コトラー&ケラー&チェルネフ

マーケティング・マネジメント〔原書16版〕

未読
マーケティング・マネジメント〔原書16版〕
コトラー&ケラー&チェルネフ
マーケティング・マネジメント〔原書16版〕
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マーケティング・マネジメント〔原書16版〕
出版社
定価
9,350円(税込)
出版日
2022年11月30日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

世界はものすごいスピードで変化している。ビジネスで成功を収めたければ、世界の変化に遅れないようにしながら、適切なマーケティング活動を展開しなければならない。もちろん、目新しいものにやみくもに手を出すのではなく、基礎をきちんと押さえるのが大前提だ。ただしその「基礎」さえ、時には変化していく――。

そんな時代にあって、これ以上ないマーケティングの教科書といえば本書だろう。「現代マーケティングの父」と称されるフィリップ・コトラー氏の名を冠し、マーケティング・マネジメントのあらゆる知識と事例が網羅された書の第16版である。

今回の要約では、第15版から大きくアップデートされたという第1章と第2章のうち、特に多くの読者の関心をひくと思われるパートで構成した。マーケティングに従事していない方でも、消費者として十分に理解し、共感できるような形で整理されている章である。

要約者にとって印象深かったのは「ホリスティック・マーケティング」の重要性を説いたパートだ。著者らは、ビジネスを成功させたいなら、マーケティング活動をよりホリスティックなものにすべきだと指摘している。

現代の経営者やマーケターは、より広い視野を持ってマーケティング活動を行う必要があるようだ。では、具体的にどこに目を向け、どのようなツールを用い、何をどう検討すればいいのか。そう迷い、途方に暮れそうになったとき、本書はこれ以上ない師となってくれるだろう。

著者

フィリップ・コトラー(Philip Kotler)
ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院名誉教授。同校にて、インターナショナル・マーケティングのS・C・ジョンソン&サン特別教授の名称を受けている。シカゴ大学で経済学修士号を、マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。今回翻訳された同氏の第16版となる著書『Marketing Management』は、世界中のビジネススクールで最も広く用いられているマーケティングの上級テキストである。他に60冊以上の名著があり、主要学術誌への寄稿も150を超える。
『Journal of Marketing』誌の年間最優秀論文に贈られるアルファ・カッパ・サイ賞については、他に例を見ない3度の受賞を経験している。

ケビン・レーン・ケラー(Kevin Lane Keller)
ダートマス大学タック経営大学院にて、E・B・オズボーン・マーケティング教授の名称を受けており、マーケティングおよびコミュニケーション学部の上級副学部長を務めている。コーネル大学で数学および経済学の学士号を、カーネギーメロン大学で修士号を、そしてデューク大学ではマーケティングの博士号を取得。ダートマス大学では、MBAコースで戦略的ブランド・マネジメントを教え、エグゼクティブ・プログラムでも同様のトピックについて講義している。

アレクサンダー・チェルネフ(Alexander Chernev)
ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院のマーケティング教授。上智大学で心理学の学士号と修士号を、デューク大学で経営学の博士号を取得。マーケティング戦略、ブランド・マネジメント、顧客の意思決定、行動経済学の分野における学術的思考のリーダーであり、ビジネス界に向けて様々な情報を発信し、アドバイザーとしても知られている。

本書の要点

  • 要点
    1
    近年、市場の変化とともにマーケティング行動も大きく変わった。新たな市場の現実は、さまざまな市場関係者同士の関係を形成する「市場の力」、市場の力の相互作用から生じる「市場の成果」、そして急速に進化する市場での成功に不可欠な「ホリスティック・マーケティングの出現」の3つに分けられる。
  • 要点
    2
    マーケティング戦略には2つの要素がある。企業が競争する「ターゲット市場」と、企業やターゲット顧客、協力者に対する「価値提案」だ。慎重に選ばれたターゲット市場とよく練られた価値提案がなければ、ビジネスモデルは成立しない。

要約

【必読ポイント!】 新たなマーケティングの姿

マーケティングの定義

マーケティングとは、組織の目標と調和する形で人々や社会のニーズを明確化し、それを満たすことだ。より効果的かつ効率的に情報にアクセスできる強力な検索エンジンを開発したグーグルや、良質な家具を低価格で手に入れたいというニーズに応える組み立て式の家具を生み出したイケアが行ったのが、マーケティングである。企業はマーケティングを通して、個人や社会のニーズを収益性の高いビジネスチャンスに変えられる。

新たな市場の現実(1)市場の力
丸善出版提供

たった10年ほどで市場は劇的に変わり、マーケティング行動も大きく変わった。

新たな市場の現実は、主に3つのカテゴリーに分類できる。さまざまな市場関係者同士の関係を形成する「市場の力」、市場の力の相互作用から生じる「市場の成果」、そして急速に進化する市場での成功に不可欠な「ホリスティック・マーケティングの出現」だ。

まず、今日のビジネス環境に大きな影響を与える、4つの「市場の力」を見ていく。

1つ目の力はテクノロジーだ。テクノロジーの発展により、ネットフリックス、アマゾン、Airbnb、 Uberのような、新しいビジネスモデルを構築した企業が生まれ、繫栄した。また、企業はテクノロジーを活用して顧客を深く理解し、顧客ニーズを満たした提供物を開発している。

2つ目の力はグローバリゼーションだ。地理的、政治的障壁がすっかり取り払われた結果、どんな企業にも成功のチャンスがある。また、企業がある国から得たアイデアや教訓を別の国に適用してイノベーションを起こせるのも、グローバリゼーションの成果である。

3つ目の力は物理的環境だ。特に「気候変動」と「健康状態」は、広範囲にわたる劇的な変化であるため、注目に値する。経営者は今後、気候変動やパンデミックによって深刻な影響を受けたときに備えて、いつでもビジネスモデルを変えられるようにしておかなければならない。

4つ目の力は社会的責任だ。組織は、ターゲット市場のニーズやウォンツ、関心を満たすことと、消費者と社会の幸福のための行動を両立する必要がある。

新たな市場の現実(2)市場の成果

4つの「市場の力」は、消費者と企業に新たなケイパビリティをもたらすと同時に、激しい市場競争を生んだ。ここでは、新たな市場の現実の2つ目の要素である「市場の成果」を3つ見てみよう。

1つ目の成果は、消費者の新たなケイパビリティだ。今日の消費者は、情報、コミュニケーション、モビリティに関する機能の拡充により、よりよい選択が可能となった。そのうちの一つが「消費者は、インターネット上のリソースを強力な情報や購入アシストとして利用できる」だ。世界中のどこからでも、製品の価格と機能を比較し、ユーザーレビューを参照して、24時間年中無休で注文できる。

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