夢と現実の違いは、一見すると自明に映る。しかし、よくよく考えてみると、いま見ているものが「夢ではない」と証明するのはそれほど簡単ではない。
では、他人の夢ならどうか。その人が夢を見ているかどうかを判断するためには、寝ている人の脳の活動を記録すればいい。現在の科学の力をもってすれば、見ている夢の内容はある程度はわかる。
さらに、ネズミを使ったある実験では、より詳細な夢の内容を当てたと報告されている。海馬という脳部位には、「場所細胞」という神経細胞がある。読んで字のごとく、場所に応じて発火する細胞のことだ。実験ではこれを利用した。ネズミの脳にできるだけたくさんの電極を刺して、海馬細胞の発火を記録する。そして、ネズミに広いスペースを自由に探索させ、場所細胞の発火を観察したのだ。ネズミの場所細胞の発火さえ記録しておけば、夢のなかでどこにいるのかが記録できるようになるというわけである。
この実験ではさらに興味深いことが判明する。
3,400冊以上の要約が楽しめる