Thinking Baseball

慶應義塾高校が目指す“野球を通じて引き出す価値”
未読
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慶應義塾高校が目指す“野球を通じて引き出す価値”
未読
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出版社
東洋館出版社
定価
1,540円(税込)
出版日
2020年10月16日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

2023年7月23日、甲子園では熱気が渦を巻いていた。第105回夏の高校野球選手権記念大会、決勝戦は2度目の白河の関越えを果たさんとする宮城の仙台育英と、107年ぶりの優勝を狙う慶應がぶつかり合った。結果は中盤に打線が爆発した慶應の勝利。この時、慶應のチーム作りは大きく注目された。自主性を重んじる風潮。坊主頭を強制しない。野球を楽しむという考え方。それは、人々が漠然と高校野球に抱いていたイメージとはかけ離れたものだった。

監督の厳しい指導の下、汗を流し、苦難の練習を耐え抜き、そして甲子園の大舞台で火花を散らす。汗、涙、青春。そうした一種のドラマのようなものを高校野球ファンは期待する。一方、慶應は監督が強制せず、選手が自ら考えチームを作っていく。その身なりも、考え方も、それまでの伝統的な高校野球とは違っていた。無論自主性を重んじる高校は他にもあるが、エンジョイ・ベースボールを掲げる慶應の優勝に、新たな変革の予兆を見た者も少なくはなかったはずだ。本書はそんな慶應義塾高校野球部を率いた著者が、高校野球の在り方を問い直す内容となっている。

今までの高校野球の、どういった点がよくないのか。それに対し、指導者はどうするべきなのか。そうしたことが論理的に書かれている。ある意味異端といってもいい価値観を持ちながら、大勢の風潮に流されず、そして遂には全国の頂点にまで立った。その組織哲学に少しでも興味を持った人は、ぜひとも本書を手に取ってほしい。

著者

森林貴彦(もりばやし たかひこ)
慶應義塾高校野球部監督。慶應義塾幼稚舎教諭。1973年生まれ。慶應義塾大学卒。大学では慶應義塾高校の大学生コーチを務める。卒業後、NTT勤務を経て、指導者を志し筑波大学大学院にてコーチングを学ぶ。慶應義塾幼稚舎教員をしながら、慶應義塾高校コーチ、助監督を経て、2015年8月から同校監督に就任。2018年春、9年ぶりにセンバツ出場、同年夏10年ぶりに甲子園(夏)出場を果たす。

本書の要点

  • 要点
    1
    テレビで中継される高校野球はとても華々しい。けれどもその一方で、高校野球の価値は年々低下しているのではないか。
  • 要点
    2
    今でも高校野球には時代にそぐわない風習や価値観がたくさんある。指導者が結果を求めるが故に起きてしまう選手の故障。ファンによる青春の押し付け。そうした問題を、指導者が率先して変えていくべきではないだろうか。
  • 要点
    3
    高校野球は選手のものだ。だから指導者は選手を尊重し、一人一人を尊重するような組織を作らなくてはならない。

要約

高校野球の価値

青春ドラマの光と影

高校野球の本来あるべき姿とは一体、どのようなものだろうか。

毎年春と夏に行われる高校野球の大会は、とても華々しい。しかし、その実高校生たちは大人のエゴに巻き込まれ、高校野球の価値そのものは年々低下しているのではないか。

過剰な選手管理、勝利至上主義による不正、同調圧力——輝かしい青春ドラマの裏にはさまざまな問題が潜んでいる。こうした問題を放置していると、高校野球はいずれ衰退してしまうかもしれない。

高校野球の価値とはそもそもいったいなんだろうか。それは、高校生が野球を通し、何を身に付けられるかにかかっている。

高校野球の三つの価値
Jacob Wackerhausen/gettyimages

著者の考える高校野球の価値の一つは成長だ。悩みや苦労に正面から立ち向かい、どんな方法で乗り越えていくか。このプロセスを経験することは選手にとって大きな財産になる。こうした「果実」を得られるのは部活動の大きな意義だろう。

二つ目の価値は、自分自身で考えることの楽しさを味わえることだ。自分で考えるのは難しい。けれども、その分やりがいもある。打ち方や投げ方、守り方を細かく教え込んだほうが、すぐに結果を出せるかもしれない。だが、それでは選手は自分で何かをつかむという体験をすることができない。慶應義塾高校野球部では、選手自身がどう打ちたいか、どう投げたいか、どう守りたいかを考える。選手が自分なりの課題を見出し、その答えを自分なりに見つけていくことに重きを置いているのだ。

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要約公開日 2024.01.02
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