できるリーダーになれる人は、どっち?

未読
できるリーダーになれる人は、どっち?
できるリーダーになれる人は、どっち?
未読
できるリーダーになれる人は、どっち?
出版社
出版日
2023年09月15日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
要約全文を読むには会員登録ログインが必要です
ログイン
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

「あなたはできるリーダーですか?」――本書の冒頭に提示されている問いだ。この後には「この問いに間髪を容れずに『はい!』と答えられる人は、世の中にどのくらい存在するのでしょうか?」という問いかけが続く。

リーダーとしての能力に自信を持てない。その原因として挙げられているのは「専門の教育や訓練をほとんど何も受けずにチームを任されるため」だ。実際、できるリーダーとはどんな人か、自分は何を求められているのかもわからないままリーダーになった人やそろそろリーダー職に任命されそうな人は多いのではないだろうか。本書は、まさにそんな人に贈りたい一冊だ。

著者の林健太郎氏は、リーダー育成家の肩書を持ち、数多くの経営者やビジネスリーダーに対してコーチングを実施してきた。本書ではそうした経験をもとに、「できるリーダーたちがリーダーになる前からしていること」を6つの「リーダーへの登龍門」としてまとめている。6つの登龍門とはすなわち、「社長は何を考えているのか?」を考える、「報・連・相」を大切にする、「意思決定」に責任を持つ、「自分の意見」をハッキリ伝える、「自分と相手の感情」を分析できる、「人を巻き込む力」がある、だ。要約ではそのうち3つを紹介した。

本書で示される内容は、具体的な行動指針となるものばかりである。これらを自然と実践できれば、きっと「できるリーダー」になれるはずだ。昇進が見えてきた人やリーダーを目指す人はもちろん、迷えるリーダーにとっても、進むべき道を照らしてくれる一冊となるだろう。

ライター画像
中村美音

著者

林健太郎(はやし けんたろう)
リーダー育成家。合同会社ナンバーツー エグゼクティブ・コーチ。一般社団法人 国際コーチ連盟日本支部(当時)創設者。1973年、東京都生まれ。バンダイ、NTTコミュニケーションズなどに勤務後、日本におけるエグゼクティブ・コーチングの草分け的存在であるアンソニー・クルカス氏との出会いを契機に、プロコーチを目指して海外修行に出る。帰国後、2010年にコーチとして独立。2016年には、フィリップ・モリス社の依頼で、管理職200名超に対するコーチング研修を実施。大手企業や外資系企業、ベンチャー企業や家族経営の会社まで、のべ2万人以上のリーダーにリーダーシップを指導してきた。企業向けの研修講師としての実績も豊富で、フェラーリ社の日本の認定講師を8年間務めるなど、リーダー育成に尽力。『コーチング忍者の2分コーチング入門講座』など、斬新な切り口でコーチングを啓発中。
著書に『できる上司は会話が9割』『優れたリーダーは、なぜ傾聴力を磨くのか?』(以上、三笠書房)、『否定しない習慣』(フォレスト出版)など。
著者HP 合同会社ナンバーツー
https://number-2.jp/

本書の要点

  • 要点
    1
    自分の仕事という観点だけで物事を見るのではなく、「会社はどうしてこんなことをするのだろう」と社長の意図を想像できる人になろう。
  • 要点
    2
    全体最適の視点を持ち、悪いニュースもすぐに上司に報告しよう。自分の恥ずかしさや不安、誰かに任せたい欲求などは脇に置き、会社やビジネス全体のメリット・デメリットを考慮して行動すべきだ。
  • 要点
    3
    リーダーになりたいなら自分の意見をハッキリと主張したほうがいい。自分の意見を表明することで経営層の記憶に残り、ここぞというときに選ばれやすくなる。

要約

「リーダーになる方法」は誰も教えてくれない

リーダーになる前にやるべきこと

あなたが初めて料理教室に通うことになったとしよう。先生から料理の手順を教えてもらえると思っていたのに、材料と調理器具を手渡されて「これが完成したビーフストロガノフの写真です。こんなふうにおいしく作ってみてくださいね」とだけ言われたらどう思うだろう。きっと途方に暮れてしまうはずだ。

ビジネスの現場ではこれに近いことが起きている。突然リーダーに抜擢して、「すぐに成果を出せ!」と言うのだ。乱暴な仕組みだが、この構造を根本的に変えるにはかなりの時間がかかるだろう。

構造を変えられないなら、個人の行動を変えるしかない。もうすぐリーダー職に任命されそうな方やリーダー職を狙っている方は、リーダーになる前に準備を進めておこう。そうすれば、就任してすぐ結果を出すことができるだろう。

もっとも簡単な「リーダーになるための準備」は、普段からリーダーの仕事ぶりをよく見て視座を高めておくことだ。例えばリーダーからの指示内容が急にコロッと変わったときは、リーダーを観察する絶好のチャンスである。しっかり観察すれば「社長の方針が変わって、課長に指示が下ったのかも」と気づけるかもしれない。

【必読ポイント!】「社長は何を求めているのか?」を考える

高い「視座」を持っている
filadendron/gettyimages

リーダーになれる人は「会社はどうして、こんなことをするのだろう」と社長の意図を考える。一方、リーダーになれない人は「なんでこんなことをしなきゃならないのだろう」と社長に不満を持つ。

あるベンチャー企業のエピソードを紹介しよう。その会社では、「日常の中で、非日常的な体験をどうやって作るかを考えてほしい」という意図で、リゾートでの合宿を実施した。社長は合宿初日、社員たちに向けて「非日常の中で、新しいアイデアをどんどん出してほしい」と熱く語ったという。だが結果として、社長が期待する成果は出なかった。

著者は後日、合宿に参加した社員たちにヒアリングを行った。そこで明らかになったのは、社員一人ひとりの視座が大きく異なるということだ。

視座の低い社員は、「業務をストップさせてまで、こんな合宿を開くなんて……。そんなお金があるなら、もっと給料を上げてくれた方がやる気が出るのに」といった感想を抱いた。

一方、視座の高い社員からは、次のような感想が寄せられた。「社長にこう言いたいです。わざわざリゾートで非日常の合宿を実施された社長の意図は理解しました。現場の考えをまとめましたので、あとは任せてください」

リーダーになれない人は、「合宿なんて、仕事がストップするだけだよ」と、自分の仕事という観点でしか物事を見ていない。それに対して、リーダーになれる人は、「この合宿にはどんな狙いがあるんだろう」と経営者目線で考えていたのだ。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2372/3537文字
会員登録(7日間無料)

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2023.12.13
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
できるリーダーは「教えない」
できるリーダーは「教えない」
伊庭正康
未読
リバース思考
リバース思考
ロン・フリードマン南沢篤花(訳)
未読
いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方
いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方
早瀬信高橋妙子瀬山暁夫中村和彦(監修・解説)
未読
うまくいくリーダーだけが知っていること
うまくいくリーダーだけが知っていること
嶋村吉洋
未読
頭のいい人は「答え方」で得をする
頭のいい人は「答え方」で得をする
樋口裕一
未読
付加価値仕事術
付加価値仕事術
田尻望
未読
他人を攻撃せずにはいられない人
他人を攻撃せずにはいられない人
片田珠美
未読
聞いてはいけない
聞いてはいけない
山本直人
未読
法人導入をお考えのお客様