対話力

人生を変える聞き方・話し方
未読
対話力
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対話力
出版社
SBクリエイティブ

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出版日
2023年01月15日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

『対話力』と題された本書のテーマは「対話」である。本書の目指す対話は、単なる会話や情報交換にとどまらない。話すことを通して、話し手と受け手が協力して新しい価値を生み出すことこそが対話である。

本書は、話すことのスペシャリストである阿川佐和子氏と齋藤孝氏の対談形式で進んでいく。阿川氏は長年の仕事の経験を交えながら対話のテクニックや心がまえを語り、齋藤氏は授業での実践を紹介しながら教育的な視点を付け加えていく。2人の対話を通して、目指すべき「対話」のあり方が浮かび上がってくる本書の様子それ自体が、対話のお手本と言ってよいだろう。

2人の様子を見ていると、こんな対話が実現するのはこの2人だからであって、自分には無理だと尻込みをしてしまうかもしれない。人見知りで話すことに苦手意識がある人ならばなおさらだ。だが、阿川氏は、自分も本質的には人見知りな性格だと明かす。インタビューでは毎回自分を鼓舞して、照れを克服している。齋藤氏も、やるしかない状況で無茶ぶりをされる経験を積んできたという。そして、2人はやる前からできないと決めつけずに、がんばって一線を越えてみようと読者に呼びかける。

話すことを生業にしていない人であっても、対話力をつけることは仕事や人生を充実させることにつながるはずだ。対話に使えるテクニックや対話力向上のヒントが掲載されている本書を参考に、対話力を磨くための最初の一歩を踏み出そう。

著者

阿川佐和子(あがわ さわこ)
1953年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部西洋史学科卒。エッセイスト、作家。99年、檀ふみとの往復エッセイ『ああ言えばこう食う』で講談社エッセイ賞、2000年、『ウメ子』で坪田譲治文学賞、08年、『婚約のあとで』で島清恋愛文学賞を受賞。12年、『聞く力――心をひらく35のヒント』が年間ベストセラー第1位、ミリオンセラーとなった。14年、菊池寛賞を受賞。著書に『ことことこーこ』(角川文庫)、『看る力――アガワ流介護入門』(共著)(文春新書)、『トゲトゲの気持』『空耳アワワ』(以上、中公文庫)、『ブータン、世界でいちばん幸せな女の子』(文藝春秋)など。

齋藤孝(さいとう たかし)
1960年、静岡県生まれ。明治大学文学部教授。東京大学法学部卒業後、同大学院教育学研究科博士課程等を経て、現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞。日本語ブームをつくった『声に出して読みたい日本語』(草思社)で毎日文化賞特別賞。ほかの著書に、『大人の語彙力ノート』『読書する人だけがたどり着ける場所』『書ける人だけが手にするもの』『20歳の自分に伝えたい知的生活のすゝめ』(以上、SBクリエイティブ)など多数。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導。

本書の要点

  • 要点
    1
    どんな職業でもコミュニケーション力が求められるようになった現代では、「対話力」が必要とされる。対話力を高めるためには練習が欠かせない。
  • 要点
    2
    対話の場で相手に話しやすいと感じてもらうためには、態度や相づちで相手に自信を与えられるとよい。
  • 要点
    3
    「~と言えば」という言葉をうまく使うと、効果的に対話を連ねたり、話がズレた際にさりげなく軌道修正したりすることができる。
  • 要点
    4
    たとえ自分でアイデアを出すことができなくても、対話を盛り上げる役割を担うことはできる。「肯定感」や「盛り上がり感」は、実りのある対話にとって重要な要素だ。

要約

対話とは何か?

現代は「対話力」が必要な時代に

齋藤氏は、現代はどのような職業でもコミュニケーション力が重視されるようになってきたと指摘する。医者や看護師、弁護士などにとって、患者や相談者は「クライアント」と呼ばれる存在であり、どんな仕事もクライアントがいて成立しているといえる。仕事ではクライアントの要望に応えることが求められ、そのためには対話を積み重ねなければならない。

対話やコミュニケーションは誰でもできると思っているかもしれないが、最低限の技術を身につけ、練習をしなければうまくいかない。もしコミュニケーション部という部活動があったら、自分だけ長く話しすぎない、人の話を聞いて次の展開につなげるといった練習を最初にやることだろう。ほとんどの人はそうした訓練をしたことがないようだ。

齋藤氏は授業で学生に、15秒で自分の話をまとめさせているが、これは「要約力」をつけるための訓練だ。トレーニングを重ねることで、それほど話す才能に恵まれていなくても、ある程度まで対話力を高めることが可能になる。まずは練習をすることが大事だと齋藤氏は語る。

「対話」とは、気づきや発見があるもの
Overearth/gettyimages

対話力を向上させる方法の一つとして、どういう人と出会って付き合うかが重要だと阿川氏は考える。同じコミュニティ内の人とだけ付き合っていては対話の内容は広がりづらく、思いもよらぬ発想や気づきは生まれにくい。自分とは異なる世界の人の話には驚きが多く、対話の内容もおのずと広がっていく。

齋藤氏も、異なる世界の人との対話は刺激になると同意したうえで、対話力に優れた人と実際に対話する機会を多く持つことが対話力向上への近道だと付け加える。スポーツなどと同様に、自分よりうまい人と一緒にやると、自分も上達するものだ。

齋藤氏は大学に入学したばかりの学生に対して、「対話とは何かを生み出すこと、新しい意味や価値を生成すること」だと教えるという。知っていることを教え合うのは、対話ではなく情報交換だ。語る対象となる素材をお互いに共有したうえで、話すことを通じて知的な発見や気づきがあるものこそが、対話と呼べるのである。

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要約公開日 2023.03.20
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