時間資本主義の到来
あなたの時間価値はどこまで高められるか?

未 読
時間資本主義の到来
ジャンル
著者
松岡真宏
出版社
草思社
定価
1,512円
出版日
2014年11月25日
評点(5点満点)
総合
4.5
明瞭性
4.5
革新性
5.0
応用性
4.0
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レビュー

2000年代のインターネットの本格的な普及により、情報の格差は劇的に小さくなったが、それはまだPCの前で作業をするという制約の上で成り立っている事象だった。しかし、2010年代のスマートフォンの普及は、我々をその空間的制約から解放し、いつでもどこでもインターネットに接続し、フェイスブックやLINEなどのサービスに触れることが可能にした。そのため、「すきま時間」と呼ばれていたものの価値が急激に高まっており、何もすることがない「すきま時間」は消滅したと言えるかもしれない。

そのような背景において、本書は「時間資本主義」という新しい概念を提示している。それは我々が普段感じていながらも整理できていない現象をクリアに体系化し、企業経営やキャリア選択に使える実践的な知見にまで高めてくれる概念だ。通常新しい概念が提示されるとその解釈に時間がかかるものだが、著者の明解な語り口によって、誰にでもすぐに論理的・直感的に理解できるように構成されていることは、驚きを感じざるを得ない。

著者の鋭い観察眼による明解な理論とともに、事例や教養が随所にちりばめられており、読み始めるとあっという間にその世界に引き込まれる書籍に仕上がっている。本書に関連して既に多くのインタビュー記事や特集がメディアで掲載されているように、「時間資本主義」というコンセプトは各所で話題を集めている。2014年を代表するビジネス書の1冊ともなるであろう本書は、読者の期待に応える知的な時間を提供してくれるに違いない。

大賀 康史

著者

松岡 真宏(まつおか・まさひろ)
フロンティア・マネジメント代表取締役。東京大学経済学部卒業後、野村総合研究所やUBS証券などで流通・小売り部門の証券アナリストとして活動。UBS証券で株式調査部長に就任後、金融再生プログラムの一環として設立された産業再生機構に入社し、カネボウやダイエーの再生計画策定を担当。両社では取締役に就任し計画実行に携わる。2007年に弁護士の大西正一郎氏と共同で、フロンティア・マネジメント株式会社を設立し、共同代表に就任。経営コンサルティング、M&A助言、企業再生を軸とした経営支援を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

本書の要点

  • 要点
    1
    スマートフォンなどの情報通信端末の急速な発達や、SNSを始めとするサービスの開発によって、時間のロングテール、すなわち「すきま時間」の価値が高まっている。
  • 要点
    2
    「時間資本主義」の時代においては、「時間価値」を生む付加価値は、「その物やサービスを使うことによって時間が短縮でき、有意義な時間が生み出される=『節約時間価値』」と「その物やサービスを利用することによって、有意義な時間が生み出される=『創造時間価値』」の2つに収斂する。

要約

いま、なぜ「時間資本主義」なのか?

bomberclaad/iStock/Thinkstock
「時間価値」という補助線

本書は「時間価値」に焦点を合わせて、企業行動や消費者行動の変化に対する理解を深め、人間の未来図を提示しようという試みである。小学校の算数、中学校の幾何の時間で解いてきた図形問題を思い出してほしい。ある1本の補助線により、複雑な図形問題の本質が見えた経験はないだろうか。本書では、「時間価値」という補助線を引くことで、現在の企業行動や消費者行動の変化の本質を提示していくものである。

「時間価値」という考え方により、行動パターンが変わっている理由は何だろうか。

第1のポイントは、スマートフォンなどの情報通信端末の急速な発達や、SNSを始めとするサービスの開発によって、時間のロングテールの価値が高まっていることだ。スマホ以前の頃は、通勤電車が来るまでの数分、トイレに行く数分などのこま切れの時間を生産的に使うことは難しかった。しかし、スマホを手にした今では「PC画面の前」という固定化された空間から解放され、こま切れの時間を有効に活用できるようになった。まるでまわりの空間の一部が、連続的に仮想空間へとグラデーションのように変容し続けるかのように。

第2のポイントは、高齢化と都市化の波が押し寄せていることだ。明治から戦後まで日本人の平均年齢は30歳以下であったが、現在は45歳、20年後には50歳近くになる。平均余命は減少し、国民全体で見ると時間の稀少性は否応なく高まった。さらに都市部への人口流入は進み、都市部でのサービスや売買の速度を上げ、付加価値型サービス業の生産性を上げている。

このように携帯情報端末の発達、高齢化、都市化によって、世はまさに「時間資本主義の時代」に突入したのだ。

【必読ポイント!】時間資本主義の到来

neko92vl/iStock/Thinkstock
人類にとってのさまざまな制約条件

人類はその歴史において、さまざまな制約条件を克服してきた。まず克服したのは自然状態である。狩猟という成否が運に左右される不安定な状態から、農耕によって安定的な食糧確保ができるようになった。他にも、衣服、武器、火を手に入れて、自然状態の制約から脱していく。

次には身分や職業選択などの社会的制約を克服する。自然権のジョン・ロック、社会契約説のルソーなどの啓蒙思想家が相次いで著作を発表し、市民革命が起こった結果、人類は社会的制約からも解き放たれる。

交通手段の発達等により空間移動も格段に自由となり、活版印刷技術の考案以降、知識・情報の格差もなくなっていく。

さまざまな制約条件から解放されたように見えるが、依然として横たわる条件が「時間」である。1日は24時間、平均寿命も長くなっているとはいえ、人類の身体を形作っている細胞の寿命の存在から、寿命の長期化にも限界がある。そのため、時間が限られているという客観的事実は、ますます存在感が大きくなり、我々は「時間価値」を意識せざるを得ない状況にある。

IT活用で変わる時間の目盛り

総務省の調査から、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネットのうち、3年前より使うことが増えたという回答が減ったという回答を上回ったのは、インターネットだけだったという。

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時間資本主義の到来
未 読
時間資本主義の到来
ジャンル
経営戦略 政治・経済 トレンド
著者
松岡真宏
出版社
草思社
定価
1,512円
出版日
2014年11月25日
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