1冊目に読みたい DXの教科書

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出版社
SBクリエイティブ

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出版日
2022年10月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

日本は「デジタル後進国」といわれて久しい。労働生産性の改善は喫緊の課題とされ、企業や行政でもDXの重要性が増している。また、コロナ禍がDXを加速した面も大きい。企業はデジタル技術を活用して、サービスの価値や提供の仕組みを再検討する必要に迫られた。しかし、いざDXを社内で進めようとすると、経営者が危機感を持てていないケースや、新たな価値提供の仕組みに社内のマネジメントが対応できていないといったケースも散見される。「変わること」への抵抗感が根っこにあるのかもしれない。

本書は、そうした状況に警鐘を鳴らし、DXを推進するための具体的な道筋を描き出す。日本のDXの現状や、DXの成功事例の特徴、DXを推進するためのプロセスといった、ビジネスパーソンの気になるポイント80項目が、フルカラーの図解とともに見開きで解説されている。業界再編を引き起こすディスラプションとそこに風穴を開けるデジタル戦略からは、実践のためのヒントを数多く得られるだろう。

日本企業は後発でも技を実直に磨き上げ、よりよい商品やサービスを提供するのが得意だ。その方が先行者の失敗から学びを得られ、投資リスクも小さかった。しかし、デジタルの世界では先行者が全てを巻き込み、データをもとに自動的に「超高速でPDCAを回していく」ことが成功の肝となる。

著者は、今がDXに踏み出すラストチャンスだという。データドリブンで変化し続ける組織やチームづくりをめざす方に本書をおすすめしたい。

ライター画像
Keisuke Yasuda

著者

荒瀬光宏(あらせ みつひろ)
株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所
代表取締役DXエバンジェリスト
慶應義塾大学法学部、グロービス経営大学院卒。国内の多くの企業および地方自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を研究してきた立場から、DX成功の要諦について実践的なノウハウを所有する。これからの環境認識をベースに将来のあるべき姿、経営戦略を検討し、その戦略を実現できる組織体制、文化、マネジメントへの変革を図る全社変革プロジェクトを得意とする。

本書の要点

  • 要点
    1
    DXの変革とは「顧客に提供する価値」や「提供の仕組み」を変えることである。組織行動を変革できなければDXは実現できない。
  • 要点
    2
    日本は、デジタルスキルやビジネスでの活用の面ではデジタル後進国となっている。
  • 要点
    3
    業界の再編を引き起こすディスラプションには、転換、包含、分離の3つがある。
  • 要点
    4
    DXのプロセスはコッターの「企業変革の8段階」を適用する。起点となるのは経営トップの危機意識だ。

要約

DXのキホン

DXの真の意味

DXは、2004年にエリック・ストルターマン教授が提唱した言葉だ。提唱当時、DXは「デジタル技術が起こす変化」のことを指していた。しかし現在は、「デジタル技術による環境変化を受け、組織の価値を向上する変革」と定義され、主に企業が競争上の優位性を確立するために自発的に取り組むものとして使われるようになった。

DXにおけるD(デジタル)は「ペーパーレス化」や「業務の自動化」と捉えられがちだが、そうではない。DXの推進で必要となるデジタル化とは、「データを活用できる状態」にすることだ。蓄積したデータがネットワークを介して取り出せること、データが加工可能な汎用フォーマットであること、内容に価値や意味のある情報を含んでいることが必須条件となる。

変革を意味するTransformationは英語圏で「X」と表されるため、デジタルトランスフォーメーションがDXと表記されている。従来の変革は、業務改善や事業オペレーションの最適化など自社の課題解決を目的としていた。

一方、DXの目的は「顧客に提供する価値」や「提供の仕組み」を変革する。そのため、戦略、マネジメント、組織、データ、人といったすべての要素を再設計する必要がある。

超高速PDCAとデータドリブン
Ratana21/gettyimages

IoTや人工知能といったデジタル技術の登場で、リアル空間とデジタル空間のデータを取得・分析し、分析結果を瞬時にサービスに反映できるようになった。

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要約公開日 2024.04.04
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