考える。動く。自由になる。

15歳からの人生戦略
未読
考える。動く。自由になる。
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15歳からの人生戦略
未読
考える。動く。自由になる。
出版社
実務教育出版

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出版日
2023年03月15日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

15歳という年齢は、子どもから大人への過渡期にあって、自分の人生を考え始める年ごろだ。親や先生の言うことに批判的になったり、友だちの意味を考えたり、社会について疑問に感じることを掘り下げてみたりして、その後の人生の土台を形成する時期でもある。本書は、その悩み多き15歳を、しなやかに生き抜くための「授業」である。

横浜創英中学・高等学校校長の著者は、かつて千代田区立麹町中学の校長だった時代に、宿題廃止・定期テスト廃止などの大胆な教育改革を行い、注目を集めた教育者だ。本書でも、当たり前を当たり前として受け取らず、それが正しいかどうか自分の頭で考えることの大切さを説いている。

たとえば、すぐに多数決でものごとを決めてしまうのは民主主義ではないという。「全員がOK」という状況でないなら、そうなるまで対話を重ね、合意に至ることが大切だ。学校は、そのステップを学ぶトレーニングの場だと強調する。

本書のタイトルである『考える。動く。自由になる。』は、著者が伝えたいメッセージを3つのキーワードで表したものだ。誰かにものごとを決めつけられたり、理不尽さを覚えたりすることがあれば、「不自由」だと感じることもあるだろう。しかし、そのほとんどは思い込みに過ぎない。自分の頭で考え、行動することで、いくらでも自由になれるのだという。

人は自分自身の力で変わっていけるという力強いメッセージは、大人の心にも響く。人生を深く見つめなおすきっかけになる、著者渾身の教育理念を綴った一冊である。

ライター画像
中村美音

著者

工藤勇一(くどう ゆういち)
横浜創英中学・高等学校 校長
1960年山形県鶴岡市生まれ。東京理科大学理学部応用数学科卒。
山形県公立中学校教員、東京都公立中学校教員、東京都教育委員会、目黒区教育委員会、新宿区教育委員会教育指導課長などを経て、2014年から千代田区立麹町中学校長。
教育再生実行会議委員、内閣府 規制改革推進会議専門委員、経済産業省 産業構造審議会臨時委員など、公職を歴任。2020年3月まで千代田区立麹町中学校で校長を務め、宿題廃止・定期テスト廃止・固定担任制廃止などの教育改革を実行。一連の改革には文部科学省が視察に訪れ、新聞各社・NHK・民放各局などがこぞって取り上げるなど話題となる。著書に10万部を超えるベストセラーとなった『学校の「当たり前」をやめた。』(時事通信社)、『改革のカリスマ直伝! 15歳からのリーダー養成講座』(幻冬舎)、『子どもたちに民主主義を教えよう──対立から合意を導く力を育む』(苫野一徳氏との共著・あさま社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    子どもたちは人から与えられることに慣れると、自律心を失いがちになる。自律心を取り戻すため、生徒自身の自己決定をうながす言葉がけを行うことが大切だ。
  • 要点
    2
    「みんなちがって、みんないい」という考え方を実現するには、異なる価値観を持つ相手と対話を重ね、小さな合意を築いていくことが必要だ。そのためには感情を優先させず、最上位の目標を忘れないように対話を進める。
  • 要点
    3
    行動は事実として残り、明確に見える。大事なのは、理想ばかり追わずに行動し続け、学び続けることである。

要約

自分を変えていく力を身につけ成長する

自立ではなく自律

誰でも成長することはできる。そのためには自分を知る必要がある。「どんな自分になりたいか」を考え、行動を積み重ねていくことで、思い描いた自分になれる。

将来の自分を思い浮かべるのは簡単なことではない。それは、考えるための土台が整っていないためである。土台とは「自律」である。

著者の考える自律とは、「自分で考え、判断し、行動すること」。これは大人にも難しい。その理由として、人間の脳には次の2つの特徴がある。

1つ目に、脳が意識できる情報は、入ってくる情報量の1000分の1しかない。そのせいで、注意を向けたこと以外の情報を意識できなくなってしまう。

2つ目に、脳はポジティブな情報よりネガティブな情報に反応しやすい。人間は自分の身を守るため、ものごとを否定的に見やすい。

これらの特徴により、新しいことにチャレンジしたくても、失敗を恐れてなかなか行動できないというパターンが定着してしまう。無意識の行動パターンから抜け出すためには、ネガティブになっている自分を客観的に知り、ポジティブで具体的な行動につながる「しくみ」をつくっていくことが大切である。

壁に直面したときのコーピング力
Hakase_/gettyimages

「コーピング力」とは、解決の糸口が見えないような大きな壁にぶつかったとき、そのストレスやネガティブな感情に対してうまく対処する能力のことを指す。心理学によると、コーピングが上手な人の行動パターンとして2つ挙げられる。1つは、「積極的に問題を解決しようとする」。もう1つは、「人に相談してみる」。

コーピングが上手な人は、まず悩みの原因を、自分で解決できそうか、できそうにないか、という視点で整理してみる。解決できそうなら行動を起こし、解決できそうになければ「解決方法そのものを教えてくれそうな人」を選んで相談する。

一人で悩んで耐えていても状況は変わらない。行動が、「なりたい自分」に近づけてくれるのである。

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要約公開日 2023.09.01
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