EQ

こころの知能指数
未読
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こころの知能指数
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EQ
出版社
出版日
1998年09月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

人生の幸福がIQだけでは測れない、というのは現代に生きる人にとってはすんなりと納得のできる話だ。ではIQでは測れない人生を成功に導く要因はなにか。そこで登場するのが、心理学博士ゴールマンが1995年に提唱した「EQ」である。EQ(こころの知能指数)は情動をコントロールする能力のことを指す。この言葉の背景には神経学的な知見が存在し、脳の機能が我々のこころにどう作用するかが本書でも詳細に論じられている。

本書が世界中で広く受けいれられた理由は、現代人のほうが理解しやすいのではないだろうか。近年はSNSの発達により感情の爆発が破滅的な結果をもたらした事例を多くの人々が知っているからだ。いっときの感情に左右され、攻撃的な言葉や軽率な分析を披露した結果、多くの批判に晒された人々を、誰でも簡単に思い浮かべることができるだろう。

本書は神経学の基礎知識を踏まえた上で、情動を詳細に分析し、それを人生にどう活かすべきかを読者に教えてくれる。人間が怒りに支配され、後に後悔するような行動に出る理由やその処方箋をこの本から学ぶことができるだろう。こうした感情のコントロールは社会で生きていく上では誰しも無関係でいられない。結婚生活が破綻するのはなぜか。職場で上手に人間関係を作るにはどうしたらいいか。こうしたトピックスに興味がある人は少なくないはずだ。

情報化社会は目覚ましい発展を遂げ、凄まじい量の情報が私たちの心を揺さぶる現代だからこそ、EQがますます必要とされているのだろう。

著者

ダニエル・ゴールマン(Daniel Goleman)
カリフォルニア州ストックトンに生まれる。ハーバード大学大学院にて心理学の博士号を取得。ハーバード大学で教鞭をとった後、「サイコロジー・トゥデー」のシニア・エディターを9年間務める。1984年からは「ニューヨーク・タイムズ」紙でおもに行動心理学について執筆してきた。ジャーナリストとして数々の賞を受賞。本書はアメリカだけでなく、日本も含めた全世界で大ベストセラーとなった。

本書の要点

  • 要点
    1
    情動をコントロールする能力をEQとよぶ。情動の力はときに理性を軽々と凌駕する。情動は何百万年もの間、人類を生存へと導いてきた。しかし文明が生まれると、その機能をコントロールする必要に迫られた。
  • 要点
    2
    高い知能の持ち主は必ずしも人生で成功するとは限らない。むしろ知能指数よりも、感情をコントロールする能力や挫折を克服する能力の有無が人生を左右する。
  • 要点
    3
    管理職は、ときに破滅的な批判によって、部下の士気を下げてしまう。職場におけるEQの欠如は、管理職の知らないところで組織を「墜落」へと誘うだろう。

要約

EQと脳

情動のパワー
Nuthawut Somsuk/gettyimages

ある夫妻は、小児麻痺によって車椅子での生活を送ることになった娘を心から愛していた。2人の愛情がもっとも強く発揮されたのは、夫妻がその一生を終える少し前だ。一家を乗せた列車が河口にさしかかったとき、突如鉄橋が崩壊し、列車は水面へ落ちていった。車内に水が押し寄せる中、夫妻は無我夢中で娘を窓の外に押し出した。そして夫妻は沈みゆく列車の中でその生涯に幕を閉じた。

2人の行動は愛という情動の力を雄弁に物語る。心の奥底から湧いてくる熱情や願望は、人間という種の存続を支えてきた凄まじい力だ。強い愛情は、自分が助かりたいという生存本能を超える力を持つのである。進化の過程で情動がこれほどまでの力を得た理由について、社会生物学者は、理性だけでは立ち行かないような局面で、情動が人間の行動を導く必要があったのだと指摘する。長い長い進化の歴史の中で、情動が最も効果を発揮する場面とそのパターンが神経に刻み込まれてきたのである。

人間は理性を持った人(ホモ・サピエンス)と呼ばれるが、実際の人間は理性と同じか、あるいはそれ以上に情動の力に頼っているものだ。感情が人間を支配するとき、理性は全く手も足も出ないのだ。

情動は生死の分かれ目における即座の反応を促す役割も担い、人間を効果的に生存へと導いてきた。しかし、そんな情動は文明の誕生によって時代遅れになってしまった。古代の法や倫理はどれも、情動に流されがちな人間を厳しく律しようとする。人間社会は情動を外側から規制するしかなかったのである。

しかし、それで大人しくしている情動ではない。人間の情動は百万年という途方もない時間をかけて作り出された。文明が急速に発展したとはいえ、その間に情動を生み出す仕組みはほとんど何も変わっていない。社会が発展しても情動は文明が生まれる以前の仕様のままなのである。このジレンマと向き合い、情動とどう付き合っていくかがこの本の中心テーマといえるだろう。

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要約公開日 2024.06.06
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.Copyright © 2024 ダニエル・ゴールマン All Rights Reserved. 本文およびデータ等の著作権を含む知的所有権はダニエル・ゴールマン、株式会社フライヤーに帰属し、事前にダニエル・ゴールマン、株式会社フライヤーへの書面による承諾を得ることなく本資料の活用、およびその複製物に修正・加工することは堅く禁じられています。また、本資料およびその複製物を送信、複製および配布・譲渡することは堅く禁じられています。
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