心理的安全性 最強の教科書

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出版社
東洋経済新報社

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出版日
2023年03月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「職場のストレスがなくなる」「意見やアイデアが飛び交う」「生産性&成果がアップする」――本書の帯に書かれている、心理的安全性を高めることの効果だ。これを読んで「ぜひとも心理的安全性を高めたい」と思わないマネジャーはいないだろう。本書はその期待に120%応えてくれる。

著者は『ニューエリート』や『世界最高のコーチ』などの著書で知られる連続起業家、ピョートル・フェリクス・グジバチ氏だ。モルガン・スタンレーを経て、Googleで人材開発、組織改革、リーダーシップマネジメントに従事したのち、プロノイア・グループを設立し、経営戦略・組織開発・人材育成などに携わっている。

著者は本書の「はじめに」で「どんな会社でも、どんなマネジャーでも、心理的安全性を高めていくために必要な行動をマネジャーが取っていけば、実現できます」「大事なことは、職場のマネジャーが率先して心理的安全性を高めるための行動を取ることです」と断言している。

では具体的にどんな「心理的安全性を高めるための行動」を取ればいいのか――。本書にはすべての答えが詰まっている。そのうちの一つは「悩みや困り事を相談されてもすぐ解決方法を伝えようとしない」だ。

部下が「こんなことに困っていて……」と相談にきたとき、おそらく多くのマネジャーは、早く問題を解決したいという一心から、すぐに解決方法を指示するだろう。だが、解決方法を指示されたメンバーは「ないがしろにされた」と感じてしまうという。

本書では、さまざまなシーンにおける具体的な方法が示される。実践すれば、チームの雰囲気が変わり、成果が上がること請け合いだ。

著者

ピョートル・フェリクス・グジバチ(Piotr Feliks Grzywacz)
プロノイア・グループ株式会社 代表取締役 | 株式会社TimeLeap 取締役 | 株式会社GA technologies 社外取締役
連続起業家、投資家、経営コンサルタント、執筆者。
モルガン・スタンレーを経て、Googleで人材開発、組織改革、リーダーシップマネジメントに従事。
2015年に独立し、未来創造企業のプロノイア・グループを設立。
2016年にHRテクノロジー企業モティファイを共同創立し、2020年にエグジット。
2019年に起業家教育事業のTimeLeapを共同創立。
ベストセラー『ニューエリート』(大和書房)他、『パラダイムシフト』(かんき出版)、『世界最高のコーチ』(朝日新聞出版)など執筆。ポーランド出身。

本書の要点

  • 要点
    1
    チームの心理的安全性を高めるには、互いの価値観を認め合うことが欠かせない。その第一歩として、マネジャーは自己認識とその言語化(自己開示)を行おう。
  • 要点
    2
    自分を深く知り、考えや希望を言葉で伝えてはじめて、建設的なコミュニケーションができる。
  • 要点
    3
    自己認識で言語化した内容は、マネジャーから率先して自己開示しよう。自分の好みや感じ方、考え方を周りに伝えると、メンバーは仕事がしやすくなる。

要約

心理的安全性を高める「考え方」の基本

「人」と「タスク」を区別する

ビジネスパーソンが目指すべきは、メンバー同士がお互いのことを認め合いつつ、建設的に意見を戦わせて成果につなげていくことだ。そのためには、心理的安全性の確保が欠かせない。

心理的安全性のある環境をつくるためには、マネジャー職が「人にやさしく、結果に厳しく」というアプローチを採ることだ。キモとなるのは「人」と「タスク」の区別である。

たとえば、メンバーが商品紹介文を作成したとする。マネジャーであるあなたが読んでみると、誤解を招く表現が散見された。この場合、人とタスクを区別しないと、次のようなフィードバックになるだろう。

「こんな誤解を招く表現では、とてもじゃないけど掲載できないよ。なんであなたはまともな文章が書けないの?」

一方、人とタスクを区別すると、次のような伝え方になる。

「昨日は遅くまで残ってこの文章を考えてくれたんだね。お疲れ様。ただね、この表現はお客様の誤解を招くから、このままでは掲載できないな。この部分の表現を再検討してくれるかな」

人とタスクを区別したフィードバックを受けた相手は、委縮したり反発を覚えたりせず、前向きに指摘と向き合えるだろう。一方、人とタスクを区別せず「お前はダメだ」と否定されると、「自分の居場所がない」と感じてしまい、心理的安全性が損なわれる。

「自己認識」と「自己開示」を大切にする
Masafumi_Nakanishi/gettyimages

チームの心理的安全性を高めるには、互いの価値観を認め合うことが欠かせない。

そのための第一歩は、マネジャーが自分のことをよく知り、理解し、それを周囲に伝える「自己認識」と「言語化(自己開示)」である。自分のことを理解し、それを相手に伝えられてこそ、お互いの共通点や相違点が明らかになり、対話による歩み寄りへと進んでいける。

厳しいことは「早く」「ストレートに」伝える

心理的安全性を高めるためには「人にやさしく」だけではいけない。結果が出ないメンバーを放置していると、他のメンバーがストレスを抱えたり、「結果を出さなければいけないのか、出さなくてもいいのか」と戸惑ったりすることになるからだ。

マネジャーの役割は、メンバーを信頼し尊重し、支援しつつも、仕事の結果やプロセスについては、たとえ厳しい話でも「早く」「ストレートに」伝えることである。問題を指摘せずに放置しておくと、同じ問題が繰り返され、いつまでたってもチームの生産性は上がらない。また、伝えるべきことを伝えないままでいては、メンバーの育成を放棄していることになる。

厳しい指摘こそ、早いタイミングで伝えよう。そうすれば、状況を悪化させずに、建設的な関係性をつくっていくことができる。

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要約公開日 2023.06.19
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