仕事で効率よく成果を出すためには、「PDCAサイクル」ではなく「C・PDCAサイクル」を回すのが正解だ。
先頭の「C」(状況・情報の分析)は、計画を立てる前にさまざまなアングルからタスクを検討し、最低限の状況や情報をチェックするという意味である。仕事を始める前に「戦略」(方向性)と「戦術」(手段)をしっかり練っておけば、「D」の途中で迷ったり、進むべき道を見失ったりする可能性を減らせる。一方、最初の「C」を疎かにすると、やり直しになってしまいかねない。
大事なポイントは、動き出す前に「この仕事はどのような展開になるのか?」「どうすれば最短のルートを通り、誰よりも早くゴールインできるか?」という観点からタスクの全体像をイメージすることだ。高い視点から全体の構造を見渡し、仕事を進める順序や想定されるトラブルなどを把握する。この作業を疎かにし、遠回りして工程が増えてしまうことこそ、仕事が遅くなる一番の原因なのだ。
といっても、考えているだけでは手に入らないデータや情報もたくさんある。担当先の要望やニーズ、考え方などがその一例だ。具体的なプランを立てる前にまず行動して情報収集しないと、結局時間を無駄にすることになる。
データや情報を集めて現状を把握できたら、そのタスクを達成するための具体的なルートを考える。ここで大事なのは、直感や思いつきでルートを決めないことだ。ゴール地点から逆算して「関所」を設定し、関所を一つずつクリアしていくと、結果的に最短ルートを進んでいける。
例えば、小学生の子供を持つ親が「子供を医者にしたい」と考えたとする。「医者になる」というゴールがあるとき、関所となるのは、大学の医学部に入学し、医師の国家試験に合格することだ。
こうして関所を設定すると、そこに到達するために通過すべき関所と合わせて、取り組むべき課題が明らかになる。「今の学力で、希望する中学に合格できるのか?」「中学受験のための学習塾に通わせる必要はないか?」「そもそも現在の資産状況で教育費は大丈夫なのか?」「何か資産運用を始める必要はないか?」などといった具合だ。子供を医者にするというゴールに向かうためには、こうした課題を着実にクリアしていく必要があるだろう。
ゴールに到達するためのルートを逆算して考えることで、明確な関所を設定でき、最短ルートで進んでいける。
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