ささるアイディア。の表紙

ささるアイディア。

なぜ彼らは「新しい答え」を思いつけるのか


本書の要点

  • アイディアを生み出すセンスは、徹底的なインプットによって後天的に鍛えることができる。

  • 時間をかけて説明しなければわからないものは、そのよさが伝わらないし、SNSでシェアされにくい。余計なものは削ぎ落とし、「ラフスケッチひとつと説明1行」で伝わる、シンプルなアイディアへと磨きあげるのが鉄則だ。

  • なにかに対して「気持ちいい」「好ましい」と思ったら、その理由を自分なりに分析し、頭のなかにどんどんストックしていくとよい。それがアイディアのタネになる。

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水野学氏(クリエイティブディレクター)

アイディアは「知識」から生まれる

クリエイティブディレクターとしてさまざまな企業のブランディングデザインに関わってきた水野学氏は、アイディアは2種類のセンスによって導き出されると考えている。身体能力をともなう「運動的センス」と、記憶や学びによる「芸術的センス」だ。たとえばミュージシャンには、意図したとおりに指が動くという運動的センスに加えて、いい曲や表現のしかたを知っているという芸術的センスが必要だ。アイディアを生み出す力は「芸術的センス」によるものである。このセンスは後天的なもので、知識が増えれば増えるほど磨かれていく。いま取り組んでいる仕事やプロジェクトを徹底的に分析して研究すれば、知識が蓄積され、アイディアのタネが生まれやすくなるはずだ。

まずは「調査」と「研究」

kyoshino/gettyimages

水野氏がアイディアを出す際は、かならず「調査」および「研究」からはじめる。考える対象のことを良く知らないと、アウトプットの精度が低くなってしまうからだ。具体的には、これから考える対象について、現地に足を運んだり、いろんな本を読んだりしながら、自分たちで徹底的に調べる。水野氏が「HOTEL THE MITSUI KYOTO」のブランドコンセプトを立案したときでいえば、ホテルの構想や施設などについて詳しく知ることからはじめて、ホテルを運営している三井不動産グループや、創業家である三井家の歴史についても調べた。ほかにも京都という街や土地柄、歴史や文化、そこにかかわってきた人たちのことなどを学んだり、ホテル周辺の古地図を集めたりもした。3か月ほど知識をたくわえたあと、プロジェクト仲間と話しているなかで浮かび上がったのが、日本人の「分かちあいの心」というキーワードだった。これをひとつのヒントとして思考を深め、最終的にブランドコンセプトを提案した。

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川村真司氏(クリエイティブディレクター)

「ラフスケッチと1行」で伝える

クリエイティブディレクターとして幅広い領域で活躍する川村真司氏が意識しているのは、「ラフスケッチひとつと説明1行」で伝わる、シンプルなアイディアに仕上げることだ。時間をかけて説明しなければならないものは、そのよさが伝わらないし、SNSでシェアされにくいため、広がっていかない。

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要約公開日 2023.04.05
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