本書のタイトル『まず、ちゃんと聴く。』には、「まず」「ちゃんと」「聴く」という3つの単語が含まれている。本書では、「聴く」について、「自分の解釈を入れることなく、意識的に耳を傾ける行為」と定義する。
一般的に「聴く」とは、「意識的に耳を傾ける行為」と定義されることが多い。著者は一般的な「聴く」を「自分の解釈が入るか、入らないか」でさらに分けると、より実用的な定義になると説く。
また、自身の解釈を入れる「聞く」と、入れない「聴く」にはさまざまな違いがある。
例えば「視点」が異なる。「聞く」では、同意・反対、または従う・従わないといった反応が主になる。一方「聴く」は、あくまで相手に寄り添う反応だ。評価や分析などから離れて、相手の話を受け取る。そのため、自分とは異なる意見を持つ相手にも共感的に関われるのが特徴だ。
次に「ちゃんと」とはどういう状態なのか。学校で先生が「人の話はちゃんと聞きましょう」というときには、「黙って」「我慢して」「従う」という3つの要素が含まれている。
これに対し、著者は「相手の言動の背景には、肯定的意図があると信じている状態で聴く」態度が、「ちゃんと聴く」態度であると定義する。ここで登場した「肯定的意図」がキーワードである。
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