人のために頑張りすぎて疲れた時に読む本

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出版社
出版日
2023年02月15日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「こんなに気を遣っているのに、損ばかりしてるような気がする」

そう考えたことはないだろうか。そんな状況を抜け出すヒントをくれるのが本書である。2018年に出版され、ベストセラーとなった同名書籍が文庫化されたものだ。

他人の気持ちを察したり気付いたりする能力が高く、その場の空気をまとめるなど、周りの人の行動や状況を先読みしてサポートできる人を本書では「お察し上手」と呼んでいる。周りの人は、「お察し上手」な人の適格な気遣いや空気を読んだ行動により心地よく過ごせるだろう。しかし、その能力を発揮している当の本人は、疲れてしまっていることが少なくない。なぜなら、頑張って相手のことを思い行動しても報われない。それどころか、逆に嫌な思いをさせられることすらあるからだ。

著者の根本裕幸氏によるとその原因は、「お察し上手」の本人にあるという。気遣いができすぎるがゆえに気遣いをアピールできず、揉めごとにならないように自分の気持ちを押さえ込む。相手は「お察し上手」ではないため、そんな気遣いに気付かない。「相手は、わかってくれるはずだ」という期待は、見事に打ち砕かれることになる。

本書では、そんな「お察し上手」な人が疲れてしまう原因を探り、その能力を生かしながら幸せに生きるためのワークを紹介している。ワークを実践することにより、ただ疲れる気遣いから、自分の心が喜ぶ気遣いにシフトしていけそうだ。

「気を遣いすぎで疲れている」という人に、ぜひ読んでいただきたい一冊だ。

ライター画像
中山寒稀

著者

根本裕幸(ねもと ひろゆき)
心理カウンセラー。1972生まれ。
1997年より神戸メンタルサービス代表・平準司氏に師事。2000年、プロカウンセラーとしてデビュー。2003年から年間100本以上の講座やセミナーをこなす。2015年3月独立。フリーのカウンセラー/講師/作家として活動を始める。現在は東京・大阪・オンラインを中心にセミナーやセッションを行っている。個人向けセッション、各セミナーはキャンセル待ちが続く。
「どんな状況でも安心、希望、笑顔を与えられる存在でありたい」という思いから、論理的ながら軽妙な語り口で、いつも笑いを絶やさない。
『今日こそ自分を甘やかす』(大和書房)、『つい他人と比べてしまうあなたが嫉妬心とうまく付き合う本』(学研プラス)をはじめ、ベストセラー多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    「いつかわかってもらえる」とか「頑張れば喜んでもらえる」という幻想を抱えている「お察し上手」は、気を遣っている相手が細やかな性格でもなければ、お察し上手でもないことに気付くべきだ。
  • 要点
    2
    「お察し上手」という特性は、他人軸だと短所になり、自分を苦しめることになる。だが、自分軸を確立することで長所として生かすことができる。
  • 要点
    3
    「お察し上手」はもともと主体的に行動していたはずだが、相手に気付いてほしいという欲求が生まれると自立の依存が起こる。「お察し上手」が苦しくなるのは、この依存が原因である。

要約

「お察し上手」とは?

お察し力が高い人は、疲れている

周りの様子を察し、いち早く気付くことができる。その場の空気をまとめるように行動し、こじれる可能性があれば言いたいことでも口をつぐむ。相手の行動を先読みしてサポートできる。そんなお察し能力が高い人がいれば、周りは心地よく過ごせるはずだ。

しかし、当の「お察し上手」な人は、自分自身を苦しめることになる。

たとえば、著者のクライアントの「お察し上手」な女性は、書類の整理が苦手な専務の秘書だ。彼女は、優先順位を考えて書類を整理し、そのおかげで専務は、順調に仕事ができていた。しかし、専務はそれを自分のマネジメント能力だと思い込んでいたのだ。

あるとき、専務が重要な書類を失くしてしまった。それを、彼女がデスクの整理をしたせいだと責めたのだ。結果的に書類は専務の自宅で見つかり、彼女のミスではないことがはっきりしたものの、専務から謝罪はなく、彼女のモチベーションが大きく下がる結果になった。

このような事例を「仕方がない」とあきらめてはいないだろうか。「お察し上手」は素晴らしい長所だ。それを生かしながら、疲れずに楽しく過ごすコツを紹介しよう。

【必読ポイント!】 「お察し上手」が疲れる理由

相手は「お察し上手」ではないという事実
recep-bg/gettyimages

プロの棋士の対局並みに「お察し上手」の人は、人間関係をずっと先まで読んでいる。違うのは、将棋にはルールがあっても、人間関係にはルールも答えもないことだ。人間関係は、先の手を考えるほどに予想される相手の行動が増えていく。考えれば考えるほど相手のことを考える羽目になり、がんじがらめになってしまうのだ。

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要約公開日 2023.06.27
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