本書に興味を持った人は、おそらく話すことに苦手意識がある人だろう。苦手なのに話さなければいけないシチュエーションは、想像するだけで気が重くなるものだ。親しくない人との打ち合わせや、懇親会の司会、面接など、緊張してしまいそうな場面に向かう前に、空気を変える「ひと言」を用意していこう。
「ひと言」には、「相手向け」「全体向け」「自分向け」の3つがある。相手向けは一人の相手に向けるひと言、全体向けはその場にいる複数の人に向けるひと言、自分向けは自分に向けるひと言だ。
まず意識すべきなのは自分に向けるひと言だ。ガチガチに緊張している人が、いくらその場を和ませるような言葉を口にしたところで、効果はない。何よりも先に、自分を整えるために自分を和ませる言葉を使おう。
じつは「緊張しています」と口に出してしまうのは悪手だ。この言葉からは、これからの時間に対する不安やおそれ、できなくても許してほしいという逃げや甘えがにじみでてしまう。緊張すること自体は悪いことではないのだから、ネガティブな心理状態に結びつけないほうがいい。
緊張するのはそれだけ大事な場だからだと認め、自分をニュートラルなモードに切り替えよう。こんなときに自分を整えるためのひと言は、「引きしまった空気」だ。そう口にして自分を落ち着かせたら、次はやる気や希望に焦点を当てる。
たとえば「ピリッとした空気でやる気まんまんです」といった具合にポジティブな感情と結びつけてひと言を発すれば、その場にいる人にも前向きなメッセージを伝えることができる。自分が落ち着くだけでなく、相手との距離も縮まるはずだ。
打ち合わせや会議の進行役を務めることになったら、たとえ雰囲気がカタいなと感じても、いきなり場を和ませようと焦る必要はない。空気が固くなるのは、みんなが「漠然とした不安」を抱いているせいだ。それは、会合の目的がわかれば自然となくなる。
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