「選ばれなかった」君へ
「選ばれなかった」の見方を変える
現在はコピーライターである著者だが、はじめから望む仕事ができたわけではない。そのキャリアは「選ばれない」の連続だった。ほとんどの人が人生のさまざまな局面で「選ばれない」経験をする。その瞬間は挫折感でいっぱいになり、人からの親身なアドバイスも受け入れられなくなるだろう。まして、今はSNSで他人の成功が可視化される時代だ。「選ばれなかった」ことをうまく受け止められない人が多いのではないだろうか。コピーライターとは、物事に新しい見方を見つける仕事である。「選ばれなかった」という出来事に、新しい見方を見つけるのが本書の目的だ。以下に続くのは、「選ばれなかったあの日」のエピソードだ。主人公である「君」をあなた自身に置き換えて読んでほしい。そこに、「選ばれなかった」気持ちを受け止めるためのヒントがある。
孤独は自分を知る時間
嫌われも、好かれもしない孤独

中学3年生の君は、泣きたい気持ちになっていた。卒業アルバムの、生徒が写真を選んで作るページに寄せる写真が1枚もなかった。友達と写っている写真がなかったのだ。君は部活に入らなかった。小学生のとき好きだったサッカーは、体験入部で先輩たちの体格のよさ、レベルの高さに心がくじけて入部をやめた。もうひとつ好きだった将棋部は、居心地はよかったものの、刺激が感じられなくて幽霊部員になってしまった。結局君は休み時間を本を読んでやりすごし、授業が終わったら走って帰る帰宅部のエースになっていた。君は誰からも嫌われていない代わりに、誰からも好かれていなかった。何もしていない。何も選んでいない。だから誰からも選ばれない。一人は気楽だが、孤独は嫌だった。




















