我が闘争

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我が闘争
出版社
出版日
2015年01月13日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
3.0
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おすすめポイント

『我が闘争』という刺激的なタイトルを目にしてギョッとした方も多いことだろう。ナチス・ドイツの指導者、アドルフ・ヒトラーの『我が闘争』とは異なり、本書は元・株式会社ライブドア代表取締役CEO、現在は民間でのロケット開発を行うSNS株式会社のファウンダーである、堀江貴文による自叙伝だ。だが、獄中で執筆を開始したという点と、自身の半生と思想について語っている点は確かに共通している。

「過去を振り返るという行為に何の意味も見出せない」と語る堀江が、なぜ自叙伝を執筆しようと考えたのか。それは、長野刑務所で服役中、長く孤独な就寝時間に過去を思い出してやり過ごしていたことに起因する。当時の自分や将来に意識を集中しても落ち込むだけだった堀江にとって、過去のことを考えることは安心して眠るための避難所だったのだ。堀江版『我が闘争』には、彼が何と闘ってきたのか、そして、これからどうやって闘っていくのかが記されている。

まだ40歳過ぎとはいえ、堀江の波乱万丈な人生は経済小説も顔負けに濃厚で、スリルもある。幼少期から東大時代、起業、そしてライブドア時代についてここまで詳述されているものは本書をおいて他にない。社会人経験もないままに起業した会社が順調に拡大できたことの理由や、保釈や執行猶予を求めて一切罪を認めなかった背景には何があったのか――。生きることに息苦しさを感じている方は、手に取ってみることをおすすめしたい。

ライター画像
苅田明史

著者

堀江 貴文
1972年福岡県八女市生まれ。実業家。元・株式会社ライブドア代表取締役CEO。民間でのロケット開発を行うSNS株式会社ファウンダー。東京大学在学中の1996年、23歳のときに、インターネット関連会社の有限会社オン・ザ・エッヂ(後のライブドア)を起業。2000年、東証マザーズ上場。2004年から05年にかけて、近鉄バファローズやニッポン放送の買収、衆議院総選挙への立候補などといった世間を賑わせる行動で、一気に時代の寵児となる。2006年1月、33歳のときに、証券取引法違反で東京地検特捜部に逮捕され、懲役2年6カ月の実刑判決を下される。2011年6月に収監され、長野刑務所にて服役。2013年3月27日に仮釈放。2013年11月10日に刑期終了。

本書の要点

  • 要点
    1
    世間では堀江貴文が拝金主義者とか、強引で強欲な人間と思われているところがある。しかし、実際にはそんな強固な意思や執着はない。IT系で起業したのも儲かるからではなく、自然な流れに身を任せた結果である。
  • 要点
    2
    株式市場に上場は果たしたが、会社はネットバブル崩壊の憂き目に遭い、堀江自身も億単位の借金に苦しんでいた。こうした状況を救ったのは、立ち止まらずに前に進み、「世界一大きい会社にしよう」という決心だった。
  • 要点
    3
    プロ野球参入を表明したときは、旧態依然とした業界に挑む時代の寵児としてもてはやされたが、フジテレビを買収しようとしたときには膨大なバッシングを受けた。この経験が「人から嫌われても気にならない」という思考方法を確立させた。

要約

【必読ポイント!】 ライブドアができるまで

起業は自然な成り行きだった
SeanPavonePhoto/iStock/Thinkstock

世間では堀江貴文が「欲しいと思ったものはどんな手を使ってでも手に入れる、強引、強欲な人間」と思われているところがあるが、実際にはそんな強固な意思や執着はない。

堀江が生きていく上での一つの信条のようなもの、それは「水が低きに流れるように、自然に身を任せる」ということだ。彼が起業するまでの経緯を振り返ってみても、まさにその通りで、時代の流れや、自分の感情に素直に従った結果、会社の社長になっていたに過ぎないのである。

窮屈さを感じていた九州の地元から上京し、東大に入学したものの、ギャンブル漬けの毎日を送っていた堀江は、パソコンやプログラムに関わるバイトに熱中していた。当時はインターネット黎明期で、ホームページ制作の仕事が次々と舞い込んでくる。当時付き合っていた彼女や大学寮の先輩までバイトに引き入れるなどして業務はどんどん拡大していった。

転機となったのは、当時バイトしていた会社の上司が出向元の会社に戻り、外部から新しい人がスカウトされて入ってきたことだ。前の上司はパソコンのことがほとんど分かっていなかったが、仕事を次々と受注し、一介のバイトに過ぎない堀江に、さらにバイトを雇うほどの自由を与えてくれていた。だが、新しくやってきた課長は、典型的なサラリーマンオヤジで、仕事を軽んじているし、単にITは儲かると思い込んで転職してきたような人だった。

既に個人での仕事も請け負っていた堀江は、この新たな上司の登場がきっかけで、自分の会社を作ることを決意する。一番自然で、一番自分が楽しめそうな道が、IT系で起業するということだったのだ。

仕事がありすぎて回らない
alphaspirit/iStock/Thinkstock

1996年4月23日に設立された有限会社オン・ザ・エッヂは六本木の古びたビルのワンルームからスタートした。「起業してから仕事をもらう」というよりも「仕事があるから起業した」という感覚だったが、開業して間もなく「仕事がありすぎて回らない」という状況に陥ってしまう。

設立時のメンバーは3名だったが、仕事も人もどんどん増えていき、半年も経たないうちに同じビルの広い部屋に移転するやいなや、すぐに手狭となり、ワンフロアまるごと借りるようになった。さらに1年もしないうちにワンフロアでも足りなくなり、最終的には3フロアを借りるほどになっていた。堀江は会社に寝泊まりし、たまに家に帰ったとしても寝るくらいで、休みなく働いていたという。

会社を大きくするために上場する

上場を意識するようになったのは、公私ともに付き合いのあった藤田晋のサイバーエージェントが創業から2年で上場を果たした様子をそばで見ていたからだ。負けず嫌いの堀江は間違いなく感化されていたという。

昔からの仲間たちのなかには上場に反対する者も多く、上場の話を聞いてから10名もの社員が辞めていった。目の前に多くの仕事を抱えている会社としては痛手であったが、「彼らのような人はいずれ辞めるようになったろうからしょうがない」「うちの会社にどうしても必要な人材ではなかった」と自分に言い聞かせ、寂しさを紛らわせるしかなかった。

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要約公開日 2015.02.25
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