会社を絶対潰さない

組織の強化書

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出版社
出版日
2023年01月20日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

あなたは次の3つの意見に賛成だろうか、それとも反対だろうか。

「新卒採用では、できるかぎり優秀な人材を採用すべきだ」

「強い組織をつくるために、部署のナンバーワン社員は異動させない」

「仕事ができない部下と『できる上司』を組ませると、部下の力が上がる」

一つでも「賛成」と答えた方には、ぜひ本書を手に取ってもらいたい。

著者は株式会社武蔵野の社長、小山昇氏だ。小山氏は、冒頭の意見にはすべて「反対」の立場だ。むしろ「優秀すぎる人材を採用してはいけない」「ナンバーワン社員こそ積極的に部署異動させよ」「できる上司はできる部下と、“そこそこ”の上司は“そこそこ”の部下と組ませるべき」という考えである。

小山氏は、赤字続きだった武蔵野の社長に就任したのち、さまざまな改革を断行し、武蔵野を「強い組織」へと生まれ変わらせた。2022年8月には、コロナ収束前というタイミングにもかかわらず、売上は過去最高を4900万円更新、粗利益は過去最高を5000万円更新するなど、劇的なV字回復へと導いている。

本書には、そんな小山氏がどのような考えで武蔵野を経営してきたのかが、社長のあり方、社員の育成、組織のつくり方、人員分析・配置、環境整備という5つの章で解説されている。いずれの章の内容も、これまでの会社経営・人材育成の“常識”の逆をいくものが多いが、自然と納得させられる。強い組織をつくりたいと考える経営層や人事におすすめしたい、驚きと気づきに満ちた一冊である。

著者

小山昇(こやま のぼる)
1948年山梨県生まれ。東京経済大学を卒業し、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して自身の会社を経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任して現在に至る。2001年から中小企業の経営者を対象とした経営コンサルティング「経営サポート事業」を展開。750社以上の会員企業を指導している他、「実践経営塾」「実践幹部塾」「経営計画書セミナー」など、全国各地で年間240回の講演・セミナーを開いている。
1999年度「電子メッセージング協議会会長賞」、2001年度「経済産業大臣賞」、2004年度、経済産業省が推進する「IT経営百選最優秀賞」をそれぞれ受賞。2000年、2010年には「日本経営品質賞」を受賞している。主な著書に『人材戦略がすべてを解決する』『新版 経営計画は1冊の手帳にまとめなさい』『99%の社長が知らない 会社の数字の使い方』(以上、KADOKAWA)、『4万人の社長・幹部がベンチマークした すごい会社の裏側(バックヤード)!』(あさ出版)、『儲かる会社のコミュニケーションの鉄則』(朝日新聞出版)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    武蔵野がV字回復を成し遂げたのは、「お客様第一主義」「環境整備」「経営計画書」という3本の大きな「柱」を建て、全社員がその柱を磨きあげることで、社長と社員の価値観が揃ったからだ。
  • 要点
    2
    武蔵野の経営においては、時代の変化に合わせて柔軟にルールを変えていくことを大切にしている。
  • 要点
    3
    武蔵野では、頻繁に部署異動が行われる。人事異動のポイントは「組織に人を貼り付けること」「職場のナンバーワン、ナンバーツーを動かすこと」「同じレベルの上司と部下を組み合わせること」「社員の特性を踏まえて人材配置すること」だ。

要約

なぜ武蔵野はV字回復を成し遂げられたのか

強い組織をつくる3つの「柱」

著者が社長に就任した1989年当時、武蔵野は赤字続きだった。

しかし現在は違う。リーマン・ショックや東日本大震災、新型コロナウイルス感染症の蔓延などといった危機に見舞われながら、2007年以降、経常利益で赤字になったことは一度もない。2022年8月には、コロナ収束前にもかかわらず、売上は過去最高を4900万円更新、粗利益は過去最高を5000万円更新した。まさにV字回復である。

武蔵野が大きく変わったのは、「お客様第一主義」「環境整備」「経営計画書」という3本の大きな「柱」を建て、全社員がその柱を磨きあげてきたからだ。その結果、社長と社員の価値観が揃い、「変化にすばやく対応できる組織」「社員もモチベーションが高く維持されている組織」として成長し続けられるようになった。

【必読ポイント!】社長のスタンス

時代に合わせてルールを変える
maroke/gettyimages

経営は「環境適応業」だ。昨日までの正解が通用しなくなったのであれば、すぐに方針とやり方を変えなければならない。

たとえば2014年までの武蔵野は、「5年以上勤めた社員が『辞める』と言ってきたら、引き止めない」のがルールだった。ところが現在は正反対で、全力で引き止めることにしている。

ルールを変えた理由は、2015年を境にして、生まれてくる人の数と亡くなる人の数が逆転したからだ。その結果、採用に関しても「社員が辞めても、すぐに代わりの人材を補充できる時代」から「社員が辞めると、代わりの人材が見つからない時代」になった。武蔵野は、時代の変化に合わせてルールをつくりかえたのだ。

ルールは「正しさ」よりも「スピード」を重視

世の中の変化に応じてルールとアクションを変え、「結果が出ること」のみを実行する――。これが武蔵野のやり方だ。一方、赤字企業の社長の多くは「一度つくった方針・ルール・計画は変えてはいけない」と信じている。

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要約公開日 2023.05.11
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