人生のリアルオプション

仕事と投資と人生の「意思決定論」入門
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仕事と投資と人生の「意思決定論」入門
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出版社
定価
2,420円(税込)
出版日
2022年11月15日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

毎日の身支度、通勤、勤怠管理、休日の過ごし方、今晩の献立など、私たちは日々大量の事柄に対して意思決定を行っている。多くの人は、これらの意思決定を無意識に処理しているだろう。もちろん無意識を使い、スピーディーに処理する恩恵も大きい。だが、仕事・投資・キャリア形成といった人生の重要な局面においても、同様の処理をしてしまってよいのだろうか。

複雑・曖昧で、先を見通すことが難しい現代では、不確定要素が多い中で何度も意思決定の必要に迫られ、その度に生まれる新たな不安の種と付き合っていかねばならない。そのような時代を生きる現代人に対して手を差し伸べてくれるのが本書だ。

本書の前半部分は、著者が意思決定という分野に携わってきた中で、学術的な知識をベースに「経験したこと・学んだこと」を語るパートだ。一方、後半部分は前半の「根拠」に当たる職業的な知識をまとめている。要約では前半から一章、後半からはリアルオプションの理論と実践という枠組みで代表的な事例を一部抜粋する。自身の主張を押し付けることなく読者の潜在意識に優しく語りかけてくれる文体は、「意思決定」という確固たる答えがない学問分野を扱う著者ならではだ。本書は、まさに「しなやかで根拠のある人生啓発書」という新しいジャンルを切り拓いた良書である。読後は「リスク」「不確実性」といった「不安」にも対峙できる自分に出会えるだろう。

画一的なライフスタイルのない現代では、より自由度の高い意思決定が可能となった。一方、選択肢が多すぎて選べないという悩みを抱える人もいるだろう。本書はそんな意思決定に悩む人に寄り添う内容だ。

著者

湊隆幸(みなと たかゆき)
鹿児島県出身。1980年に鹿児島大学を卒業後、実務経験を経て、カリフォルニア大学バークレー校(Ph.D.)。帰国後、東海大学、アジア工科大学院を経て、2000年4月から東京大学、2022年3月に定年退職。その間、世界銀行グループのコンサルタントなど、実務経験も多数。現在は、国内外の大学の非常勤講師をする傍ら、フリーランスとして、自分の興味のあることを続けている。単著に『事業の意思決定』(技法堂出版)。

本書の要点

  • 要点
    1
    不確実性が大きい時にリスクを処理できるオプションが多いほど、リスクはチャンスとなる。不確実な社会において、未来を拓く意思決定の鍵は行動の柔軟性である。
  • 要点
    2
    人々の価値観の多様化により、社会はますます不確実になる。リアルオプションは、不確実な状況での「今すぐ行わない戦略」を意思決定に組み入れたものだ。
  • 要点
    3
    リアルオプション価値は不確実性が大きければ大きいほど増大する。その示唆は、好機が訪れたときに柔軟な対応を取ることによる損失の回避を目指したものである。

要約

明日できることを今日やるな

行動の柔軟性を持つ

童話「三匹の子ぶた」を現代風に書き換えるとこうなる。

三匹の子ぶたはお母さんに会いたい。噂では、最近オオカミは体調を崩したようだ。長男は噂を信じて出かけたが、噂は事実ではなくオオカミに食べられた。次男は噂を信じなかったが長男の末路を確かめることなく出かけ、やはりオオカミに食べられた。末っ子も噂を信じなかったが、兄二人の動向を確かめた。そして、出かけるのをやめた。

「生きた情報は、意思決定の鍵」だ。これを活用すれば、行動の幅やタイミングを柔軟に変えることができる。このことを「行動の柔軟性」という。

不確実な世の中では、自分の思うようにものごとは進んでいかない。そこで成功や失敗を何度も繰り返すことで、段階的に成長していける。柔よく剛を制す。「大きな枠組みの中で状況に応じて柔軟に行動する」人を目指そう。「明日できることを今日やるな」とは、そういう意味だ。

選ぶことは、捨てること
takasuu/gettyimages

「選ぶことは捨てること」だ。たいていの人は、選ぶことで失われるものに気づかない。だから後になって「失ったものは大きい」と悔やむ。「捨てた損失は選んだものと一心同体だ」。その損失が大きいほど、「選んだものの価値は相対的に小さくなる」。

捨てるべきは「初志貫徹」「完璧」「無限」だ。複雑化する社会では初志を貫くことが簡単ではなくなった。初志にこだわっても成果が出ないのであれば、ときには休みつつ、ゆっくりと軌道修正を試みよう。また、完璧には際限がない。世の中にはグレーもあるし、やろうと思えばどこまでもできてしまうことはたくさんある。意思決定で大切なのは、合格の最低基準を決めて最善を目指すことだ。人の能力や可能性は無限ではない。できないことは手放す。「やればできる」というのは傲慢だ。「自分の能力を自分自身が一番よく知ること」が肝要だ。

捨ててはいけないものは「感性」「勇気」「行動」「好機」「時間」だ。押し付けは感性を傷つける。知もたしかに大事だが、知は「自信や勇気を裏付ける要素」であるからこそ価値がある。何かを決めたのならば「机上の空論」にせず、行動しよう。行動しないことは、自分の意思や、褒められて成長する機会を捨てることになる。意思決定で一番むずかしいのは、何度も訪れない好機を掴み取ることだ。そして、負けを選ばないよう諦めずに時間を使い切ろう。

認識の転換

「不確実性の中には、チャンスもあればリスクもある」。このチャンスとリスクは「トレードオフ」の関係にある。「ハイリスク・ハイリターン」のほうが大きな潜在的チャンスの可能性があるので、不確実性の振れ幅は大きいほうがいい。

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要約公開日 2023.03.19
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