超ミニマル・ライフ

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超ミニマル・ライフ
出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2023年10月03日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「ミニマル・ライフ」とは、基本的にはモノを持たない暮らしのことと理解されている。振り返れば、20世紀とはそれ以前に起きた産業革命を下敷きにして、工業技術が飛躍的な発展を遂げた時代であった。人類史上経験したことのない大量生産と大量消費が圧倒的に生活を豊かにし、文明が経済的・物質的な成長を遂げたのがこの100年であったといえるだろう。しかしその末期には環境問題などさまざまな歪みが反省されるようになる。

そんな折に起きた情報革命は、モノから情報へと価値の重心を転換するのに十分なインパクトを持ってあらわれたといえる。今や「モノさえあれば幸福である」と自信を持って言い切れる人は、むしろ少数派なのではないだろうか。

『超ミニマル・ライフ』と題された本書は、単にモノを持たない暮らしを推奨するだけではない。むしろ本書が整理するよう勧めているのは、モノ以外――価値観を最小化することだ。ビジネスの世界は、資本主義のなかで経済的な成長を前提としている。しかしそれは必ずしも個人の幸福な生き方の最適解とは一致しない。幸福に生きるためにはなにが必要で、なにが必要ないのか。それはミニマル・ライフという言葉の本来の意味に収まらない。『超ミニマル・ライフ』という題にふさわしい生き方の最小化と、それを基盤にした自己実現のヒントが、本書には詰まっている。

ライター画像
池田明季哉

著者

四角大輔(よすみ だいすけ)
執筆家・環境保護アンバサダー
1970年、大阪の外れで生まれ、自然児として育つ。91年、獨協大学・英語学科入学後、バックパッキング登山とバンライフの虜になる。95年、重度の赤面症を抱えてソニーミュージック入社。
社会性も音楽知識もないダメ営業マンから、異端のプロデューサーになり、削ぎ落とす技法で10回のミリオンヒットを記録。
——この壮烈な経験で得た「日本社会サバイバル術」と、この後に構築する組織・場所・時間・お金に縛られない「最強のライフスキル」を網羅したのが、本書と前著『超ミニマル主義』。
2010年、すべてをリセットしてニュージーランドに移住。湖畔の森で、ポスト資本主義的な自給自足ライフを開始。年の数ヶ月を移動生活に費やし、働きながら65ヶ国を訪れる。19年、10年ぶりのリセットを敢行。CO2排出を省みて移動生活を中断。会社役員、プロデュース、連載など仕事の大半を手放し、自著の執筆とコミュニティ運営に専念。21年、第一子誕生を受けて、ミニマル・ライフをさらに極め——週3日・午前中だけ働く——育児のための超時短ワークスタイルを実践。
著書に、『超ミニマル主義』(ダイヤモンド社)、『人生やらなくていいリスト』(講談社)、『自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと』(サンクチュアリ出版)、『モバイルボヘミアン』(本田直之氏と共著、ライツ社)など。
公式サイト〈daisukeyosumi.com〉
会員制コミュニティ〈LifestyleDesign.Camp〉
ポッドキャスト〈noiseless world〉ナビゲーター
Instagram〈@daisukeyosumi〉

本書の要点

  • 要点
    1
    超ミニマル・ライフとは、どうでもいいことに注ぐ労力・お金・時間を最小化して、あなたの可能性を最大化するための合理的な人生戦略である。
  • 要点
    2
    人生は登山である。ゆえに、ゆっくりと長い距離に到達するロングスロー・ディスタンスの戦略が有効である。
  • 要点
    3
    肉体は投資に確実に応えてくれる最高の資本だ。そのため替えが効かない肉体というオーガニックデバイスの性能を最大化していくことが大切である。
  • 要点
    4
    いつでも辞められるというポジティブエスケープと、最低限どれだけ稼げば生活していけるかを明らかにするミニマムコストの考え方で、リスクを取った挑戦ができるようになる。

要約

プロローグ

今なぜ“超ミニマル・ライフ”か
kieferpix/gettyimages

世界2位の経済大国まで登りつめた後、日本経済は今に至る「失われた30年」に突入し、「日本は終わった」と評されることすらある。だが、経済規模は未だ世界3位。餓死のリスクもほとんどなく、治安もよく、インフラも整備されている。今の日本は、間違いなく物質的に豊かで便利な国だ。

それなのに、日本の幸福度は極度に低い。それは、多くの人が情報と選択肢の多さに消耗し、何も選べないまま、周囲に流されるままに生きているせいではないだろうか。

欧米のベストセラー『Tiny House』には「Live Small, Dream Big――小さく生活し、夢は大きく」という副題が当てられている。本書はこれを「贅沢やムダを省いて超効率化して得る時間・エネルギー・資金を、人生の夢に投資する」と解釈する。そして、「どうでもいいことに注ぐ労力・お金・時間を最小化して、あなたの可能性を最大化する」ための合理的な人生戦略「超ミニマル・ライフ」を提案する。

具体的に紹介するノウハウは「7つのSTEPと62のMethod」であるが、すべての技法は下記の「3つの原則」に集約される。

(1)体・脳・心の負担を最小化して「パフォーマンス」を最大化する

(2)仕事と家事を超時短して「自由時間」を最大化する

(3)お金・仕事・人間関係の不安をなくして「幸福度」を最大化する

本書を通してこの3原則を体得できたら、あなたの「夢」に一点集中できるようになるはずだ。

【必読ポイント】 思い込みの軽量化

“忙しい”が人生を破綻させる

「働けば働くほど稼げる」という幻想が信じられていた20世紀の日本では、多くの人が休まず働き仕事に命を捧げていた。だが、「人生100年時代」と言われる21世紀には、こうした働き方は非合理的だ。

米国の複数の調査では、余暇を大切にしてしっかり休む人の方が、幸福度が高いことがわかっている。また、幸福度が高い人は、そうでない人よりも生産性が31%高く、創造性は3倍も高い。

日本人の睡眠時間は世界最短で、有休消化率は先進国最低レベル、そのうえ労働生産性は先進国で下位グループだ。日本の幸福度はG7では最下位である。

著者は日本が抱える社会問題の根源は「働きすぎ」にあるのではないかと考える。厚生労働省の調査では、働く人の8割が強い不安やストレスを抱えている。忙しくて、まともに食事ができない人や、休めない人がいるだろうことは想像に難くない。

“ロングスロー・ディスタンス”の真髄
deimagine/gettyimages

長く険しい山道を踏破するには、最小限の装備で自分のペースで歩き続ける「ロングスロー・ディスタンス術」が有効だ。人生100年時代に必要なのは、「ロングスロー・ディスタンス思考」だ。不要な荷物は背負わず、必要最小限の装備で、誰とも競争せずにいいペース配分を守り続ける。この考えは、働き方や生き方においても重要な指針となりうる。

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要約公開日 2024.04.09
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