「全ての空間、時間、モノとエネルギーが宇宙」だ。宇宙思考とは、「宇宙の本質を『見る』方法で、自分を、人を、そして関係、感情、社会など自分の周りのモノゴト全てを思い、考えること」を指す。
ポイントは3つだ。宇宙において見えるもの、知ることができることは「視点に依存」していること。宇宙では、「容易に見えない所に本質が隠れている」こと。そして、宇宙は「無限に広がり、ほぼ無限の可能性」があることだ。
これを念頭に以下、本書で紹介されているトピックをいくつか取り上げてみよう。
私たちのいる場所は、「ラニアケア超銀河団、おとめ座超銀河団、おとめ座銀河団、局部銀河群、天の川銀河、オリオン腕、太陽系、地球」と表すことができる。ここで、太陽系を100億分の1のサイズに縮小してみると、「太陽の大きさはグレープフルーツの大きさになり、地球はそこから15メートル先にある針の先の大きさ」となる。また、天の川銀河には数千億個の星があるので、「星の数ほど男(女)がいる」ことはない。男も女も「星の数の1%ほどしかいない」のだ。
宇宙はこのように果てしない。宇宙は何が正しいか、どう生きるべきか、何も判断することなく、ただ、ある。自分の価値は自分で決めていこう。
宇宙は、様々な観測結果から138億年前に誕生したことがわかっている。この138億年を1年に圧縮した「宇宙カレンダー」で宇宙と人間の歴史を考えてみよう。
太陽系と地球が生まれたのは9月2日だ。恐竜は12月25日のクリスマスに誕生し、12月30日の早朝に滅亡した。人類が登場するのは12月31日大晦日の21時12分。23時59分59秒にコペルニクスが地動説を唱え、科学革命が起き、現代文明の幕開けとなる。
このスパンで考えると人間1人に与えられた時間は0.2秒である。恐竜は少なくとも4日以上地球と共生できたのに対して、人間は誕生して3時間ほどで地球を破壊している。一方で、宇宙の歴史も様々な現象も1秒で解明してきた。
たとえ0.2秒しかない人生であっても、人類は大きな影響力を持つ。その一人ひとりの人間の選択が来年の宇宙カレンダーを創っていく。
星は原子でできている。「光を波長ごとに分光した結果である光の分布」をスペクトルというが、原子はそれぞれ固有のスペクトルを持ち、「スペクトルを見るだけでどの原子のものかわかる」。そして、原子の輝きは、天体の温度や化学組成、質量などの宇宙の情報を伝える。
私たち人間も、誰一人として同じ原子配合ではない。あなたが輝ける環境を選んで、自分自身を輝かせよう。
宇宙の5%は存在を確認できるもの、原子などの「ノーマルマター」だが、残る95%は、正体がわからない、「普通」ではないものだ。27%はダークマター(暗黒物質)であり、68%はダークエネルギー(暗黒エネルギー)と名付けられている。
「ダーク」なのにその存在を捉えられるのは、「質量のあるモノとモノの間に働く力が重力(ニュートンの万有引力の法則)」だからだ。星や銀河の動きから、「目に見えなくても重力を生み出す何かがあること」がわかるのである。
人間一人ひとりの視点は限られているし、本質が見えたと思っても部分的にすぎない。だから、「自分の解釈は間違っているかもしれないという謙虚(知的謙虚)な態度で、見えないものを見ようとする努力」はできる。その素晴らしさに気づけたら、本質に近づけるようになるかもしれない。
次元とは「動ける方向の数」であり、これを使って自分の場所を表すことができる。あなたの地球上での場所は、緯度、経度、標高の3つがあれば示せるので、私たちは3次元空間に生きる「3次元人」だ。
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