マンガでよくわかる1on1大全

未読
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出版社
かんき出版

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出版日
2023年09月20日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

ここは都内の某IT企業。「今日から1on1ミーティングを始めるよ」。人事課の小谷課長は課内のメンバーを集め、小気味よく号令をかけた。

小谷課長はこれまでも面談を通じて部下との対話は行ってきたつもりだった。だが、先日受講した1on1研修によって、今までの自分の対話が全く間違っていることに気付かされた。

小谷課長は、今後の1on1はこれまでの面談とは一線を画し、「部下が自分で考え、気付く時間」にすると肝に銘じていた。早速、入社3年目の竹田さんとの1on1の時間だ――。

本書は近年多くの組織で広がりを見せる1on1ミーティングについて、その要諦がマンガ形式でまとめられている。現実の1on1においても、上司は表情や声の出し方などの非言語情報を察知する必要がある。そのため、文章より臨場感のある「マンガ」で実際にやり取りされる対話を表現したことが特徴だ。対話の裏に隠された各人の内心や、上司と部下の気持ちの行き違いも巧みに表現され、思わず感情移入してしまう。要約は小谷課長と課員の竹田さんの対話に焦点を当てた。

このところ1on1ミーティングは多くの組織で取り入れられている。しかし、導入後その効果をあまり実感できず、もっと活性化させたいと考えている企業も多いのではないだろうか。

本書を読めば、1on1の本質を振り返りながら、上司と部下、お互いがどのようなコミュニケーションを取るべきかが詳細に見えてくる。個人が自律的にキャリアを考えるべき現代において、立場を問わずあらゆるビジネスパーソンに読んでいただきたい一冊だ。

著者

世古詞一(せこ のりかず)
◉──1973年生まれ。千葉県出身。組織人事コンサルタント。月1回30分の1on1ミーティングで組織変革を行う1on1コミュニケーションの専門家。
◉──早稲田大学政治経済学部卒。一般社団法人1on1コミュニケーション協会代表理事。株式会社サーバントコーチ代表取締役。GreatPlacetoWork®InstituteJapanによる「働きがいのある会社」2015、2016、2017中規模部門第1位の株式会社VOYAGEGROUP(現株式会社CARTAHOLDINGS)の創業期より参画。営業本部長、人事本部長、子会社役員を務め2008年独立。コーチング、エニアグラム、NLP、MBTI、EQ、ポジティブ心理学、マインドフルネス、催眠療法など、10以上の心理メソッドのマスタリー。個人の意識変革から、組織全体の改革までのサポートを行う。
◉──クライアントは官公庁・上場企業を中心に、五輪・プロ野球選手など一流アスリートまでと幅広く、講師・コーチ・コンサルタントとして様々な人と組織の課題解決をサポートしている。
◉──著書に、『シリコンバレー式最強の育て方─人材マネジメントの新しい常識1on1ミーティング─』(かんき出版)、『対話型マネジャー部下のポテンシャルを引き出す最強育成術』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。
◉──無料メルマガ【個人と組織の変革のヒント】reservestock.jp/subscribe/76294

本書の要点

  • 要点
    1
    1on1の導入企業は増えたが、効果は“関係性が改善した”程度にとどまっている。「上司によるコミュニケーションパターンの改善」と「部下による役割認識」が求められる。
  • 要点
    2
    1on1では、個人の感情に焦点を当てた「人間の対話」を作っていくことが大事だ。
  • 要点
    3
    短期的な成果を求める意識を変えるには、コミュニケーションを「成果軸」から「成長軸」に変える必要がある。
  • 要点
    4
    部下は上司に「どうしてほしいのか」を明確に伝えることが、上司は状況に合わせたコミュニケーション手法を使いこなすことが重要だ。

要約

プロローグ

1on1が必要な背景と現在地

近年、リモートワークの推進やオフィスのフリーアドレス化など、働き方の自由度が高まっている。また、価値観の多様化に伴い「飲みニケーション」などの対話機会も減った。さらに、テクノロジーの普及によりチャットなどのツールによるコミュニケーションが主流になっている。そのため、以前よりも対話の場や機会が減り、社員同士での信頼関係は構築しにくくなっている。

こうした課題に対し、組織内コミュニケーションの質と量を高めるための手段として効果的なのが「1on1ミーティング」である。1on1は主に上司と部下による1対1の定期的な対話の場を指し、その目的は「部下のための時間」というのが大きなポイントだ。

企業は一般的に1on1で「社員の主体性・自律性の向上」、「自律的キャリア形成の支援」を行いたいと考えている。一方で、1on1導入の効果は「対話量が増えて関係性が少し良くなってきた」程度に留まっているというのが、組織における1on1の現在地だ。

部下の自律を阻む意思疎通の型
stockstudioX/gettyimages

変化の激しい環境において、自ら考えて行動できる「自律型人材」の育成が多くの企業で課題となっている。しかし、現状ではなかなか進まない。その原因について著者は「上司と部下のコミュニケーションパターンにある」と考えている。

業務における上司と部下のコミュニケーションの大半は「教える」「指示する」「問題解決する」などの指示・問題解決型に集約される。しかし、このパターンに慣れると部下側は「言われたことをやる人」になってしまい、自発性が損なわれがちだ。

そこで1on1ミーティングと「支援型上司」の出番だ。1on1という現場と異なる「場」と「モード」を設けることで、部下が主体的に自ら考えるようになっていき、上司はその支援をする。上司はまず部下が主体的に動きやすいような環境を作る必要がある。

1on1が浸透しない最大の要因

1on1が浸透しない最大の原因は「部下が“自律型”を目指すことが役割という認識が欠けている点」だと著者は言う。事前の準備を怠ったり、上司との一問一答に終始したりといった事象は、認識不足の典型例だろう。

場の主体である部下が1on1を自律的に活用しようとすれば、1on1の質が飛躍的に高まり、良質な効果が得られる。もちろん、「自律型部下」と「支援型上司」の両輪があってこその1on1だが、これまで上司側のアプローチや要望が大きかったような意思疎通のケースでは、部下側の伸びしろは大きい。

日本で1on1が普及していくための最も効果的な手段は、部下への啓発にある。

啓蒙期 目的と役割を理解する

1on1の要点 ~竹田さん1回目~

竹田さんは人材開発チームに所属する入社3年目の若手で、思ったことは忖度なく発言し、何事も柔軟に受け入れる素直な性格の持ち主だ。この日初めて上司の小谷課長との1on1に臨む。

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要約公開日 2024.01.16
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