みんなのフィードバック大全

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出版社
出版日
2023年03月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

フィードバックなくして成長なし――本書の冒頭の言葉である。

「自分と相手の成長のためにはフィードバックが欠かせない」と頭ではわかっていても、実践するのはなかなか難しいものだ。耳の痛い指摘をされる側はもちろん、指摘せざるを得ない側にとっても心理的な抵抗があって当然だろう。

そんな心理的抵抗に理解を示しつつ、それを乗り越える方法を丁寧に指南してくれるのが本書である。著者は、「働きがいのある会社」ランキングで6年連続1位を獲得した株式会社コンカーの代表取締役社長、三村真宗氏だ。コンカーにはフィードバック文化が根付いており、それが働きがいに繋がっているのではないかと三村氏は分析している。

本書によると、フィードバックというとネガティブなものを思い浮かべがちだが、相手のいいところをほめるのもフィードバックのひとつなのだそうだ。ポジティブなフィードバックをすることで、受け手の「好ましい行動の強化」「好ましい行動への転換」「承認欲求の充足」が期待できるという。本書ではそうしたフィードバックの基礎知識に始まり、フィードバックをする・される際の手順やコツを一つひとつ教えてくれる。

フィードバックを受けることによって、私たちは自分をアップグレードし、変化の激しい時代を生き抜いていける。上司から部下へ、部下から上司へ、あるいは同僚同士で、気軽にフィードバックができる文化が根付いた、働きがいのある会社・チームをつくりたいすべてのビジネスパーソン、特に管理職や経営層人に強くおすすめしたい一冊だ。

ライター画像
千葉佳奈美

著者

三村真宗(みむら まさむね)
1969年、東京都生まれ。’93年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。同年、日本法人の創業メンバーとしてSAPジャパン株式会社に入社。以後13年間にわたり、社長室長、戦略製品事業バイスプレジデント等を歴任。’06年、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、金融、通信、ハイテク企業等の戦略プロジェクトに従事。’09年、電気自動車インフラ会社であるベタープレイス・ジャパン株式会社においてシニア・バイスプレジデントとして環境省および経済産業省との実証実験プロジェクトを主導。’11年10月から株式会社コンカー 代表取締役社長に就任、現在に至る。著書に『新・顧客創造』(ダイヤモンド社 ’04年)、『最高の働きがいの創り方』(技術評論社 ’18年)がある。寄稿など多数。
Twitter:@Masa_Mimura

本書の要点

  • 要点
    1
    フィードバックとは、「相手が自分ではよく理解していない弱点や改善点、あるいは強みや長所に気づきを与え、成長に繋げてもらうコミュニケーション」である。
  • 要点
    2
    フィードバックには「ポジティブフィードバック」と「ギャップフィードバック」の2種類がある。
  • 要点
    3
    フィードバックにおいては、伝え手だけでなく、受け手側にもスキルが必要だ。他者からの助言を聞き入れる能力「コーチャビリティ」の高い人は、速いペースで成長していく。

要約

フィードバックの基礎知識

フィードバック=成長を促すもの

本書が定義するフィードバックとは「相手が自分ではよく理解していない弱点や改善点、あるいは強みや長所に気づきを与え、成長に繋げてもらうコミュニケーション」だ。上司から部下に限らず、部下から上司、同僚から同僚など、役職や立場に関係なく組織全体で行われるべきものだ。

変化が激しく、先行き不透明な現代においては、ビジネスパーソンは自分の知識やスキルをアップグレードし続ける必要がある。そこで役立つのが、他者からのフィードバックだ。他者から長所も短所もフィードバックしてもらうことで、自分を常にアップグレードできる。

フィードバックの5つの基本概念
maruco/gettyimages

著者が社長を務める株式会社コンカーでは「コンカー流フィードバック」が実践されている。ここでは、コンカー流フィードバックの5つの基本概念を紹介する。

1つ目の基本概念は、フィードバックの「マインド」だ。フィードバックを行うときは、「後ろ向き・責める気持ち」ではなく、「建設的に・成長を願って」行う。「この機にやっつけてやろう」「きつく叱ってすっきりしたい」といったネガティブなマインドでフィードバックしても、相手の心には届かない。

2つ目の基本概念は、フィードバックの「種類」だ。フィードバックには2種類ある。相手の課題や改善すべき点を指摘する「ギャップフィードバック」と、相手の強みや長所を伝える「ポジティブフィードバック」だ。いずれのフィードバックにも大いに価値がある。

3つ目の基本概念は、フィードバックの「方向」である。上司から部下に対してだけでなく、部下から上司、同僚同士、あるいは他部門の上司・同僚・後輩など、全方向に向けて積極的にフィードバックを行うべきだ。管理職や経営層の立場にある人は、部下から遠慮なくフィードバックしてもらえるような関係性を築くようにしたい。

4つ目の基本概念は、フィードバックの「受け止め力」だ。フィードバックを躊躇するとき、その原因の一つに「相手に拒否されるのではないか」という恐れがある。伝え手が伝え方を工夫するのはもちろん、受け手にもフィードバックを受け止めるスキルが必要だ。このスキルを「コーチャビリティ(coachability)」と呼ぶ。

5つ目の基本概念は「組織的な取り組み」だ。フィードバックを活性化させたいなら、社員の自主性のみに頼るのではなく、経営層やリーダーによるトップダウンの取り組みも必要である。

【必読ポイント!】 ポジティブフィードバック

ポジティブフィードバックの効果

ポジティブフィードバックとは、相手の長所や強みを伝えたり、成果や努力を認めたりするコミュニケーションだ。ポジティブフィードバックには、「受け手のため」と「お互いのため」の2つの効果がある。それぞれ解説しよう。

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要約公開日 2023.07.19
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