否定しない習慣

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否定しない習慣
出版社
フォレスト出版

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出版日
2022年12月25日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

誰しも、部下や同僚、友人、家族などと「いい人間関係」をつくりたいと思っているだろう。では「いい人間関係」をつくるには、具体的に何をすればいいか。本書で著者は、相手を「褒める」よりも、「肯定する」よりも、「否定しない」ことがもっとも効果的だと指摘する。

とはいえ、ほとんどの人が「相手を否定するのはよくない」と理解しているのではないだろうか。だが著者によると、人が誰かを否定するとき、多くは無自覚であるという。頭ではわかっていても、無意識のうちに相手を否定しているのだ。

著者の林健太郎氏は、日本を代表する大手企業や外資系企業、ベンチャー企業、家族経営の会社などで、のべ800人を超える経営者やビジネスリーダーに対するコーチングを行ってきた、コミュニケーションのプロである。本書では、そんな著者がコーチングしてきた相手との会話例などもはさみながら、無意識のうちに行われている「否定」がどこからくるものなのかを紐解き、自覚へと導いていく。否定しないコミュニケーションを実現するためのマインドや技術がふんだんに紹介されているのも特徴だ。

本書を読むと、自分が無意識に誰かを否定していないか、胸に手を当てて考えることになるだろう。よりよい人間関係を築くためのヒントに加え、身近な人とのコミュニケーションのあり方を考え直すきっかけをも与えてくれる一冊である。

ライター画像
中村美音

著者

林健太郎(はやし けんたろう)
リーダー育成家。合同会社ナンバーツー エグゼクティブ・コーチ。一般社団法人国際コーチ連盟日本支部(当時)創設者。
1973年、東京都生まれ。バンダイ、NTTコミュニケーションズなどに勤務後、日本におけるエグゼクティブ・コーチングの草分け的存在であるアンソニー・クルカス氏との出会いを契機に、プロコーチを目指して海外修行に出る。帰国後、2010年にコーチとして独立。2016年には、フィリップ・モリス社の依頼で、管理職200名超に対するコーチング研修を実施。日本を代表する大手企業や外資系企業、ベンチャー企業や家族経営の会社まで、のべ800人を超える経営者やビジネスリーダーに対してコーチングを実施。企業向けの研修講師としての実績も豊富で、フェラーリ社の日本の認定講師を8年間務めるなど、リーダー育成に尽力。『コーチング忍者の2分コーチング入門講座』など、斬新な切り口でコーチングを啓発中。
著書に『できる上司は会話が9割』『優れたリーダーは、なぜ「傾聴力」を磨くのか?』(ともに三笠書房)がある。
https://number-2.jp/

本書の要点

  • 要点
    1
    否定しないマインドをつくるためには、次の3つを意識したい。(1)「事実だから否定してもいい」という思考をしないこと、(2)「自分は正しい」という思考をしないこと、(3)「過剰な期待」をしないこと、だ。
  • 要点
    2
    相手を否定しない技術のひとつは、「能動的に黙る」ことである。この行為によって、相手の意見や考えを引き出せる。
  • 要点
    3
    毎晩、その日の出来事を振り返る習慣をつけよう。もし誰かを否定してしまったなら、否定の裏にある思いに目を向けてみるとよい。

要約

いい人間関係の鍵は「否定しないこと」

なぜ相手を否定してしまうのか

多くの人は、「否定しないで受け入れることが大切」と頭ではわかっているのに、無意識のうちに相手を否定してしまう。なぜだろうか。

理由の一つは、「よかれと思って」という前提のもと、否定を正当化してしまうことだろう。著者は中学3年生のとき、「将来はF1カーの空力デザイナーになりたい」という夢を親に伝えたところ、困った顔で「もう少し、普通のやつ、ないのか?」と言われた。自分が大人になってみると、相手に悪意がないことはわかる。子どものために「よかれと思って」言ってくれたのだろう。だが、悪意がないからこそ厄介であるともいえる。

否定は何をもたらすか
fizkes/gettyimages

その後、留学先で出会った進学カウンセラーに夢を打ち明けたところ、カウンセラーは否定せず、「素晴らしい。どうしたらなれるか、一緒に考えよう」と言ってくれた。そう言われて初めて、夢を実現する方法をまったく考えていなかった自分に気づいたのだった。

将来の夢をめぐる2つの体験と、数多くの経営者やビジネスパーソンをコーチングしてきた経験から、気づいたことがある。それは、否定ばかりされると「怒りが生まれる」「オープンに話せなくなる」「信頼関係が生まれにくくなる」「自己肯定感が低下し、自信を持てなくなる」ということだ。逆に、自分の意見や考えを認めてもらえると、ポジティブな感情が生まれ、もっとコミュニケーションを取りたくなり、信頼関係が生まれて、自己肯定感と自信につながる。

そんなの当たり前だ、と思う人もいるだろう。それでも私たちは、無意識のうちに相手を否定してしまっているのだ。

否定とは「何を言っても『でも』『だって』と否定すること」に限らない。相手が話しているのをさえぎって話し出すことや、相手が意見を述べたときに「それもいいけどさ」と自分の意見を言ってしまうこと、別のことをしながら相手の話を聞くことも「否定」である。

「否定しない」の具体例

相手を否定しないことでいい関係をつくれた事例を紹介しよう。あるベテランのワインソムリエが、お客様からこう言われた。「〇〇(ワインの銘柄)の赤ワインをいただけますか?」

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要約公開日 2023.06.06
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