あなたがもし、もっと幸せになりたいと望むなら、ごく小さなことから始めればいい。小さなことでも、たちまち効果が出るケースはよくある。
ペンシルベニア大学のマーティン・セリグマン教授は、ベッドを離れることすら困難なほど落ち込み症状が出ていたグループに、幸福度が高まる方法を1つだけ教えた。それは、毎日の出来事のなかでよいことを3つ思いだして書き込むことだ。結果は15日も経たないうちに現われた。彼らの落ち込み度は改善し、94%の人が安堵感を覚えたのだ。
この実験からわかるように、もっと幸福になるための最初のステップは、幸福になる方法をすぐに実行することだ。
著者らは長年の研究により、「幸福」を決める最も重要な3つの要因を特定した。それは「遺伝による設定値」「環境」「意図的な行動」であり、それぞれの要素が、人それぞれの幸福度の違いのうち50%・10%・40%程度を占める。
まずは50%程度を占める「遺伝による設定値」だ。人はそれぞれ特定の幸福度の設定値をもって生まれてきて、大きな挫折を経験したり、逆に大成功を収めたりしたあとでも、また設定値に戻っていく。何もしなくても楽々と体重を維持できる人もいれば、並々ならぬ努力が必要な人もいるのと同じようなものだ。
続いて10%程度を占める「環境」だ。裕福か貧乏か、健康か病気がちか、器量がいいか人並みかなどといった「環境」的な要素は、幸福度のわずか10%程度を占めるのみなのである。意外に思うかもしれないが、生活環境は幸福になるための最大の鍵ではないのだ。
最後は40%程度を占める「意図的な行動」だ。遺伝や環境は選べなくても、意図的な行動は自分次第でコントロールできる。「遺伝による幸福の設定値」や「自分の環境による試練」に心が折れそうになったら、このことを思い出してほしい。
「意図的な行動」について、本書では12の行動習慣が紹介される。要約ではそのうち6つを取り上げる。
1つ目の行動習慣は「感謝の気持ちを表わす」だ。
研究によると、常に感謝を忘れない人は、相対的により幸福で、よりエネルギッシュで、より希望に満ちており、より「ポジティブ感情」を抱きやすい。さらに、感謝を示す人は、落ち込んだり、不安になったり、孤独を感じたり、嫉妬したり、ノイローゼになったりしにくいこともわかっている。
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