疲れない脳をつくる生活習慣

未読
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疲れない脳をつくる生活習慣
出版社
出版日
2021年04月05日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

仕事が終わるころには、くたくたになってしまう。仕事中も集中力が長く続かない。そんな悩みを抱えるビジネスパーソンに本書を勧めたい。

著者は『フルライフ』『考え続ける力』などの著書を持つ、予防医学研究者の石川善樹氏だ。本書では、自分を最高の状態にして仕事のパフォーマンスを最大に引き出す生活習慣を「瞑想」「睡眠」「姿勢」「食事」の4つに分けて紹介している。

なかでも「マインドフルネス」の手法として注目される「瞑想」について、その効果を脳科学の見地から丁寧に解説している。瞑想は気持ちを落ち着かせるだけでなく、脳の基礎力を向上させる効果があり、集中力や記憶力、コミュニケーション能力といった仕事に必要な力を鍛えられるのだという。要約者も試してみたが、特に効果を感じたのは、思考や感覚をそのまま観察する「観察瞑想」という方法だ。昼食後に3分だけ目を閉じ「今日は右肩が重い」「隣のテーブルでコップに水を注ぐ音がした」と意識を客観的に観察する。目を開けたときには、それまでのイライラが消えていく感覚が何度かあった。

他にも、気持ちよく眠れる方法やデスクワークのベストポジション、血糖値をコントロールする食事術など、すぐにできる施策が多数掲載されている。自分にフィットする健康法を探すためのガイド本としても、本書は大いに活用できる。忙しく働くビジネスパーソンにおすすめの一冊だ。

ライター画像
霧島大和

著者

石川善樹(いしかわ よしき)
予防医学研究者、博士(医学)
1981年広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がよく生きる(Well‐being)とは何か」をテーマに、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、概念工学など。公益財団法人Well-being for Planet Earth代表理事。著書に『フルライフ―今日の仕事と10年先の目標と100年の人生をつなぐ時間戦略』(NewsPicksパブリッシング)、『考え続ける力』『問い続ける力』(ともに、筑摩書房《ちくま新書》)ほか多数がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    疲れない脳をつくるには、まず姿勢を正して深い呼吸をしよう。
  • 要点
    2
    瞑想は気持ちを落ち着かせるだけでなく、集中力や想像力、コミュニケーション能力などを鍛え、仕事のパフォーマンス全般に効果を発揮する。
  • 要点
    3
    睡眠は7時間とるのが望ましい。6時間睡眠は脳を老化させ、認知機能の低下を招く。
  • 要点
    4
    仕事中はPCモニターの位置を目線の高さに変え、キーボードを膝の上に置くといい。姿勢がよくなり、腰や肩への負担がなくなるはずだ。
  • 要点
    5
    食事では血糖値を一定にコントロールすることが重要だ。食事のタイミングと炭水化物に注意しよう。

要約

【必読ポイント!】瞑想

背筋を伸ばして深い呼吸をする

疲れない脳をつくるためにすぐにできること、それは、背筋を伸ばして深い呼吸をすることだ。

呼吸は、身体や感情のバロメーターである。「最近ストレスがたまっている」「体がすぐに疲れてしまう」という人は、背筋を伸ばしてゆっくりと深い呼吸をしてみよう。鼻から5秒くらいかけて吸い、口か鼻から10~15秒かけて吐くのである。

ポイントは、時間をかけて吐くことだ。長く息を吐くと副交感神経が優位になり、リラックスした状態を生み出しやすい。

緊張したり興奮したりする時間が長いほど、脳は疲れてしまう。1日1回でも姿勢と呼吸を整える時間をつくることで、脳の基礎力は改善されていくだろう。

「瞑想」は脳の基礎力を高めるメソッド
AzmanJaka/gettyimages

姿勢と呼吸を整えることは、「瞑想」の基本動作である。瞑想は「宗教的」だと敬遠する人もいるかもしれないが、現在は最先端科学の研究テーマとして、その効果やメカニズムが次々と明らかにされている。

著者は瞑想を「脳の基礎力を鍛えるためのベースメソッド」だと説明する。瞑想には集中力、記憶力、モチベーション、コミュニケーション能力など、仕事のパフォーマンス全般を上げる働きがあるのだ。

ここでは2つの実践方法を紹介する。いずれも背筋を伸ばして、深い呼吸とともに行う。目は開けていても閉じていても構わない。

まず、ひとつの対象に注意を向ける「集中瞑想」だ。注意を向ける先はなんでもいいが、初心者は自分の呼吸に集中するといい。もし呼吸以外のことに意識が向いた場合は、再び呼吸に意識を戻す。集中瞑想をすると、脳の実行機能を担う「前頭前皮質」が活性化され、集中力や記憶力、意思決定力が高められる。

もうひとつは「観察瞑想」だ。瞑想中に生じる思考や感覚をそのまま観察する手法で、想像力や発想力などの強化が期待できる。たとえば、「いま、私は座っている」「外から大きな音が聞こえる」と頭に浮かんだ内容を「観察」する。ただ観察するのが難しいなら、脳内実況をしてもいい。

観察瞑想を行っているときの脳は、何も考えていない「アイドリング状態」にある。過去のさまざまな感情や記憶が結びつき、新しいアイデアが浮かびやすくなるだろう。また、自我や感情の暴走を抑制し、社会性や思いやりを司る脳の部位を活性化するため、対人関係やコミュニケーション能力の強化にもつながる。

グーグルも実践する「マインドフルネス」

脳科学や神経科学が瞑想の効果を実証したことで、瞑想は社会全体に広まっていった。この「瞑想の科学」をいちはやくとりいれたのがグーグルである。

グーグルは2007年より、瞑想を活用した能力開発プログラム「SIY(サーチ・インサイド・ユアセルフ)」を実施している。「自己探求」を意味するこのプログラムでは、思いやりや感情コントロールといった「EQ(心の知能指数)」を高めるためのトレーニングを行う。

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要約公開日 2024.04.16
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