかっている。私たちの意識はいとも簡単に「今、ここ」から離脱し、過去の出来事や想像上のシナリオに向かう。これが脳の「初期状態(デフォルト)」であり、脳は常に初期状態に立ち返ってしまうのだ。

人類はチャッターとともに歩んできた
Denis Novikov/gettyimages

私たちは頭の中で自分自身に話しかけ、その声に耳を傾けている。人類は文明の夜明け以来、チャッターと格闘してきた。初期のキリスト教神秘主義者は黙想を邪魔する頭の中の声を「悪魔の声」だと考え、中国の仏教徒は乱れた思考状態を「妄念」と名付けた。しかし、それと同時に、同じ文化で内なる声は「知恵」とも位置付けられてきた。多くの精神的伝統は内なる声を恐れるとともに、その価値を強調してきたのである。

「内なる声」と聞くと、その病的側面に注目しがちだが、内なる声は誰にでもある。この言葉の流れは私たちの内面世界から切り離せないため、音声障害に陥ったときですら途絶えることはない。内なる声、すなわちチャッターは、人間の精神の基本的特徴なのである。

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要約公開日 2023.03.25
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