未来力

「10年後の世界」を読み解く51の思考法
未読
未来力
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「10年後の世界」を読み解く51の思考法
未読
未来力
出版社
出版日
2023年01月10日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

三木谷浩史。1997年に楽天市場を創業、Eコマースをはじめ、トラベル、医療、金融など国内外で幅広い事業を展開する起業家として知られる。楽天グループを国内最大規模のコングロマリットへと導いた人物だ。

楽天は「東北楽天ゴールデンイーグルス」や「ヴィッセル神戸」のオーナー企業としてもなじみ深く、スポーツビジネスにも力を入れている。最近では日本の通信業界に風穴を開けるべくモバイル事業に注力し、「利用料0円」という思い切った料金プランを打ち出したのも記憶に新しい。さらに、三木谷氏本人は政府に対してさまざまな政策提言も行っており、シリコンバレーの起業家とも親交がある。

本書はそんな三木谷氏の週刊文春での連載コラムを書籍化したものだ。楽天グループの事業内容のごとく、日本の政治や英語教育、人口減少に対する解決策、楽天の通信事業の進むべき方向性など幅広いテーマが語られる。

イーロン・マスクとのカラオケ秘話や歴代首相への直談判、FCバルセロナとのスポンサー契約の背景など、一線で活躍する起業家だからこその生々しいエピソードも豊富だ。三木谷氏が描く日本、世界の未来の一端に触れることができ、きっとビジネスにおける示唆やヒントも得られるはずだ。

ライター画像
小林悠樹

著者

三木谷浩史(みきたに ひろし)
1965年、兵庫県神戸市生まれ。1988年に一橋大学商学部卒業後、日本興業銀行(現・みずほ銀行)に入行、1993年、ハーバード大学にてMBAを取得。興銀を退職後、1997年にエム・ディー・エム(現・楽天グループ)を設立し、楽天市場を開設。現在はEコマースと金融を柱に、通信や医療、スポーツなど幅広く事業を展開している。現在、会長兼社長。2012年に発足した一般社団法人新経済連盟でも代表理事を務める。主な著書に『楽天流』(講談社)、『たかが英語!』(講談社)、『成功のコンセプト』(幻冬舎文庫)など、父・三木谷良一との共著に『競争力』(講談社)。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本が成長していくためには優秀な人材を国内外から集め、同時に規制緩和をしてイノベーションが起きやすい環境を整えなくてはならない。
  • 要点
    2
    イノベーションを起こすためには「素人目線を持つ」ことが大切である。できない理由を無視し、物事の本質だけを見るシンプルな考え方こそが未来を創る。
  • 要点
    3
    日本は技術者不足が深刻で、移民受け入れは不可避の状況である。移民は豊かな多様性を生み、それ自体がイノベーションを推進する原動力になり得る。

要約

イノベーションとアントレプレナーシップ

未来を見据えることの重要性

未来を想像することの意義は大きい。例えば、アメリカが人類初の月面着陸を成功させたのは1969年だ。アポロ計画が発表された1961年時点では人を月に送るための技術は存在していなかった。

だが、ケネディ大統領が月に行くという大上段の計画を発表したことにより、そのために必要なことやそれを阻む障害が明確になったのだ。長期的なビジョンは中期的な課題を見えやすくし、さらに短期的な課題を次々と浮かび上がらせる。

物事を成し遂げる際に問題となるのは、壁の高さや数ではなく、壁が見えるかどうかにかかっているのだ。

イノベーションとは

未来を語るうえでキーワードになるのがイノベーション(技術革新)という概念だろう。

イノベーションとは「新しいもの同士を融合させる発想」である。例えば、現代人の生活を大きく変えたiPhoneは、音楽と電話、インターネットをかけ合わせることによって誕生したイノベーションだ。アマゾンもオンライン上で書店のように本を売ろうという発想から生まれ、イーロン・マスクのテスラもモーターと電池を組み合わせることで作られている。

楽天グループのビジネスも、楽天会員のデータベースを中心に、さまざまな事業を組み合わせたエコシステムが展開されている。

アントレプレナーシップ
Umnat Seebuaphan/gettyimages

日本はイノベーションよりもインベンション(発明)を数多く生み出してきた国だ。DVDや光ファイバーが好例だが、反対に技術を結合させてイノベーションを生む力は乏しい。

今後は成長をけん引する優秀な人材を国内外から集め、同時に規制緩和をしてイノベーションが起きやすい環境を整えなくてはならない。

そして、イノベーションを実行に移す「アントレプレナー」の存在も欠かせない。もともとフランス語で「仲介する者」という意味を持つアントレプレナーは、これまでにない発想で新たなサービスを生み出し世界を変えていく。

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要約公開日 2023.05.01
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