スタッフエンジニア

マネジメントを超えるリーダーシップ
未読
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出版社
出版日
2023年05月08日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

テクノロジーが発展し続けるこの世界において、年々存在感を増していく職種といえば、真っ先にエンジニアが挙がるだろう。実際、日本でもエンジニアの職を得ている人は多く、ヒューマンリソシアの調査(2021年)によると、IT技術者の数は世界第4位の122万人にのぼる。

一方で経済産業省の発表では、2030年には、IT人材の需要は164万人に達するとされた。少子化が進み、労働力人口が減るなかでも、日本の未来のためにはエンジニアの数を確保する必要がある。多くの人にエンジニアの職に就いてもらうとともに、現在エンジニアとして活躍している人には、このままキャリアを積んでもらわなければならない。

そんな状況において、エンジニアとしてキャリアを積み続けたい人の教科書となるのが本書である。著者のウィル・ラーソン氏は、さまざまなテック企業でエンジニアリングリーダーなどとして働き、本書のテーマである「スタッフプラスエンジニア(エンジニアの上級職)」たちを指導・育成してきた。その経験と、本書の執筆のために行なった複数のインタビューをもとに、テクノロジー分野におけるリーダーシップのあり方を提示している。

技術を極めるか、マネジメント側に進むのか。昇進を目指すべきか、このままとどまるべきか。昇進するには何をすればいいか。上級職の業務とは。重要な意思決定の場に同席する権利を得るには――。エンジニアが悩む多くのことに明確なヒントと答えをくれる、他にない一冊である。

著者

ウィル・ラーソン(Will Larson)
米Calm、米Stripe、米Uberなど、さまざまなテック企業でエンジニアリングリーダーあるいはソフトウェアエンジニアとして働いてきた。著述家でもあり、著書『An Elegant Puzzle』は3万部超を誇る。ノースカロライナ州出身。ケンタッキー州のセンター・カレッジでコンピューターサイエンスを学び、JETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)を通じて1年間日本で英語を教えた経験もある。2009年からはサンフランシスコ在住。

本書の要点

  • 要点
    1
    スタッフプラスエンジニアになるメリットは3つある。(1)自分の力を証明する必要がなくなり、もっと大切な仕事に集中できること。(2)重要な意思決定の場に参加する権利を得やすくなること。(3)報酬が増えること。
  • 要点
    2
    スタッフプラスエンジニアに求められる能力・行動は8つに集約できる。そのうちのひとつは「重要なことに力を注ぐ」だ。上級職になればなるほど、少ない時間のなかでより多くを達成することが求められる。後述するスナッキングやプリーニング、ゴーストチェイシングに時間を費やす暇はない。
  • 要点
    3
    昇進を目指すなら、社内での認知度を上げる努力をすべきだ。

要約

スタッフエンジニアとは何か

スタッフエンジニアの定義

エンジニアには2種類のキャリアパスがある。エンジニアリングマネジメントとテクニカルリーダーシップだ。本書の主題となるのは後者、テクニカルリーダーシップである。

テクニカルリーダーシップへの道にはさまざまな中継点がある。本書ではその中継点を、下から順に「シニア」「スタッフ」「プリンシパル」「ディスティングイッシュト」と定義し、上位3つを「スタッフプラス」と呼ぶ。

一般的にこれらの役職は、組織が大きくなるにつれて1つずつ追加されるものだ。テクニカルリーダーシップに携わるレベルを1つしか設定しない会社では、通常「スタッフ」が役職名となる。

スタッフエンジニアになる3つのメリット
svetikd/gettyimage

昇進には多くの時間とエネルギーが必要だ。シニアエンジニアとして快適に働いている人は、スタッフエンジニアを目指すべきかどうか悩むかもしれない。

検討材料として、スタッフプラスエンジニアになるメリットを3つ紹介しよう。

1つ目は、年功序列制度から逃れられること。スタッフプラスの肩書きがあれば、自分の力を証明する必要がなくなり、もっと大切な仕事に集中できる。

2つ目は、「部屋」へのアクセスが容易になること。上層部を中心とした、組織の重要な意思決定の場に参加しやすくなる。

そして3つ目は、現在および将来の報酬が増えることだ。

【必読ポイント!】 スタッフエンジニアに求められる能力・行動

重要なことに力を注ぐ

スタッフプラスエンジニアを指導・育成した経験と、本書を執筆するために多くの取材をした経験から、著者はスタッフプラスに求められる能力と行動を8つ挙げている。要約ではそのうち2つを取り上げる。

まず「重要なことに力を注ぐ」だ。上級職になればなるほど動ける時間は減る一方、より多くの成果を出すことが求められる。そこには3つの障害がある。

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要約公開日 2023.04.30
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